南関フリーウェイ
第132回 JBC2025船橋・門別
11月3日、船橋競馬場で15年ぶりとなるJBCが開催されました。今年25周年のJBC。主催者発表では、船橋競馬1日当たりの売得金レコードを更新した他、JBCクラシックの売得金が3,049,658,300円となり、同競走の売得金額のレコードを更新したとのこと(これまでは2,991,791,200円 2020年 大井競馬場)。数字のみならず、パドックの2階・3階に横断幕が張られている風景からも、特別な1日ということが伝わってきました。
芝生が広がるパークエリアは、ふわふわドームやキッチンカー、物産店などが並んで賑やかな雰囲気。多くの人が行き交う中で、注目を集めていたのは誘導馬の馬房前。馬たちが顔を出す様子を見ようと、順番待ちの長い列ができていました。
この日のラインナップは重賞馬3頭。地元船橋の生え抜き、2021年に地方所属馬として初のJBCクラシック優勝馬となったミューチャリー(生産:芳住鉄兵氏)。JRAから船橋に転入し、報知オールスターカップなどを制したエルデュクラージュ(生産:ノーザンファーム)。 南関東競馬の規約「10歳以上馬の出走資格等、前年次に入着歴のあるA1級格付馬に限り、当該年次の出走資格が与えられる」をクリアし続け、14歳まで南関東に在籍、地方・中央両方で重賞を制したリッカルド(生産:岡田スタッド)。現役時代とはまた違う魅力ある3頭の様子に「ここ、サイコー!」と笑顔を見せるファンの姿も。船橋競馬場の新名所として、不動の人気スポットになりそうです。
また3Rでは、新規開業の石崎駿調教師と森泰斗調教師が揃って管理馬初出走。もうひとつのメインレースと言っても過言ではない舞台に、ファンもプレスもドキドキワクワク。結果は森調教師がセイウンユズカ(生産:村上欽哉氏)で開業初出走初勝利という快挙、2着には石崎調教師の管理馬ワナカ(生産:松田牧場)というドラマチックな展開に。
森調教師に初勝利をもたらしたのは教養センターでの同期・戸崎圭太騎手ということもあり、声援もひときわ大きなものとなっていました。「こんなにうまくいくんだなと、ドラマみたいな展開に喜んでいます。早い時間から乗りに来てくれた圭太にも感謝しています。歴史に残る馬を輩出したいですね」と森調教師。なお、石崎調教師は翌11月4日、開業2戦目で初勝利。「着実に1頭1頭育てていきたい」と語りました。
さて、撮ったり聞いたり、確認したりしているうちに、JBCレディスクラシック(優勝馬:アンモシエラ 横山武史騎手 松永幹夫厩舎(JRA)生産:桑田牧場)の発走時刻に。そこからJBCスプリント(優勝馬: ファーンヒル 笹川翼騎手 荒山勝徳厩舎(大井)生産:谷岡牧場)、門別のJBC2歳優駿(優勝馬:タマモフリージア 田口貫太騎手 大橋勇樹厩舎(JRA)生産:岡田牧場)を挟んで、JBCクラシック(優勝馬:ミッキーファイト C・ルメール騎手 田中博康厩舎(JRA)生産:ノーザンファーム)。
レースの詳細を堪能する余裕もないままでしたが、JBCスプリントを制した後、勝利の「1」を指で示してファンの声援に応え、ファーンヒルの首元に手を添えて労う笹川騎手の姿は圧巻。その背後にある大型ビジョンに、笹川騎手とファーンヒルが見ている満員のスタンドが映し出されていたことも感動的でした。これぞまさに大レースの日!という実感たっぷり。以前仕事を共にした方との再会も嬉しかった。

もうひとつ、JBCならではのもの。それは臨時のプレスルーム。仮設とはいえ、デスクや椅子はもちろん、窓、電源、エアコン、換気扇、WiFi(さらに美味しいお弁当まで!)完備。現場からは少し距離がありましたが、作業しやすくて助かりました。
思えば20年ほど前、船橋競馬場の名伯楽・故川島正行調教師が「女性や家族層が来てくれれば、競馬場は明るくて楽しい場所になる」と常々話していたのを記憶しています。そのための企画や整備に尽力した川島師。そして川島師だけではなく、自らが生きてきた場所、生きていく場所である船橋競馬場をより良くするための方法はないかと模索していた人々の存在。その人たちが、JBC当日の華やいだ様子を見たらなんと言ったか、どんな表情をしたのだろうかと、あの景色を一緒に見たかった人々を思い出すJBC2025船橋・門別でした。なお、来年のJBCは2026年11月3日に、金沢競馬場と門別競馬場で行われます。
