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第112回 “船橋のキング”ギガキングと、開業10周年稲益貴弘厩舎

2024.03.25

 3月7日、船橋競馬場で第27回京成盃グランドマイラーズ(SII)が行われました。優勝したのは1番人気に応えたギガキング(船橋 稲益貴弘厩舎 父キングヘイロー)。3コーナー手前から追い出すと、直線でぐんぐんと加速。みるみるうちに前を行くアランバローズを捉え、後続から脚を伸ばした2着馬ナニワサテオキに3馬身差をつけて圧勝。前走2月の駿麗賞からの連勝で、重賞7勝目を挙げました。

 ギガキングと長くコンビを組み、今回も勝利へとエスコートした和田譲治騎手は「1700m1800mが良いというイメージはありますが、稲益調教師から状態は良いと聞いていたので1600mでも対応はできると思っていました。外枠からギガキングのポジションで競馬を進めることができて、ペースも流れていて直線も反応良く伸びていましたね。(船橋で重賞5勝目ということで)コースとの相性もいいんでしょうね。今後、中央交流でいい結果を出してくれることを祈っています」と語っていました。

 管理する稲益貴弘調教師は「本当に調子が良くて、追い切りもすごくいい動きでした。今回、展開も向きそうだったので、これなら勝負なるなとずっと思っていました。上手くいって良かったです。直線で良い脚で伸びて来たのを見て、このままなら大丈夫、勝てるなと思いました」と安堵の笑顔。

 「実はマイラーなんじゃないかな、と(笑)。この前、担当厩務員と話していたんですよ。これまでも、厩務員がマイラーなのではと話していたので。一昨年の京成盃グランドマイラーズでも、強い馬相手に3着(勝ち馬と0.4秒差 1着カジノフォンテン、2着スマイルウィ)になっていますし、(ホッカイドウ競馬時代の)2歳の時は盛岡の重賞(南部駒賞)も勝っていますし。なので、距離に対する不安は無かったですね。今回の勝ち時計1分39秒5も素晴らしいですね。びっくりしています」(稲益調教師)。

 1着馬ギガキングと2着馬ナニワサテオキ(浦和 平山真希厩舎)の2頭は、5月1日(水)に行われるダートグレード競走・かしわ記念(JpnI)への優先出走権を獲得。「中央の馬の強さは知っていますので、かしわ記念には挑戦者としてやっていきたいと思います」と、JRA所属馬との対決に向けての稲益調教師のコメントはあくまでも謙虚。とはいうものの、やはり地元・得意コースでのJpnI出走ということもあり、“船橋のキング”の走りには期待を膨らませずにはいられません。

 

 レース後、口取り撮影を待つ間には調教パートナーとしてその強さを支える山本聡紀騎手が、キガキングの鼻先を撫でるあたたかなシーンも。しかし、その後は闘志の炎メラメラのギガキングに緊張感が漂う中での撮影となりました。

 「走った後でもああですから、走ってない時だと力が有り余っていて、あの状態(撮影)だと人がやられていますね(苦笑)。いつもあんなかんじですよ」(稲益調教師)。

 稲益厩舎は2014年1月に初出走。ちょうど10年前、2014年3月20日に初勝利をあげました。伯父に上山競馬場で騎手と調教師をしていた五十嵐浩治さんがいたこともあって遊びに行く機会も多く、子どもの頃から競走馬と触れ合う時間も多かったそう。成長してからは、オークスや秋の天皇賞を制し、牡馬と互角に渡り合った女傑・エアグルーヴを応援するために競馬場にもたびたび足を運んだそうです。開業当時、「子供の頃は馬が怖くて、調教師になるなんて思っていなかったですよ」と伺ったことが、記憶にも手元の取材メモにも残っています。

 初勝利から10年。大きな通過点を経ての今後の抱負について尋ねると「そうなんですよね、10年経ちましたね。これからも今まで通り変わらずに、楽しく、丁寧にやっていきたいですね」とのこと。稲益貴弘厩舎は昨年40勝をあげ、今年は3月24日時点で12勝(通算306勝)、南関東リーディング10位にランクイン。これからのますますの活躍に注目していきましょう。

 なお、船橋競馬場はまもなく新スタンドBがオープン。バックヤードの工事も着々と進み、スタンドからはその様子を眺めることも可能です。“船橋のキング”の走りと共に、新しい景色も待ち遠しい春となりました。

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