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第203回 『ダート三冠2年目』

2025.11.26

 10月8日、3歳ダート三冠の最終戦、第27回ジャパンダートクラシックが大井競馬場2000mで行われた。


 レースは不来方賞の勝ち馬ナルカミが、好スタートから後続を寄せ付けない走りでそのまま逃げ切り。JpnⅠ初制覇を飾った。


 ナルカミに騎乗した戸崎圭太騎手は「ゲートを出たら、自ずと行けると思っていたので、その作戦をとりました。まだ揉まれる競馬をしたことがなかったので、砂をかぶることなどは極力避けたいと思っていました。」とレース後語っていたが、逃げ先行有利な馬場がこの馬の気性からくる戦法とぴったりハマった印象だ。


 一方、史上初のダート三冠馬(といってもまだ2年目ではあるが)を狙った二冠馬ナチュラルライズは好位4番手を進み、勝負どころではナルカミを射程圏に収めたが、終いの伸びがひと息で3馬身差の2着に敗れた。


 元々が乗り難そうな馬で、横山武史騎手も「よく頑張ってくれました。いつも難しいところがありますが、この馬を見て下さっている方には分かると思いますが、いつもと比べて折り合いはついていました。モタれるところはありましたが、最後も頑張っています。勝った馬が強かったの一言です。」と最後は勝者を称えた。


 2着から9馬身差の3着にケンタッキーダービー以来となったルクソールカフェ(USA)が入り、3−1−2番人気での堅い決着ではあったが、最後の直線は差が詰まりそうで詰まらず、ナルカミの強さが目立ったレースであった。


 本場入場者は11,801人で前年比70.3%。昨年はJRAの競馬場では見られないJRA所属馬フォーエバーヤングの出走で多くの人出があったが、今年は三冠馬の誕生なるか?という大きな話題がありながら伸びを欠いた。


 我々も昨年の幻想を抱いて部数を整えたが、どうやら空振りに終わったようだ。


 もちろんまだ2年目であるから認知度もそこまで高くはないだろうし、1番人気の単勝が1.9倍では馬券ファンの興味もそれほど惹かなかったのかもしれない。


 ジャパンダートクラシックは、これで2年連続、春の二冠以外の路線から勝ち馬が現れた。考えられる要因としては、春は有力馬がサウジダービー、UAEダービーへ向かう傾向が強いこと。これは昨年がピッタリ当てはまる。


 また、羽田盃、東京ダービーのJRA勢の選定頭数(一般的には出走枠という)が少なく、成長途上の馬にチャンスがほぼ巡ってこないことが考えられる。今年はこのパターンかも知れない。ナルカミが2戦目の中京で好走していれば(結果は7着)、あるいは春二冠への切符を手にしていたかもしれない。


 昨年は1着フォーエバーヤングがケンタッキーダービー3着から、2着ミッキーファイトはレパードステークスから、3着サンライズジパングは不来方賞から参戦。


 今年は1着ナルカミが不来方賞から、2着ナチュラルライズは春二冠、3着ルクソールカフェ(USA)はケンタッキーダービーからの参戦だ。


 現行の羽田盃、東京ダービーの出走条件では、JRA勢には狭き門だ。いずれ見直しで徐々に開いてくるものと思われるが、それまではこのような傾向が続くのではないか。


 他に考えうるとすれば、二冠目の東京ダービーと、三冠目のジャパンダートクラシックが、同じ大井2000mで行われる点か。


 「三冠」といえば中山2000m→東京2400m→京都3000mとか、ニューマーケット1マイル→エプソム1マイル4ハロン6ヤード→ドンカスター1マイル6ハロン115ヤードとか、チャーチルダウンズ1マイル1/4→ピムリコ1マイル3/16→ベルモント1マイル1/2のような、三冠それぞれ異なるコース、異なる距離で行われていて、ファンもその形の方が馴染む。ただ、南関東では長らく大井で三冠が行われていただけに、違和感は少ないだろう。


 東京大賞典、帝王賞もそうだが、大井2000mはチャンピオンシップを行うコースとしてはベストオブベストで、それゆえに他のコース、違う距離で行うという考えは浮かびづらいのだろう。


 2年目を終えて、予想という面では前二冠との関連性は思っていたほどでもなく、海外遠征帰りに加え、レパードステークスや不来方賞の存在感が思っていたよりも強く、一連の路線としては面白くなってきたのではないだろうか。

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