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第198回 『3歳ダート三冠2年目』

2025.06.25

 本稿執筆時点で、今週は日本ダービーである。競馬ファンにとって「ダービー」とは正月であり、お盆であり、大晦日である。地方競馬記者となり30年以上になるが、やはり「日本ダービー」は毎年楽しみであるし、学生の頃から可能な限り東京競馬場で観戦している(子供たちの剣道大会の監督だったり役員だったりで観戦出来なかった年があるのは残念。特にディープインパクトが勝った2005年。これは一生の不覚)


 1950年に皐月賞が2000mとなり、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞という三冠が成立してから、スタンド改築などの開催地変更や馬インフルエンザによる時期の変更などを除き、一貫して行われている。歴史と伝統がレースそのものの価値を高めている。


 一方、“3歳ダート三冠”はまだ始まったばかりだ。もちろん、羽田盃は70年の歴史があるし、東京ダービーも今年で71年の歴史がある。ジャパンダートクラシックは昨年始まったばかりだが、1999年創設のジャパンダートダービーの回次を受け継いでいる。


 かつては各地区にダービー相当のレースがあり、地区によっては三冠に相当する路線が組まれていたが、方向性としてはまず各地区のダービーを集めた頂上決戦としてのダービーグランプリであったり、あるいは1996年に創設された4歳(当時の表記)ダート三冠(ユニコーンステークス・ダービーグランプリ・スーパーダートダービー。いずれも秋に施行)であったり、ダービーWeekの勝ち馬を集めたジャパンダートダービーであったりと、90年代以降変遷をたどっている。


 その変遷をみていると芝と同様に「ダートのクラシックをなんとか形にしよう」という意図というか、悲願のようなものを感じる。


 “3歳ダート三冠”路線がその最終形態であるかどうかはまだ何とも言えないが、日本に芝とダートの競馬があり、中央競馬と地方競馬がある限り、どこかで全日本的な競走体系の整備が必要であるから、この体系整備は日本の競馬にとって、画期的な出来事であることは間違いない。


 この春、諸々の会合の中で雑談的に“3歳ダート三冠”についての意見をというか、もっと軽めの「感想」を求められることがあった。


 それが施策の評価なのか、それとも売上なのか、あるいは入場なのか、前提の条件によって異なるとは思うが、今のところ材料は少ないが、昨年と今年の羽田盃までの数字を比較すると、2年目となる今年、例えば売り上げで言えば、
 雲取賞  763,055,700円(前年比 98.4%)
 京浜盃 1,190,759,400円(前年比109.7%)
 羽田盃 2,155,039,600円(前年比157.2%)
と、ほぼ同等か前年比増である。羽田盃については昨年が8頭と少頭数で雨が降っていたという悪条件もあったし、京浜盃も昨年は9頭だったから、伸びて当然で、数字自体はまだ真に受けることはできない。


 本場の入場も、
 雲取賞  3,461人(前年比  92.5%)
 京浜盃  6,146人(前年比  83.5%)
 羽田盃 13,599人(前年比 228.7%)
で、天候や出走頭数の影響が大きく、「今の段階では何とも言えない」というのが正直な感想だ。


 ただ今後“3歳ダート三冠”が将来的に芝の三冠のような認知度を得るのなら、①日程や開催場、距離などレースの条件を変えない。②中央と地方の出走頭数を五分にする。というのが大事ではないかと考える。


 歴史や伝統のような価値観を得るなら条件は変えない方がいい。また、ダート三冠の認知度を計るのなら、やはり本場の入場者数はひとつの目安になる。売上も大事だが、理想は「観に行きたい」と思うようなレースだ。競馬ファンは馬に付いてくる傾向があるから、どれだけ中央や他地区からの出走馬を引っ張ってくるかがカギで、仮に地方の出走馬が減るなら、その分中央の出走数を増やすことがあってもいい。そう簡単にはいかないとは思うが。


 フォーエバーヤングの出走で注目を集めた昨年のジャパンダートクラシックは、本場入場16,792人と前年のジャパンダートダービー比112.6%。売上は微増ではあったが同じく1レースのレコード。人気が集中して買いづらかったこともあるだろうが、海外遠征前にひと目観に来たというファンも多かった。


 羽田盃はナチュラルライズが5馬身差の圧勝。東京ダービーでもおそらく人気に推されるだろうが、ユニコーンステークスの1、2着馬も加わり今年も盛り上がりそうだ。

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