馬ミシュラン
第112回 『まさかの通年ナイター』
2018.04.23
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昨年のこの号で「寒くない冬のナイター」という題で船橋競馬ハートビートナイターについて触れた。その中で「さすがに通年はほぼ望み薄だろう。」とも述べた。
ところがどっこい、1年後にまさかの通年ナイター開催実現である。
日程は昨年の11月14日に発表され、「南関東初の通年ナイター開催」と大きく報道された。もちろんどの報道にも「平成30年度から」と書かれてあったのだが、やはりというべきか、1月の船橋開催では夕方に来場するファンが数名あったとのこと。待ち切れないのか、それともちゃんと文章を読んでいなかったのか、それは定かではないが、競馬場の入場門に「ナイター開催は3月から」と張り紙がされるようになったのは、エピソードとしていいだろう。
今年のナイター競馬開幕となった3月16日。寒かった前週とは打って変わって好天に恵まれ、日中の最高気温は15度。それでも日が落ちるとまだまだ寒い3月中旬ではあったが、ナイター競馬を楽しみにしていた2,073名の本場入場者で賑わった。その開催は、
3月12日 2,073人 9億4,578万9,430円
3月13日 2,365人 9億9,482万7,090円
3月14日 3,982人 14億9,555万8,210円
3月15日 2,380人 12億6,741万9,910円
3月16日 1,997人 8億9,386万3,700円
2017年同開催との比較で、入場109%、売上112.8%と、厳密にはその次の開催からなのだが、南関東のナイター開催最初の開幕と、通年開催スタートのアナウンス効果もあり、さらに数字を伸ばしている。
この開催で平成29年度の全日程が終了し、売上は544億6,980万6,920円を記録し、それまでのピークであった1990年度の508億954万9,300円を27年ぶりに更新、と発表された。
多くの地方競馬がそうであるように、90年度をピークに売上が減少しはじめている。船橋競馬は2011年度には約300億円台にまで落ち込んでいた。再浮上のきっかけはご存知の通りJRAのIPAT発売とナイター競馬ということになるだろうか。
ナイター競馬は照明設備の初期投資が大きく、ランニングコストも嵩むため導入したくても二の足を踏む主催者が多かったのだが、競馬活性化補助事業と、低コストの照明設備と、必要な部分だけ照らす配光の工夫により、多くの主催者が検討するようになった。2009年から始まった高知競馬のナイター開催はその象徴的なもので、温暖な気候を生かした通年ナイター開催で、見事V字回復を遂げている。
ホッカイドウ競馬でも、旭川競馬場からの撤退により、2010年からは全日程が門別競馬場のナイター開催で行われている。そこから遅れること8年、ついに通年の波は南関東に押し寄せた、ということになるだろうか。
地方競馬の売上回復はほぼ全主催者にわたり、船橋競馬の売上回復も同じ流れの中での出来事であり、特にナイターが功を奏したとまでは断言は出来ないのだが、一部で「ネット専業競馬場」と揶揄されるような「入場減、売上増」ではなく「入場増、売上増」となっているところからも、ナイター効果は否定できないだろう。
余談ではあるが、船橋ナイター開催の通年化が発表されて、一部騎手から寒さを理由とした反対というか、慎重論の声が出た。ネットで声を挙げると「嫌なら乗るな」というような意見が出るのは、ある意味お約束ではあるのだが、冬の夜に薄着で原付に乗ったことがあるので、その気持ちはわかる(笑)。昼開催でも1~2月は4~5度の日もあり、これが夜で、さらに風が吹けば体感温度はかなり低くなるだろう。さすがに「我慢しろ」とは言えないレベルだ。
例えば全体的なレースの時間を早めるとか、あるいは岩手で行われているように、斤量を増して防寒着の着用を許すなどの防寒対策があれば良いのではないかと思う。
このところ土曜、日曜開催や2場開催など、売上を増加させるため、どこに競馬ファンが潜んでいるのか探るような開催日程が組まれては消え、を繰り返している。新聞の売上とリンクさせても、南関東のファンはほぼ月~金曜日の夜と、祝祭日の昼にいて、2場開催なら大井が圧勝する傾向は何ら変わっていないように思う。
