北海道馬産地ファイターズ
第8回 馬市ドットコム(Part2)
2009.08.01
ポスト
馬市ドットコムの提携牧場((有)チェスナットファーム,エバグリーンセールスコンサインメント,(株)ハッピーネモファーム,(有)平野牧場,前田宗将牧場,(有)大作ステーブル,(有)山口ステーブル)は,チームとして結びついているだけでなく良きライバルでもあると,運営者の齊藤宗信さんは話す。
「チームの仲間からG㈵馬を送り出すことができたり,また,せりで高い評価を受けたときには,自分のことのように喜び合います。ただ,その一方で競馬にしても,またせりにしても競争であることは間違いありませんし,『次は自分の牧場から』と誰もが思っているのではないでしょうか」(齊藤さん)
この提携牧場を「奇跡の集団」と称するのが,馬市ドットコムには最も遅く参加した(有)山口ステーブルの山口裕介代表である。
「ミーティングやせりなどでの仕事を見ても感心するばかりですし,ただ,圧倒されます。しかもそれぞれが個々でも優れた仕事をしているのにもかかわらず,馬市ドットコムへの協力を欠かさないのも素晴らしいですよね」(山口代表)
せりでこんな光景を見たことがある。馬市ドットコムのあるコンサイナーの元に,立て続けに違う馬を見せて欲しいとバイヤーが訪れた。困ったことにスタッフの数人は上場を控えた馬に付いておりすぐに対応ができない。その時,そのコンサイナーに代わって馬房から馬を連れ出したのは,他の牧場スタッフだった。
「山口さんが話していたように,僕も奇跡の集団だと思っています。しかもそれぞれの牧場が馬市ドットコムを大事に思っていてくれているだけでなく,『いい馬を送り出したい』という向上心も持っていてくれる。しかも今回,チームからジョーカプチーノというG㈵馬が現れたことで,よりその意識は高まったと思います」(齊藤さん)
近年のせり市でも証明されているのが,提携牧場の売却率の高さである。先日,行われた「JRHAセレクトセール2009」でも高い売却率を記録。HBAで主催されるセールでは,最高落札馬を生み出すことも珍しくなくなったことからしても,もはや馬市ドットコムはせりにおけるブランドにもなった印象を受ける。
「馬市ドットコムの認知度が高まっているのは嬉しいことですが,ブランドと認められるためにはまだまだやらなくてはいけないことが沢山あります。例えばせり情報の発信や売却率の更なる向上。せり後におけるオーナーや調教師の方への挨拶など,バイヤーの方への対応もまだまだやれるはずです」(齊藤さん)
前回の原稿で,「馬市ドットコムという船の舵取りをしている」と話してくれた齊藤さんだが,医薬情報担当者の仕事などチームの中で最も外の世界を見てきたからこそ,馬の世界だけで通用してきた方法論に疑問を持つこともできた。
「自分はチームの中では馬と携わった時間も少ないですし,この世界のしきたりなども十分には分かっていないと思います。ただ,分からないからこそ言えることもありますし,その意見を受け入れてくれるのも,このチームならではと言えるでしょう」(齊藤さん)
チームがせりや競馬で結果を残している一方で,齊藤さんも馬市ドットコムのアピールを続けている。写真,デザインともにこだわったせり冊子の制作だけでなく,馬市ドットコムのホームページ上で載せる情報のために日夜馬産地を飛び回っており,その行動力にはマスコミである自分も敬服するばかりである。
「自分としても馬市ドットコムのためにまだまだやるべきことはあります。でも,やるべきことが次々と見つかるのは楽しいですよ」と齊藤さんはどこか嬉しそうに話す。
馬市ドットコムの繋がりの強さを示す,こんなエピソードを最後に書き記したい。それはジョーカプチーノがNHKマイルCを制した次の日に札幌競馬場で行われたHBAトレーニングセールのこと。生産牧場である(株)ハッピーネモファームの根本明彦代表,そして育成牧場である(有)山口ステーブルの山口裕介代表の周りをいつしか馬市ドットコムのメンバーが囲むと,突然に胴上げが始まった。誰もがその光景を呆気にとられながら見つめる中,胴上げはいつまでも,いつまでも続いていた。
