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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第19回 コツコツ走って初重賞制覇 「絆を結ぶ」レガルスイ

 6月22日に行われた京成盃グランドマイラーズ(SIII)で勝利したのは、これが嬉しい重賞初制覇となったレガルスイ(5歳牡馬 父エイシンサンディ 船橋・矢野義幸厩舎)でした。ダート1600(重)のタイムは1:39.7(上がり39.0)。前年の覇者ソルテ(大井 寺田新太郎厩舎)は同じく重馬場で1:39.5(上がり39.5)。ソルテといえば、今年5月のかしわ記念(JpnI)で2着、6月のさきたま杯(JpnII)で優勝するなど、南関東生え抜きとしてダートグレード競走で活躍中。同じく生え抜きのレガルスイの今後にも期待が膨らみます。

 管理する矢野義幸調教師にとってはこれが重賞16勝目。レガルスイの母・ピンクキューティも管理していたことから、父母ともに元管理馬で重賞ウイナーとなっているストゥディウム同様、矢野調教師らしい"厩舎ゆかりの血統での重賞制覇"となりました。

 2013年11月の2歳新馬戦でデビューしたレガルスイは、重賞初出走となった京浜盃(SII)では7着だったものの、翌月の川崎・山桜特別を4馬身差で快勝。クラシックへの参戦が期待されましたが脚元の故障から約1年間休養。4歳となった2015年3月に復帰すると、コツコツと堅実な走りでオープン馬まで駆け上がってきました。

 逃げ馬のレガルスイの最大の武器は、最後まで止まらないスピード。さらに、南関東4場全てで勝ち星をあげる『コースを選ばない』点も魅力です。掲示板を外したのは、過去24戦のうち、たったの2回。それも京浜盃(SII)と、ソルテに果敢に挑んで散ったゴールドカップ(SIII)でのものですから、12勝2着7回・連対率79.2%(2016年6月25日現在)の堅実さは南関東トップクラスと言っても良いでしょう。

 もともとカッとなりやすい気性ということで折り合いが課題とも言われていますが、今回はスムーズにレースを運べたとのこと。「ソルテに挑んだ浦和のゴールドカップ以降、ぐっと力が付きましたね。トモに力強さも出たし、精神的にも成長して、調教も集中してできるようになりましたよ」と大窪厩務員。春に馬房を替えてからは、飼葉食いもぐっと良くなったそうで、精神的にも良い状態をキープできている様子です。

 別の厩舎で聞いた話ですが、向かい合わせの馬房で、斜め前にいる馬にじっと見つめられてリラックスできなくなってしまった馬がいたので馬房を替えた、とか、さびしがり屋の馬対策のための小窓が、ある馬にとっては逆効果になってしまったので板でふさいだ、という話を聞いたことがありました。やはり、馬も人間と同じで気に入る場所とそうでない場所があるのでしょうね。

 レースではぐっと首を低くして、気迫溢れる姿が印象的なレガルスイですが、銀色に輝くタテガミと尻尾の美しさから、グッドルッキングホースとしても注目を集める存在となりました。

nf-201606pic_トリミング.jpg 思い起こせばまだ彼が当歳だった2011年の夏、故郷の静内山田牧場さんで取材させて頂いた際、母・ピンクキューティのお腹の下から"こそっ"とこちらをのぞいていた姿は今も記憶に鮮明です。あれから、早5年。母や牧場の皆さんとお別れし、育成場へ向かい、入厩し、一人前の競走馬になるためにいろいろな人との時間を繋ぎながら、重賞ウイナーへの道を歩んで来たのですね。残念ながら、ピンクキューティはこの春天に召されてしまいましたが、『絆を結ぶ』という意味の馬名を持つ息子・レガルスイが、この先も母の名を繋いでいってくれることでしょう。

 掲載した写真は、レガルスイが生まれた時に、静内山田牧場さんが送ってくださったものです。今回の優勝では、故郷の皆さんも大きな喜びに包まれたそう。それを聞いた時、ひとつの勝利の傍らには、その勝利を喜ぶ馬産地の皆さんの姿がある、それを忘れずにいよう・・・改めてそんな事を思う勝利でもありました。

 レガルスイの次走は、8月の大井・サンタアニタトロフィー(SIII)または、川崎のスパーキングサマーカップ(SIII)とのこと。「レース後も元気いっぱい。すぐに競馬を使えそうなほど。ますますワルく(いい意味で競走馬としての気性に)なってるね(笑)」と大窪厩務員。溢れる闘志を力に変えるようなフォームで走るレガルスイ。関わる人々の思いやファンの声援を結び、繋いでいく・・・。そんな彼の、これからの走りにも注目していきたいですね。