南関フリーウェイ
第110回 船橋競馬場で「ウマ娘」!
1月15日から行われた船橋ケイバ・ハートビートナイターは、普段とは違う雰囲気の中での開催となりました。大人気のゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」とのコラボイベントが催された場内は、装飾、キッチンカー、オリジナルグッズプレゼント、馬場入場曲、場内アナウンスなど、ウマ娘尽くしで大賑わい。1Rから多くの来場者の姿があり、声援の量や熱気を含んだ空気から「ウマ娘」効果の大きさが伝わってきました。
今回登場したのは、いずれも船橋競馬場での交流重賞の勝ち馬で、「アグネスデジタル」「スマートファルコン」「コパノリッキー」「ホッコータルマエ」「ワンダーアキュート」の5人のウマ娘たち。当時のレースを思い出しつつ、周囲との会話では「船橋のウマ娘もいたら楽しいね」という話題も出ていました。
そこで、取材で得たことを基に、もしも船橋競馬に所属した馬がキャラクターになるとしたら・・・と考えてみました。
まずは、ドバイワールドカップにも出走したアジュディミツオー。強い目ヂカラ、風になびくタテガミ(髪の毛)も凛々しく。「人を見下すようなオーラがある」と言われていた猛々しさを思い出します。
地方競馬を牽引したフリオーソといえば、ふわふわの前髪、リラックス中に見せるキュンとした鼻先(口もと)の可愛らしさは格別。JRAの強豪と渡り合った強いレースぶりから一転、馬房ではゆったりと過ごすオンとオフの切り替え上手な面も「らしさ」でした。
中央未勝利から幾度も脚元の困難を克服して南関重賞ウイナーとなり、交流重賞でも頼もしい走りを見せたルースリンド。気高く美しい紫の馬装、個性的で利発さを感じる強い眼差し。その一方で、大のバナナ好き、洗い場では上空を行くヘリコプターを眺める、というロマンチストな一面を感じさせるエピソードの持ち主。馬房(部屋)は一番奥の落ち着くところ。脚元を考慮した、ふかふかの寝藁もポイントです。
現時点で南関東唯一の3冠牝馬・チャームアスリープも忘れてはならない存在でしょう。ピンクの馬装が似合う華やかな栗毛。強くて美しい皆の憧れ、まさに女王そのもの。
2006年のJRA・オーシャンステークスで大金星を挙げた良血・ネイティヴハート。気性が荒く、危ないから馬房の前に近寄ってはいけないと言われていましたが、退厩が近づいたある日、調教師の家族に見せた優しい眼差しは今でも忘れられません。ゲームのキャラクターになるとしたら、どんな風になるのでしょう。
地方所属馬初のJBCクラシック優勝馬で、誘導馬に転身したミューチャリー。新馬勝ちの後、空腹に耐えかねて後検所の藁をくわえたまま厩舎へと戻って行った微笑ましい姿は、ミューチャリーを語る上で欠かせないエピソードです。
アブクマポーロ、インテリパワー、トーシンブリザード、ナイキアディライト、シーチャリオット、マキバスナイパー、サプライズパワー、ロッキータイガー・・・名前を挙げればきりがありません。
そして、その名馬たちを思う時、それぞれが駆けたレースには何頭もの競走馬の存在があり、その1頭1頭に個性と馬生があったことも頭をよぎります。
ゲームがきっかけで名馬を知り、そこから、一緒に走っていた他馬への関心に繋がることもあるかも知れません。ゲームには登場しなくても、誰かの心の中に「一番の馬」「大切な存在」として記憶される馬もいるのでしょう。今回の企画が、船橋競馬場、南関東競馬、広くは地方競馬の楽しさを伝え、多くの騎手や馬への「推し」が増える糸口になればと思います。
また、こういったコラボレーション企画は、競走馬や騎手のPRはもちろん、競馬場や馬産地でのルールやマナーを啓発していく良い機会だという印象を受けました。今後、さらに情報の連携などが重要になってくるのではと思います。
今回はゲームのキャラクターになるためには、さまざまな認可などが必要なことを承知の上で書かせていただきました。ゲームに疎いながらも、もしもあの馬がキャラクターになったとしたら・・・と、楽しい想像が止まりません。