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第129回 カフェで数えた競馬の仕事

2025.08.26

 月に1度ほど通う都内のブックカフェのオーナーから、地方に移住すると聞いたのは4月のこと。閑静な住宅街の中、近隣には大学や歴史的・文化的な建築物も点在し、地元の方からも愛される場所。コーヒーの美味しさはもちろん、オーナー夫妻の豊富な知識とコミュニケーション能力の高さ、温かい人柄、ユーモアのセンスは心の栄養となり「近ければ毎日通いたい!」と思ったほど。

 そのカフェで、競馬に関わる仕事の話になったことがありました。競馬をほとんど知らない元教師の方と、馬の絵の話から私が携わっている仕事の話に。競走馬はどんな風に暮らしているのかと問われ「厩舎が学校だとすると、馬は生徒で調教師は校長先生。厩務員は担任の先生で、給食も作る。獣医は保健の先生というイメージ」と説明。ざっくりでしたが概要は伝わったようで、その後は競馬場がある土地の話に花が咲きました。

 このように、時々「競馬の仕事ってどんなことをしているの?」と聞かれることがあります。あるいは「競馬の仕事に就くにはどうしたら良いですか?」と尋ねられることも。

 競馬の仕事と聞いてまず思い浮かぶのは、騎手や調教師、厩務員、牧場関係でしょうか。特に騎手は、実際にレースを見たことがなくても思い浮かびやすい職種なのではと思います。

 また、競馬を知らなくても、新聞記者、アナウンサー、キャスター、カメラマンなども比較的イメージしやすそう。しかし、競馬に関わる仕事の全てを把握するのは困難で、わかる範囲で数えてみても限りないほどです。

 

 今回掲載した写真は、船橋競馬場に7月末に設置された洗い場。騎手がブーツの砂を落とす時などに利用されますが、気持ちよく使えるように従事員さんが常に気を配っている場所でもあります。ここはファンエリアからも見えますが、見えない場所、例えばスタンド1階の奥には勝負服やゼッケンを洗濯するバックヤードも。他に関係者用の食堂、誘導馬馬房、警備員室などもあり、多くの人が縁の下の力持ちとして競馬を支えています。

 このように実際の現場だけでも競馬に携わる仕事は多種多様ですが、「お!」と思ったのがシステム関係の仕事。私自身、新卒で入った銀行系の情報処理会社でシステムエンジニア(SE)を経験しましたが、情報処理も当時と今とでは大きく変化。競馬関連のシステム会社はどんな仕事をしているのだろうという気持ちで、ある会社のHPを拝見すると「こういう業務もあるのね!」と新たな発見もありました。

 その一方で変わらず残っているものもあり、当時使っていたプログラム言語が競馬関連のシステム構築現場でいまだ現役だと知った時には「そうか、キミは今も頑張り続けているのか」と古い友人と再会したような気持ちに。SE時代はまだ競馬を見始めたばかり。会社のアンケートの希望欄に、同僚と共に「競走馬を所有してください。励みになります」なんて書いていた頃のこと。納期間近の仕様変更で涙目になっていたあの頃、競馬とプログラム言語が繋がっているなんて想像もしませんでした。

 もうひとつ。懐かしい風景の中にある仕事、になるのかも知れません。10数年前、早朝の時間帯に厩舎に行くと、荷台に刈りたての青草を積んだ軽トラックを見かけることがありました。近くを通ると清々しい香りがして草原に行ったかのような気持ちに。業者さんは年配の方だったと記憶していますが、今はどうされているかなと思い出すこともあります。 さて、冒頭のカフェ。移住するオーナーは、東北の地で新たなブックカフェをオープンする予定とのこと。そういえば、以前オーナーが「面白そうだから買ってみたんだよ。すごく良かったよ!」と勧めてくれたのが山本周五郎賞とJRA賞馬事文化賞を受賞した早見和真氏の著書「ザ・ロイヤルファミリー」。すぐに購入し、ぐんぐん引き込まれてあっという間に読了。この秋からテレビドラマ化されるとのことで、そちらも楽しみです。

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