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第38回 『WINS川崎オープン』

2012.02.10
 去る12月3日土曜日。全国で46ヵ所目となるJRAの場外『WINS川崎』がオープンした。場所は川崎競馬場の中、というよりも川崎競馬場そのものである。オープン初日は生憎の雨模様となったのが、いかにも川崎らしい。
 川崎駅からの無料バス運行はなく、公共交通機関は京浜急行大師線の港町駅から徒歩、あるいは車ということになる。川崎競馬場の内馬場駐車場は730台収容で1日500円。首都圏中心部では唯一の駐車場のあるウインズということになる。また、無料バスの運行がないこともあり、バス乗り場に近い第1入場門ではなく、パドックに近い第2入場門が入場口。その横には1,000台収容に拡張された駐輪場もある。

 場内の各モニターにはオッズ、そしてグリーンチャンネルの映像が流されている。キングビジョンも左にグリーンチャンネル、右にオッズ。パドックには廃止された花月園競輪場から持ってきたビジョンが増えて、そちらでも左にグリーンチャンネル、右にオッズ、といった充実した態勢だ。場内のお知らせ放送、払戻しの放送は川崎競馬場で独自に行っている。

 地方の競馬場でのJRA発売は既に岩手や佐賀などで行われているが、方式としてはJRAが地方競馬の施設に間借りする格好で行われている。ウインズ川崎の場合は、JRAが神奈川県川崎競馬組合に発売を委託する方式で行われる。他はITVの映像で、グリーンチャンネルを使うのはそういった発売方法の違いによるものだろう。

 もっとも、使うマークカードや出てくる券面はJRA仕様。JRAの他施設で買った馬券や、ウインズ川崎で買った馬券を他のJRA施設でも払戻しできる。ただ、当分平日払戻しは行われないし、地方競馬の馬券も、南関東地方競馬の開催日でない土日は払い戻すことができない。この点については「同じ機械で」とは言わないから、せめて土日、平日問わず相互に払戻しできるよう、改善するべきだろう。また、1号スタンド4階の特別観覧席を1,000円で発売、別途3~6人のボックス席も発売している。

 さて、前述の通り雨に見舞われた当日の入場者数は3,543人、売り上げは54,123,900円(前日発売分を含む)。翌日はGⅠ当日で天気にも恵まれ、入場9,794人、売り上げ120,831,300円と上々のスタートを切った。やはり首都圏では唯一の駐車場のあるウインズだからだろう、と思ったが、駐車場の利用は案外で、競馬場施設を所有するよみうりランドの関係者によると「駐輪場が凄いことになっていました。拡張したのに足りませんでした」とのこと。また、場内で新聞を販売する売り子さんによると「500円を置いて、お釣りを受け取ろうとしないお客さんが多かった」と。弊社営業部も「開幕週はウインズ横浜、新横浜にはさほど影響はなかった」との報告も。

 さて、これは一体どういうことか。恐らくは利用したのは川崎市、大田区などほぼ近隣のお客さんが中心であった、そしてお釣りを受け取らず行こうとしたお客さんは、普段JRAの馬券を買わない層ではないかと。東京大賞典や帝王賞などで南関東版500円を知らず「お釣りは...」というお客さんは多いが、中央版450円を買ってお釣りを貰わないとなると、そうとしか考えられない。つまりは新規顧客を開拓したのかもしれない。今どき実に珍しい話である。ある調査では南関東地方競馬のファンの8割はJRAと共有しているとあるから、その残り2割の内の川崎分なのだろう。

 ちなみにウインズ川崎オープン後4週目となる有馬記念当日は、なんと入場15,600人、売り上げ172,335,000円であった。売り上げはさほど伸びなかったが、入場15,600人は昨年の川崎記念当日の9,683人を超え、川崎で行われた第6回JBCの初日16,525人に近い。さすがだ。

 今後2月に浦和競馬場でもJRA発売が始まる。また秋には地方競馬共同トータリゼータが本格的に稼動し、他場も順次対応する予定。PATでの地方競馬発売もいよいよスタートする。そこに大きな期待をみな寄せるが、主力のロック口座方式では買えないから、過度な期待は出来ないだろう。

 かつては「庇貸して母屋取られる」と反対する向きが多かったが、悲しいかな今や取られる母屋もなく、手数料も改定され「売りやすくなった」側面もある。側面ではなく正面かもしれないが。
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