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第37回 競馬二刀流

2014.04.21
 3月15日に阪神競馬場で行われた第16回阪神スプリングジャンプ(芝3900㍍)は4番人気の関東馬ケイアイドウソジンが優勝した。昨年11月に障害に転向してから無傷の3連勝で重賞タイトルを手にした。ケイアイドウソジンは2012年2月に平地のダイヤモンドS(東京競馬場、芝3400㍍)でも勝利しており、平地と障害の両方でステークスウイナーになった。
 ケイアイドウソジンのように平地と障害の両方で重賞勝ち馬となったケースは、これが9例目だった。

 古い順に過去の例を挙げてみよう。ダイニカツフジ(1953年朝日チャレンジカップ、55年京都大障害・秋など2勝)、タイシユウ(66年きさらぎ賞、68年京都大障害・春)、ダテハクタカ(69年阪神大賞典、72年阪神障害S・春)、メジロワース(90年マイラーズC、90年中京障害Sなど3勝)、ナムラモノノフ(89年阪神大賞典、91年京都大障害・春)、シンホリスキー(91年きさらぎ賞など2勝、94年中京障害S・春)、ゴッドスピード(96年小倉3歳Sなど2勝、99年中山大障害など3勝)、カネトシガバナー(98年神戸新聞杯など2勝、01年東京ハイジャンプなど2勝)。

 このうち父セフト(IRE)と母・千鳥甲の間に50年に生まれたダイニカツフジ(牡)は障害で通算24勝も挙げた名障害馬で55年には今でいうJRA賞の最優秀障害馬に選ばれている。ダイニカツフジの半姉ブラウニー(父トキノチカラ)は47年に桜花賞と菊花賞を制した名牝であり、半妹のヤマカブト(父クモハタ)、同じく半妹のケニイモア(父クモハタ)がともに中山大障害で優勝した「障害界の華麗なる一族」だった。ゴッドスピードの戦績も素晴らしい。96年の府中3歳S(現東京スポーツ杯2歳S)では後のダービー馬サニーブライアンらを下し、99年の中山大障害を制して、この年の最優秀障害馬に選ばれている。

 投手と野手。昨年、プロ野球・日本ハムのルーキー大谷翔平選手が二つのポジションをこなして、「二刀流」が脚光を浴びた。平地と障害でともに好成績を残す。ケイアイドウソジンやダイニカツフジは二刀流に成功した競走馬だといえそうだ。

 競走馬の場合、もう一つの二刀流がある。芝とダート。材質の異なる二つの走路で活躍する馬がいる。最近ではブライトラインが12年3月にファルコンS(中京、芝1400㍍)で重賞初勝利を飾り、ダート転向後5戦目の13年11月にみやこS(京都、ダート1800㍍)を制した。またノーザンリバーは11年2月にアーリントンC(阪神、芝1600㍍)で優勝し、13年12月にカペラS(中山、ダート1200㍍)で白星を飾り、ダブルタイトル獲得に成功している。

 芝・ダートの両部門でGⅠレースを制した馬は84年のグレード制導入後4頭を数える。イーグルカフェ(USA)(00年NHKマイルカップ、02年ジャパンカップダート)、アグネスデジタル(USA)(00年マイルチャンピオンシップ、01年南部杯、天皇賞・秋、香港C、02年フェブラリーS、03年安田記念)、クロフネ(USA)(01年NHKマイルカップ、ジャパンカップダート)、アドマイヤドン(01年朝日杯FS、02、03、04年JBCクラシック、03年南部杯、04年フェブラリーS、帝王賞)だ。この4頭はいずれも現役引退後は種牡馬になった。

 このうちアグネスデジタルはこれまで6頭のJRA重賞勝ち馬を送り出しており、その代表産駒はヤマニンキングリーだ。08年12月の中日新聞杯(中京、芝2000㍍)で初重賞を飾ると、09年8月の札幌記念(札幌、芝2000メートル)ではブエナビスタに首差をつけて重賞2勝目を挙げた。そして11年10月のシリウスS(阪神、ダート2000㍍)で重賞3勝目を飾るとともに初めてダート重賞をものにした。「二刀流」は、父から息子へと受け継がれたのだ。
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