JBBA NEWS 2009年8月号より転載
「チームの仲間からG㈵馬を送り出すことができたり,また,せりで高い評価を受けたときには,自分のことのように喜び合います。ただ,その一方で競馬にしても,またせりにしても競争であることは間違いありませんし,『次は自分の牧場から』と誰もが思っているのではないでしょうか」(齊藤さん)
この提携牧場を「奇跡の集団」と称するのが,馬市ドットコムには最も遅く参加した(有)山口ステーブルの山口裕介代表である。
「ミーティングやせりなどでの仕事を見ても感心するばかりですし,ただ,圧倒されます。しかもそれぞれが個々でも優れた仕事をしているのにもかかわらず,馬市ドットコムへの協力を欠かさないのも素晴らしいですよね」(山口代表)
せりでこんな光景を見たことがある。馬市ドットコムのあるコンサイナーの元に,立て続けに違う馬を見せて欲しいとバイヤーが訪れた。困ったことにスタッフの数人は上場を控えた馬に付いておりすぐに対応ができない。その時,そのコンサイナーに代わって馬房から馬を連れ出したのは,他の牧場スタッフだった。
「山口さんが話していたように,僕も奇跡の集団だと思っています。しかもそれぞれの牧場が馬市ドットコムを大事に思っていてくれているだけでなく,『いい馬を送り出したい』という向上心も持っていてくれる。しかも今回,チームからジョーカプチーノというG㈵馬が現れたことで,よりその意識は高まったと思います」(齊藤さん)
近年のせり市でも証明されているのが,提携牧場の売却率の高さである。先日,行われた「JRHAセレクトセール2009」でも高い売却率を記録。HBAで主催されるセールでは,最高落札馬を生み出すことも珍しくなくなったことからしても,もはや馬市ドットコムはせりにおけるブランドにもなった印象を受ける。
「馬市ドットコムの認知度が高まっているのは嬉しいことですが,ブランドと認められるためにはまだまだやらなくてはいけないことが沢山あります。例えばせり情報の発信や売却率の更なる向上。せり後におけるオーナーや調教師の方への挨拶など,バイヤーの方への対応もまだまだやれるはずです」(齊藤さん)
前回の原稿で,「馬市ドットコムという船の舵取りをしている」と話してくれた齊藤さんだが,医薬情報担当者の仕事などチームの中で最も外の世界を見てきたからこそ,馬の世界だけで通用してきた方法論に疑問を持つこともできた。
「自分はチームの中では馬と携わった時間も少ないですし,この世界のしきたりなども十分には分かっていないと思います。ただ,分からないからこそ言えることもありますし,その意見を受け入れてくれるのも,このチームならではと言えるでしょう」(齊藤さん)
チームがせりや競馬で結果を残している一方で,齊藤さんも馬市ドットコムのアピールを続けている。写真,デザインともにこだわったせり冊子の制作だけでなく,馬市ドットコムのホームページ上で載せる情報のために日夜馬産地を飛び回っており,その行動力にはマスコミである自分も敬服するばかりである。
「自分としても馬市ドットコムのためにまだまだやるべきことはあります。でも,やるべきことが次々と見つかるのは楽しいですよ」と齊藤さんはどこか嬉しそうに話す。
馬市ドットコムの繋がりの強さを示す,こんなエピソードを最後に書き記したい。それはジョーカプチーノがNHKマイルCを制した次の日に札幌競馬場で行われたHBAトレーニングセールのこと。生産牧場である(株)ハッピーネモファームの根本明彦代表,そして育成牧場である(有)山口ステーブルの山口裕介代表の周りをいつしか馬市ドットコムのメンバーが囲むと,突然に胴上げが始まった。誰もがその光景を呆気にとられながら見つめる中,胴上げはいつまでも,いつまでも続いていた。
JBBA NEWS 2009年8月号より転載