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第183回 『フェブラリーステークス』

2024.03.25

 2月18日、東京競馬場で第41回フェブラリーステークス(GⅠ)が行われた。レモンポップ(USA)やメイショウハリオなど昨年の上位馬や、ウシュバテソーロらがサウジアラビアに遠征、レッドルゼルは出走も、やや手薄なメンバー構成になった。一方でJBCスプリントの勝ち馬で、NARグランプリ2023年度代表馬のイグナイター(兵庫)、昨年のジャパンダートダービーに勝った南関東三冠馬ミックファイア(大井)、昨年の6着馬スピーディキック(浦和)と3頭の地方競馬所属馬が出走。いずれも短距離、3歳、古馬牝馬のトップクラスだけにいやが上にも期待は高まる。


 好天に恵まれた東京競馬場には4万8,432人(前年比105%)の競馬ファンが来場。その中には「いったい誰が会社で浦和2日目の新聞作るんだよ」と不安になるぐらい、日刊競馬社員も数多くいた(筆者も)。それだけ今年は地方馬にチャンスが回ってきそうな、そんな気持ちは少なからず皆持っていたと思う。


 地方馬の中央挑戦、と言えば多くは芝のレースへの出走を思い浮かべるが、ダートの、特にGⅠ競走への挑戦も血と汗と涙の歴史がある。特にこのフェブラリーステークスは、1995年から地方馬の参戦が可能になり(当時はGⅡ)、以降のべ36回(30頭)出走している。


 多くの方が思い浮かべるのが、地方競馬所属馬初の中央競馬GⅠ制覇となった99年の勝ち馬メイセイオペラ(岩手)だろう。他にも2002年2着トーシンブリザード(船橋)や、2011年2着のフリオーソ(船橋)など惜しいレースもあった。


 地方競馬所属で中央競馬の重賞に勝った馬は20頭いるが、うちダートの重賞を勝ったのは1997年東海ウインターS(GⅡ)のアブクマポーロ、前述のメイセイオペラ、2002年ユニコーンS(GⅢ)のヒミツヘイキ、2003年東海S(GⅡ)のゴールドプルーフと、4頭だけというのは調べていて意外だった。


 根岸SなどGⅢのレースにも時々遠征しているが、中央競馬のその辺のクラスはひじょうに層が厚くて、それなりの馬が遠征しても、着も拾えないことの方が多い印象だ。片や地方のJpnⅢ競走は出走枠もあり、守られている感は強い。


 パドックで見た感じは、イグナイターは落ち着いていて、ミックファイアは相変わらずうるさかったがそれはいつも通り。体は絞れていた。地方勢で一番良く見えたのはスピーディキックだった。割と環境の変化に敏感なタイプだが、落ち着きがあったし、使われつつ状態も上がっていたように見えた。とりあえずそこから流した馬券。


 展開もイグナイターとミックファイアはやはり正攻法のレースをせざるを得ないだろうし、ドンフランキーが外枠にいる時点でハイペースは必至だろうから、スピーディキックが昨年のように控えてインベタで回って、あとはうまく馬群をさばいてくれれば昨年以上もあるかも、と思った。


 中央勢は見た感じ人気上位が良く見えず、14番人気のシャンパンカラーと、11番人気のペプチドナイルが良く見えたので、その単勝を。当日は馬券の調子が良かったので、無理はせず。


 予想通りドンフランキーがハナ。前半33.9上がり37.8のハイペースに。イグナイターは好位へ、ミックファイアはスタートひと息で中団、スピーディキックはスタート良く、好位外めに付ける。ドンフランキーがガンガン飛ばしていただけに、イグナイターとスピーディキックは厳しいだろうと見ていたが、イグナイターは直線で一旦先頭に立ったように、見せ場十分だった。結果11着ではあったが、残り100mまでは掲示板には残れそうな雰囲気だった。


 スピーディキックはレース後の藤原智行調教師の話にあったように、昨年脚を余したので、今年は大敗してもいいから正攻法で勝ちに行った、ということで、こちらの思惑とは違ったが、出し切った感じではあった。ただ、脚がたまらないと終いは厳しい感じでもあった。


 ミックファイアは直線で最後の最後まで良く伸びた。普段より後ろからのレースになったが、叩かれて良化していたし、この馬自身軽い時計の出る馬場は合っているように思う。


 勝ったペプチドナイルは強かった。スタート良かったし、あのペースを楽に追走できるスピードと持続力。タイムはまずまずでメンバーに恵まれたが、マイルは思っていたより合っていた感じ。


 単勝を買ったシャンパンカラーは休み明けもあり出遅れたが、内から押して先団に取り付いたが、さすがに最後はバテて最下位。やはり芝の方が良さそうだ。


 地方勢は好結果とはならなかったが、今後も積極的に挑戦して欲しいと思う。

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