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第68回 もの思う秋~ディサイファとラブリーデイの成長は実を結ぶか~

2015.11.18
 秋競馬が開幕し、GⅠ戦線も盛り上がりを見せていますが、今年の春競馬の終盤から夏にかけては、個人的にいろいろな出来事が次から次へと起こり、精神的に萎えてしまうことや、考えさせられることが実に多くありました。
 レポーターとしての仕事における自分自身の在り方や歩みの振り返り、またかれこれ2年音信不通ではあったものの、私にとって大事で大切な同世代の知人の突然死など、ショックを受けることばかり。

 常日頃、考えていないわけではないのですが、そういったことが起こることで、生きるとは、生かされているとは、人とは、今の現状とは、と、いろいろと自問自答する時間となりました。

 ある人が、「ピンチはチャンス」と言っていましたが、ピンチの状態=追い込まれる状況には、普段とは違う発見や気づきに出会う機会が含まれているという意味もあってのことなのでしょう。

 失った人は戻りませんし、失ったものや出来事をなかったことにはできませんが、しっかりと胸に刻まなければならないなぁと、この秋を迎えるにあたり感じています。考えてみれば、もう既に人生の曲がり角にきている40歳。好き勝手なことばかり言っていては、ダメですね...反省。

 そういえば以前、角居調教師が厩舎内でのスタッフ同士の不満や揉め事をなくすために、全ての任務を全員に経験させてみると話していました。

 それぞれの立場を経験することで、その難しさや大変さに気づき、いつしかお互いがお互いを気遣えるようになると。まさに、経験に勝るものなし。

 さて経験による成長と言えば、この1年で特にそれを感じた馬は、ディサイファとラブリーデイ。

 このコラムが掲載される頃には、秋の天皇賞の結果も出ているとは思うのですが、2頭を見ていると、馬と陣営から学ばなければならない点が多くあるように思えます。

 ディサイファにおいては、馬のリズムと気持ちを尊重してきた歩みが6歳となって脚質に幅を持たせ、馬群でも我慢できる精神状態に成長。小島太厩舎と四位騎手がタッグを組んできた歩みが大きいように思えます。

 子育においてもそうですが、直ぐに結果を望むのではなく、気長に待つことは本当に大事。それには子を理解し、見守る我慢が必要ですが...。

 一方のラブリーデイは、若い頃はハミを噛んでしまうところがあり、前々の競馬で持久力をいかす形のイメージでしたが、角馬場を使い、ハミ受けをよくするなどの作業を丁寧に施したことで、今では切れ味も出てくるほど。

 馬自身も折り合いを理解したことで、レース後の疲労度が軽減され、使う毎に強さを増し進化の継続中といった印象。

 これまでですと、直線の長い東京コースは不向きにも思えましたが、今の様子ならば東京でのGⅠ戦線でも楽しみが広がる気がし、どんな走りを見せるのか?個人的にも注目の1頭です。

 ラブリーデイにおいては、弱点と向き合った過程がGⅠ馬へと昇りつめた要因にも感じ、根気強く歩むことの大切さを物語っている気がしました。

 ぶつかり合う厳しい時間を乗り越えた先に待っている自覚と成長、あ~なんだか、もがき苦しんでいる今の自分への教訓そのもの。

 身に沁みます。

 それでは、また来月お逢いしましょう。
 ホソジュンでしたぁ。
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