馬ミシュラン
第201回 『2歳戦』
8月20日、浦和競馬場で南関東では今年最初の2歳重賞、第3回ルーキーズサマーカップが行われた。
9頭立てと少頭数になり、船橋のアムールピスケスが1番人気、地元浦和の牝馬アンジュルナが2番人気、川崎のロードレイジングが3番人気に、それぞれ推された。
レースはコパノワイアットが先手を奪い、2番手にカンターレ、3番手にアムールピスケスとアンジュルナ。前半37秒0、上り38秒1のほぼ平均ペースとなったが、スタートでやや後手を踏み後方インコースを追走したロードレイジングが、3コーナー手前から進出して4コーナーで2番手に押し上げ、直線抜け出すと粘るコパノワイアットに3馬身の差を付け、デビュー以来3戦3勝で今年最初の2歳重賞勝ち馬となった。
南関東の2歳重賞は、かつてはもっと遅い時期に行われていた。大井ならハイセイコー記念(2000年まで青雲賞)、川崎なら鎌倉記念(現在の条件は2001年から)、船橋なら平和賞といった“緒戦”があり、暮れの全日本2歳優駿へと続く一連の流れを形成しており、その前哨戦として2歳一組の競走や準重賞が置かれていた。
2020年に大井のゴールドジュニアが重賞に格上げされ、2023年には「新しいダート競走の体系整備」に呼応するように川崎の若武者賞と浦和のルーキーズサマーカップが重賞に格上げされた。
今年の南関東の2歳戦は4月21日、浦和の新馬戦で幕を開け、本稿執筆時点(8月23日)で新馬戦は58レース行われている。
新馬戦のみの種牡馬別だとモーニン(USA)産駒が5頭、アジアエクスプレス(USA)産駒が4頭、ディープブリランテ産駒とモズアスコット(USA)産駒が3頭、コパノリッキー産駒、シャンハイボビー(USA)産駒、デクラレーションオブウォー(USA)産駒、パイロ(USA)産駒、ホッコータルマエ産駒、マインドユアビスケッツ(USA)産駒、マジェスティックウォリアー(USA)産駒がそれぞれ2頭新馬戦を勝ち上がっている。
JBIS-Searchで検索した「2025年+2歳+サラ系+地方」のサイアーズランキング(勝利回数順、8月23日現在)でも、1位モーニン(USA)、2位モズアスコット(USA)、3位アジアエクスプレス(USA)、4位ホッコータルマエ、5位パイロ(USA)だったから、概ね地方競馬全体の傾向と相違はなさそうだ。
現時点のサンプル数ではあまり意味はないが、一応参考までに、競馬場別では、浦和はまんべんなくといった感じ。大井はアジアエクスプレス(USA)産駒3勝、ディープブリランテ産駒2勝。川崎はモーニン(USA)産駒2勝、船橋もまんべんなくというところ。
2025年1月から8月23日までの古馬も含めた種牡馬別勝利数は、浦和がダノンレジェンド(USA)産駒14勝、シニスターミニスター(USA)産駒13勝、ホッコータルマエ産駒11勝。
大井はホッコータルマエ産駒28勝、マジェスティックウォリアー(USA)産駒25勝、シニスターミニスター(USA)産駒とヘニーヒューズ(USA)産駒がそれぞれ24勝。
川崎はコパノリッキー産駒16勝、ダノンレジェンド(USA)産駒、ホッコータルマエ産駒、マインドユアビスケッツ(USA)産駒、モーニン(USA)産駒がそれぞれ14勝。
船橋がシニスターミニスター(USA)産駒22勝、ヘニーヒューズ(USA)産駒17勝、ディスクリートキャット(USA)産駒とモーニン(USA)産駒が14勝と、南関東総合の上位陣とも相違ない顔ぶれ。B級やC級で連勝している産駒の有無ぐらいの差ではないかと思われるが、2歳馬もレース数が増えるにつれ大体同じような数字に収束してくるのではないかと思う。
集計する前は馬場の差、特に大井、船橋のオーストラリア産白砂と、川崎、浦和の国内産の砂で傾向が分かれるのかと思ったが、川崎・浦和のダノンレジェンド(USA)産駒・ホッコータルマエ産駒と大井・船橋のシニスターミニスター(USA)産駒・ヘニーヒューズ(USA)産駒がそれぞれ共通して上位ではあるが、4位以下も差なく似たようなメンバーが並んでいるので、はっきりと傾向があるとは言い難い。
オチのない原稿になったが、実は今回たったこれだけ調べるのにえらい時間がかかった。2歳馬も網羅できずに新馬戦勝ち馬に限定して、賞金で区切ってゲラを出して手で数えた。2歳の傾向ははっきりしなかったが、データ検索の不便さはちょっとだけはっきりした気がする。