JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第128回 速記の思い出とコメント収集のあれこれ

2025.07.28

 朝の連続テレビ小説「あんぱん」。ヒロインが取材に奔走する様子が描かれる中、速記が登場してふと懐かしい記憶がよみがえりました。高校の通学途中、久しぶりに再会した小学校時代のクラスメート。近況を語り合う中で「もうすぐ学園祭。ぜひ遊びに来て!」と彼女の学校に招待してくれました。

 異文化に触れるような、ちょっとワクワクした気持ちで迎えた当日、案内されたのは速記部のコーナー。そう、彼女は速記部だったのです。人生初めて見た速記。速記って通信教育の広告で見たような・・・なんて思いながら、ひょろんとした文字で綴られた展示を見学。きっと表情に「?」が出ていたのだと思います。「よくわからないかもだよね(笑)。でも、覚えると便利なの」と元クラスメート。

 あれから時は流れて、話を聞いて書くという仕事に就き、取材ノートの、速記ではないのにひょろひょろ、自分でしか読めない、いえ自分でも「?」となってしまう文字を見ると、あの学園祭を思い出すことがあります。私の名前を速記で書いてくれた旧友、どうしているかな。

 聞いて書くことが増えるに従って、様々な媒体の記事を見ると「これを書くためにたくさんの時間を費やしたのだろうな」と思うことも増えてきました。読むのはあっという間でも、取材に至るきっかけ、取材の予約、準備、取材、記事にする作業。見えない時間と労力がそこには存在するのだろうと、自分自身と重ねてみることも。

 ここで、取材時の大まかな流れをまとめてみましょう。

 調教師や騎手に取材する場合、当日の管理馬の出走や騎乗馬をチェック。装鞍の時間、騎手なら連続して乗っているかどうかなど。レース後はひと休みしたいこともあるでしょう。そういった時間を考慮しながら「〇レースの後(あるいは装鞍の後)、お話聞かせてください」などとお願いしておくのが個人的なパターン。

 話を聞くために待つ場所は、取材が許可されている通路など。じっくり聞きたい時はまた違う形になります。レース直後には、囲み取材にお邪魔することも。

 話が厩舎関係者と話をしているという場合もあり、その際には別の機会に再トライ。できれば勝った後、良い結果になった後などに聞きたい。負担をかけないよう、特に今のように暑い時期には取材のタイミングや話を聞く場所(できるだけ涼しい所)への配慮も忘れないように。また、業務エリア内は競馬場ごとのルールがあるので、それらを確認しておくのも忘れないように。

 一方、厩舎関係者への取材時は、前もって厩舎にいる時間を聞いてから。担当馬以外でも手伝いでレースに行ったり、放馬に備える詰所の当番になっていたりすることもあるので確認は大切です。「この時間ならいつもいるから大丈夫」と、遠くの厩舎まではるばる歩いて行ったのに不在だった・・・というショックな出来事回避のためにも。また、開催中、馬場近くの通路は安全確保のために通行できなくなる時間帯があるので、移動時間やタイミングにも要注意。・・・と注意事項が並んでしまいました。

 

 このような流れで取材して書くことが多いのですが、これは流動的なものであり、掲載媒体などによってもその都度変わってくるのではと思います。

 さて先日、ショッピングセンターで、校外学習中の小学生たちと遭遇しました。メモを手に店から出て来る人を見て、ちょっと近寄ったり、戻ったり。これはもしや取材?出待ちでは?と推察。「知らない人に話しかけるのって勇気がいるだろうなぁ」と、ちょっと頑張ってフレンドリーオーラを出していたら、恐る恐るひとりの児童が声を掛けてきました。この町の魅力、これからもっと良くするためにはどうしたらいいと思うか、町の人の意見を聞いているのだとか。名前と質問の目的を告げて、質問、そしてお礼の言葉。小学生ならではの文字で一生懸命にメモを取る姿が微笑ましい。取材される側の気持ちも少し体験できて、勉強にもなりました。どんなレポートになったのかちょっぴり気になります。

トップへ