第5コーナー ~競馬余話~
2013年の記事一覧
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第33回 大いなる軌跡 2013.12.16
2013年11月16日、東京スポーツ杯2歳Sで偉大な記録が達成された。 単勝2番人気の支持を受けたイスラボニータは、東京競馬場の芝1800mを1分45秒9という2歳のJRA新記録で駆け抜け、先頭でゴールした。その記録は前年の同じレースで、コディーノがマークした1分46秒0のタイムを0秒1更新するものだった。 この勝利はイスラボニータの父フジキセキにとって1996年生まれの初年度産駒から続いていた連続世代JRA重賞勝利記録を16世代とする貴重...
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第32回 ヘビ年の法則 2013.11.18
2013年10月20日に京都競馬場で行われた第74回菊花賞はエピファネイアが2着のサトノノブレスに5馬身差をつける圧勝で終わった。 皐月賞では1分58秒1の好タイムで走りながら、ロゴタイプに半馬身差をつけられて2着。ダービーではゴール寸前でキズナにかわされて、これまた半馬身差の2着に終わっていた。 エピファネイアのように皐月賞、ダービーでともに2着になり、菊花賞に出走したケースは過去に8度あった。古い順に挙げるとイツセイ(1...
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第31回 ヒサトモの恩返し 2013.10.15
第58代ダービー馬トウカイテイオー(父シンボリルドルフ、母トウカイナチュラル)が8月30日、繋用先の北海道安平町の社台スタリオンステーションで急死した。25歳。急性心不全だった。 弾むようなフットワーク、ざんばらでワイルドなたてがみ、見た目も華やかなスターホースらしいスターホースだった。 安田隆行騎手(現調教師)とのコンビでデビュー以来無傷の6連勝でダービーを制覇。ダービーのレース中に骨折し、4歳4月に戦列復帰した。...
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第30回 ヨハネスブルグ 2013.09.24
新種牡馬ヨハネスブルグ(USA)が派手なパフォーマンスを見せたのは8月17日のことだった。 JRA函館競馬第5レースの新馬戦(芝1200㍍)で1番人気のペプチドスピカ(牝、母ドリームスピカ、母の父バブルガムフェロー)は好スタートから先頭を奪うと、そのまま後続を寄せつけず、2着に1秒8の大差をつける圧勝劇を演じた。 すると新潟競馬第5レースの新馬戦(芝1400㍍)でも田辺裕信騎手に操られたスナークマスカラス(牡、母サザンヒルズ、...
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第29回 種牡馬メーカー 2013.08.15
6月23日に阪神競馬場で行われた第54回宝塚記念で、前代未聞の記録が達成された。どんな記録だったのかという種明かしは後回しにして、まずは出走馬と着順を、枠順に従って見てもらいたい。 ①ヒットザターゲット(父キングカメハメハ)11着 ②タニノエポレット(父ダンスインザダーク)9着 ③フェノーメノ(父ステイゴールド)4着 ④ダノンバラード(父ディープインパクト)2着 ⑤シルポート(父ホワイトマズル(GB))10着 ⑥トーセンラー(...
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第28回 母と子の絆 2013.07.22
節目となった第80回日本ダービーは単勝1番人気のキズナ(父ディープインパクト)が優勝した。 武豊騎手が前人未到のダービー5勝目を飾るなど、今回も数々の新しい記録が作られたが、僕が一番驚いたのは、キズナは母キャットクイル(CAN)が20歳の時に出産したという事実だった。これは1942年(昭和17年)優勝のミナミホマレと並ぶ最高齢出産でのダービー制覇だった。 これまでに誕生した80頭のダービー馬は果たして母が何歳の時に出産したのだ...
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第27回 究極の内国産 2013.06.13
今年で18回目を迎えたNHKマイルカップは、かつて「マル外ダービー」と呼ばれた。この世界で俗に「マル外」と呼ばれる外国産馬が大活躍した。 1996年の第1回は象徴的だった。優勝したのは米国生まれのタイキフォーチュン。2着は英国産のツクバシンフォニーで、3着も英国生まれのゼネラリスト。以下ヤシマキャプテン(米)、スギノハヤカゼ(米)、ヒシナタリー(米)、セイントリファール(米)、エイシンガイモン(米)と上位8着までを、...
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第26回 皐月賞の秘密 2013.05.14
4月14日に行われた第73回皐月賞は単勝1番人気のロゴタイプが優勝した。 通算8戦5勝。昨年11月のベゴニア賞から朝日杯フューチュリティS、年明けのスプリングS、皐月賞と4連勝。押しも押されもせぬ第80回ダービーの最有力候補に名乗りをあげた。 父ローエングリンは現役時代、国内外合わせ、18度、GⅠレースに挑みながら、ついにタイトルを手にすることはできなかった。しかし、その息子は朝日杯フューチュリティSに続く2つ目の勲章をしっか...
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第25回 世代交代 2013.04.10
昨年7月の函館2歳Sに始まった2013年クラシックレースの重賞戦線で、今年3月のスプリングSまでに25レースが行われ、22頭のステークスウイナーが誕生した。 新種牡馬のブラックタイドがテイエムイナズマ(デイリー杯2歳S)を送り出し、幸先のよいスタートを切ったかと思えば、フジキセキはタマモベストプレイ(きさらぎ賞)とメイケイペガスター(共同通信杯)を生み出し、これで初年度から15世代連続で重賞勝ち馬を誕生させるという驚異的...