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第44回『競馬空白地域』

2012.08.10
 7月19日、成田国際空港に近い千葉県山武郡芝山町に、船橋競馬の新場外「f-keiba(エフケイバ)成田」がオープンした。
 全くの新規場外ではなく、既存の競輪場外「サテライト成田」の2階部分を改装。施設面積876.52平方メートル、収容人数500人(座席数108席)、自動発払機5窓、有人払戻機1窓、60型モニター5台、40型1台、32型26台。無料駐車場654台というミニ場外に近い規模で、船橋競馬をはじめとする南関東4競馬場の全レースの他、全国の地方競馬の一部競走を発売。年間発売日数は270日程度を予定している。

 本来ゴールデンウイークの開催に合わせてオープンする計画だったが、農林水産省の承認が下りたのが6月で、それから1ヵ月後に(ようやく)オープンの運びとなった。

 船橋競馬の場外と言えば、船橋競馬のみを発売する船橋競馬新橋場外発売所(ウインズ新橋内)が1994年にオープン。また受託事業者の破綻でオープンに漕ぎ付ける事叶わなかったが、テナント撤退後のビルに地元商店街が誘致するという稀なケースになるはずだった(旧)木更津場外発売所の計画もかつてあった。

 オープン初日となった4回船橋競馬1日目は時折小雨が降る空模様だったということもあり、入場者404人、売り上げ3,115,100円であった。資料に計画は書かれていないためどれぐらいを見込んでいたのかは定かでないが、オープン同日の船橋競馬本場の客単価は20,662円(入場2,355人)、新橋場外は9,908円(入場988人)、オフト後楽園が14,584円(入場2,650人)、ほぼ同規模のジョイホース横浜が26,387円(入場333人)であったことからも、様子見のお客さんが多かったのではないかと思う。

 オープン当日に赴いた営業部の社員によると、「1階の競輪と2階の競馬を行ったり来たりするお客さんが多かった」と。偶然ではあるが、この周辺はかつての下総御料牧場で、国道296号線やその周辺、そして空港の北側にかけてまだまだ多くの牧場がある。現在では生産よりも放牧など休養馬の預託が中心ではあるが、ある意味地縁というか所縁を感じる立地ではある。

 もっとも、成田空港A滑走路のアプローチ直下にあり、数分に1度の間隔で会話が聞こえないくらいの轟音が響き渡るが。
 千葉県北東部は「競馬空白地域」で、f-keiba成田のある芝山町を中心に成田市、富里市、多古町、匝瑳市、横芝光町、山武市、八街市、酒々井町など半径10キロ圏内の周辺人口は約44万人(平成24年3月末現在)で、未成年を除けば約30万人規模の新しい商圏となる。入場者404人という厳しい船出ではあるが、これまで競馬とは縁が深いにも関わらず、身近な発売施設が存在しなかった場所だけに、今後の発展を期待している。

 船橋競馬はこのf-keiba成田以外にも、現在進行中の場外発売所設置の計画がある。因縁の木更津場外発売所である。
 2009年3月17日に農林水産省の承認が下り、2009年夏のオープンまであと一歩に迫りながら、受託していた日本総合企画の破綻により頓挫したあの「アクア木更津」。今回も全く同じ「アクア木更津」である。

 今年2月23日の新千葉新聞の記事によると、場所はJR木更津駅西口の商業ビル「アクア木更津」の地下一階。1月17日と20日に「地元説明会」を開き、概ね同意を得た。提案者は大阪でアミューズメント事業、フィットネス事業、飲食事業などを手がける会社。以前の計画よりも大幅に縮小して、561.19平方メートルに、自動発払機6窓、座席数105席、年間約270日間の発売、駐車場は7ヵ所で858台と、f-keiba成田とほぼ同等規模のミニ場外を予定しているようだ。入場者数は1日あたり300人を予定。また、前回の計画同様、完全会員制となるようだ。成田同様「競馬空白地域・房総半島」では初の場外発売所だけに、「今度こそは」の期待をしている。

 ここから先は筆者の妄想と断りつつ、来年から順次発売となる地方競馬施設でのJRA発売。船橋競馬場は中山競馬場の至近にあり発売の見込みはなさそうだが、f-keiba成田、そして木更津場外での発売なら、「もしかしたら」期待できるかもしれない。そんな淡い期待をしている。
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