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第199回 『レコードタイム』

2025.07.28

 6月14日から始まった夏の函館開催。開幕週の話題を集めたのは芝1000mの2歳レコード、芝1200mの2歳レコード、そして芝1200mのコースレコードの更新だった。


 特に芝1000mの2歳レコードタイムはなんと46年ぶりの更新とあって大きな話題となった。


 1回函館1日の5R、芝1000mの2歳新馬戦で1番人気に推された池添謙一騎手騎乗のカイショーが逃げ切り勝ち。勝ちタイムはあのハギノトップレディが1979年に記録した57秒2を0.8秒更新する56秒4。さらにこのタイムは1997年にソロシンガーが記録した57秒0の函館芝1000mのコースレコードも0.6秒更新している。


 この日、芝のレースは全般的に時計が速かったが、メインの11R、芝1200mの函館スプリントSはカピリナが1分6秒6のレコードタイムで勝ち、2017年の函館スプリントSでジューヌエコールが記録した1分6秒8を0.2秒更新した。


 いくら開幕週で時計が速いといっても、1日に2つのレコードタイム更新は稀だが、追い打ちをかけたのが翌日の1回函館2日5Rの2歳新馬戦(芝1200m)。小沢大仁騎手騎乗の2番人気ルージュサウダージが2020年6月20日にモンファボリが記録した1分8秒7を0.3秒上回る1分8秒4で勝利。開幕週3つ目のレコードタイムとなった。


 しかしそれだけでは終わらなかった。


 翌週の1回函館3日5Rの2歳新馬戦(牝馬限定の芝1200m)で浜中俊騎手騎乗のブラックチャリスが、前週にルージュサウダージが記録したタイムを0.2秒更新する1分8秒2で勝ち、2週間で4回目のレコードタイム更新となった。さすがに2週で4つの更新は、コース改修後の基準タイム期間とかでもない限りは記憶にないが、それだけ今年の函館コースは良好なコンディションなのだろう。そうとしか言いようがない。


 中間に雨が降るとどうなるかだが、ハギノトップレディの記録が更新された以上、残るは函館芝2000mのレコードタイム。あのサッカーボーイが1988年の函館記念で記録した、1分57秒8の行方が気になる。


 長年見慣れているだけに、競馬新聞のレコードタイム欄から名馬の名が消えるのは寂しい限りではあるが。


 この原稿はこのあともダラダラとレコード欄に残る名馬の話が続いていたのだが、締切直前に行われた、浦和競馬のさきたま杯当日にレコードタイムが更新されたので急遽差し替え。


 6月25日の浦和競馬、天候は雨、重馬場の1R本庄宿賞。このレースはレコードタイムではなかったのだが、C3クラスの四・五組1400mで1番人気のハーモニージョーイが1分28秒0の好タイムで勝利。ハーモニージョーイは牡8歳。これまでの持ちタイムは1分31秒2で、3.2秒更新する自己ベスト。編集部内でも「さきたま杯レコードタイム出るんじゃないか?」の声が。


 6R終了後に豪雨、7〜8Rが天候調査のため取り止めとなり馬場整備が行われた。


 その馬場整備明けの9R。3キロ減の中山遥人騎手騎乗の1番人気トッキーホレットが4〜5番手から徐々に位置取りを上げ4コーナー先頭。直線でも脚色衰えず800m45秒5のレコードタイム。前開催にエイシンエメラルドが記録した46秒0を0.5秒更新した。続く10Rもレコードまであと0.1秒に迫るタイムで、いよいよメインのさきたま杯を迎えた。


 渋った馬場ならシャマル。その通りに1番人気のシャマルがスイスイと逃げ切り快勝。注目のタイムは…、大井以外の南関東の競馬場はそこが良くない。ゴールと同時にレースタイムが出ないのである。そこは改善を強く要望したい。


 しばらくして1分23秒2のタイムと「レコード」の文字が。1999年にセタノキングがさきたま杯で記録したレコードタイムが更新された。レコードタイム更新はめでたいことながら、筆者の気分的には「消えた」という感じだ。


 1999年のさきたま杯も浦和競馬場にいて、そのレコードタイムを観た。成績の記録は雨・良馬場となっているが、パドック周回中から今日と同じく激しい雨が降り、馬場は水が浮いていたが、馬場状態発表後だったため良馬場。レース中はほぼ雨も止んで、ゴールする頃には日も差していたのをうっすら覚えている。


 報道陣の中で、あの日浦和競馬場に居たという人を募ったら、みんな50代だった。あれから26年、みんな歳をとるわけだ。「お疲れ様、セタノキングのレコードタイム」。そんな気持ちだ。

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