まずは「通年ナイター元年」の推移を注意深く見守り、その中で我々もツボを見極めたい。
ところがどっこい、1年後にまさかの通年ナイター開催実現である。
日程は昨年の11月14日に発表され、「南関東初の通年ナイター開催」と大きく報道された。もちろんどの報道にも「平成30年度から」と書かれてあったのだが、やはりというべきか、1月の船橋開催では夕方に来場するファンが数名あったとのこと。待ち切れないのか、それともちゃんと文章を読んでいなかったのか、それは定かではないが、競馬場の入場門に「ナイター開催は3月から」と張り紙がされるようになったのは、エピソードとしていいだろう。
今年のナイター競馬開幕となった3月16日。寒かった前週とは打って変わって好天に恵まれ、日中の最高気温は15度。それでも日が落ちるとまだまだ寒い3月中旬ではあったが、ナイター競馬を楽しみにしていた2,073名の本場入場者で賑わった。その開催は、
3月12日 2,073人 9億4,578万9,430円
3月13日 2,365人 9億9,482万7,090円
3月14日 3,982人 14億9,555万8,210円
3月15日 2,380人 12億6,741万9,910円
3月16日 1,997人 8億9,386万3,700円
2017年同開催との比較で、入場109%、売上112.8%と、厳密にはその次の開催からなのだが、南関東のナイター開催最初の開幕と、通年開催スタートのアナウンス効果もあり、さらに数字を伸ばしている。
この開催で平成29年度の全日程が終了し、売上は544億6,980万6,920円を記録し、それまでのピークであった1990年度の508億954万9,300円を27年ぶりに更新、と発表された。
多くの地方競馬がそうであるように、90年度をピークに売上が減少しはじめている。船橋競馬は2011年度には約300億円台にまで落ち込んでいた。再浮上のきっかけはご存知の通りJRAのIPAT発売とナイター競馬ということになるだろうか。
ナイター競馬は照明設備の初期投資が大きく、ランニングコストも嵩むため導入したくても二の足を踏む主催者が多かったのだが、競馬活性化補助事業と、低コストの照明設備と、必要な部分だけ照らす配光の工夫により、多くの主催者が検討するようになった。2009年から始まった高知競馬のナイター開催はその象徴的なもので、温暖な気候を生かした通年ナイター開催で、見事V字回復を遂げている。
ホッカイドウ競馬でも、旭川競馬場からの撤退により、2010年からは全日程が門別競馬場のナイター開催で行われている。そこから遅れること8年、ついに通年の波は南関東に押し寄せた、ということになるだろうか。
地方競馬の売上回復はほぼ全主催者にわたり、船橋競馬の売上回復も同じ流れの中での出来事であり、特にナイターが功を奏したとまでは断言は出来ないのだが、一部で「ネット専業競馬場」と揶揄されるような「入場減、売上増」ではなく「入場増、売上増」となっているところからも、ナイター効果は否定できないだろう。
余談ではあるが、船橋ナイター開催の通年化が発表されて、一部騎手から寒さを理由とした反対というか、慎重論の声が出た。ネットで声を挙げると「嫌なら乗るな」というような意見が出るのは、ある意味お約束ではあるのだが、冬の夜に薄着で原付に乗ったことがあるので、その気持ちはわかる(笑)。昼開催でも1~2月は4~5度の日もあり、これが夜で、さらに風が吹けば体感温度はかなり低くなるだろう。さすがに「我慢しろ」とは言えないレベルだ。
例えば全体的なレースの時間を早めるとか、あるいは岩手で行われているように、斤量を増して防寒着の着用を許すなどの防寒対策があれば良いのではないかと思う。
このところ土曜、日曜開催や2場開催など、売上を増加させるため、どこに競馬ファンが潜んでいるのか探るような開催日程が組まれては消え、を繰り返している。新聞の売上とリンクさせても、南関東のファンはほぼ月~金曜日の夜と、祝祭日の昼にいて、2場開催なら大井が圧勝する傾向は何ら変わっていないように思う。
まずは「通年ナイター元年」の推移を注意深く見守り、その中で我々もツボを見極めたい。