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第182回 『優秀馬選定委員会』

2024.02.26

 1月12日(金)、都内のある会議室においてNAR GRANDPRIX2023優秀馬選定委員会が開催された。通常であれば地方競馬全国協会の会議室において開催されるのだが、協会引っ越しの真っ最中につき、別の会議室で行われた。


 かつて日刊競馬も引っ越ししたが、企業の引っ越しは大変な作業だ。古い資料大好き人間なので、興味深い資料を発見し、それに見入っては怒られて、あんまり役に立った記憶はない。ご挨拶で広報にお邪魔したが、業務と平行しての作業のため、大変そうだった。


 さて、今年も気になった部門について触れていきたい。2歳最優秀牡馬のサントノーレはすんなりと選定。事前の想定では続く2歳最優秀牝馬部門が最初の山だった。


 以前もここに書いたが、ダートグレード競走は1200mのエーデルワイス賞で、実質的な決定戦が1600mの東京2歳優駿牝馬。エーデルワイス賞の勝ち馬モズミギカタアガリが東京2歳優駿牝馬に出走しローリエフレイバーの8着という結果。格か、それとも直接対決の成績か。採決の結果9対6でモズミギカタアガリが選出された。


 東京2歳優駿牝馬がダートグレード競走になれば話は早いのだが、おそらく内回りコースはならないだろう。異なるカテゴリーの比較は難しい。


 3歳最優秀牡馬のミックファイアは当然。3歳最優秀牝馬もメイドイットマムですんなり。4歳以上最優秀牡馬のイグナイターは文句なし。


 そして4歳以上最優秀牝馬部門である。


 候補馬は2頭に絞られた。スパーキングレディーカップ(JpnⅢ)2着、東京シンデレラマイル1着のスピーディキック(浦和)と、兵庫サマークイーン賞など年間重賞7勝、平地重賞勝利記録となる重賞21勝を挙げたハクサンアマゾネス(金沢)。


 これまでの選定委員会でも度々あったのだが、ダートグレード競走において2〜3着の成績がありながら、年間未勝利に終わった馬をどう扱うか。「さすがに年間未勝利では選定しづらい」という事例も過去にあり、スピーディキックが東京シンデレラマイルを勝ったことで「これで選定できる」と思っていた。


 実際、スピーディキックが年末まで未勝利だったのは、フェブラリーS、かしわ記念、スパーキングレディーカップ、レディスプレリュード、JBCレディスクラシックとダートグレード競走を使われてきたからであり、チャレンジし続けた結果であると述べた。


 その議論の中である委員から、「仮に0勝でも、こういった馬こそが評価されなければならない。本来あるべき姿だ」という意見が出された。


 同感である。がしかし、過去の流れも見てきているので、筆者はそこまでは踏み込めなかった。委員はあまり長くやるもんじゃないなと思ったが、これで今後の方向性が定まった感じもした。今年から始まる「新しいダート競走体系」では、チャレンジした者が評価されるべきだろう。


 ばんえい、短距離、ターフもすんなり選定。注目の年度代表馬の選定だ。


 候補馬は2頭。ミックファイアとイグナイター。採決は14対1という結果で、イグナイターが2年連続年度代表馬に選定された。


 委員会終了後、何人かの委員に聞いてみたら、みなさん東京大賞典に注目されていて、そしてみなさん「あ〜っ」となったそうだ。ジャパンダートダービーの勝ち馬は、古馬との対戦成績が求められる。特に候補馬の相手がイグナイターのように距離のカテゴリーが異なり、かつJBCの勝ち馬だと、やや厳しくみられがちだ。


 古馬相手に勝ち負けか、入着か、そのラインは対戦相手にもよるし委員によって違うと思われるが、ウシュバテソーロやメイショウハリオあたりと差のない着なら評価は高くなったかもしれない。


 ただ、昨年のイグナイターの成績は抜きん出た成績だった。勝ったJBCスプリント、さきたま杯もそうだが、2着に敗れた南部杯も、大きく離されたとはいえ後続はきっちり抑えた。やはり年度代表馬はこの馬だろう。


 ダートグレード特別表彰は順当。特別表彰馬は基本1回限りで、過半数で選定される。マンダリンヒーローが受賞したが、筆者はサンタアニタダービー1着なら一発だが、藤田厩舎ならまた海外に挑戦する可能性もあるし、どこかで勝てば改めてその時に選定すればいいし、あるいは引退時にパイオニアとして選定すればいいのではないかと述べたことは記しておきたい。


 受賞馬の関係者の皆さん、受賞者の皆さん、受賞おめでとうございます。今年もさらなるご活躍を期待しております。

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