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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第74回 『海外レースと情報提供』

 1月13日付けのサンケイスポーツの見出しと記事である。海外レースの馬券が発売出来るよう、26日召集予定の通常国会に競馬法改正案を提出するとのこと。

 日本馬は、凱旋門賞を筆頭に、ドバイや香港、イギリスなど、今や毎年のように遠征を行っている。グリーンチャンネルや地上波でその模様は放送され、競馬場などでパブリックビューイングも開催されて、多くの競馬ファンが日本馬の走りに一喜一憂している。

 しかし、そこには何か物足りなさがあった。そう、馬券である。現行の競馬法ではJRAや地方競馬の主催者は海外レースの馬券を発売することができない。現地まで赴いて買うか、あるいはネットのブックメーカーで買うしかない。しかし後者は違法な手段である。そこで競馬法を改正し、JRAなどが海外の主催者に代わり馬券を発売出来るようにするという内容である。

 既にtotoBIG(サッカーくじ)ではJリーグのオフシーズンにヨーロッパの試合を発売している。同様に競馬でも、馬券を通じて日本馬を応援したいファン向けに馬券を発売、増収をはかり、それを原資に畜産振興に充てる。大義名分は十分だ。

 国会に提出される予定の競馬法改正案には他にも大事なことが含まれているのだが、今回はそれは置いておく。政府筋によると「まず法律で海外の馬券を売る大枠を定めた上で、細かい部分を詰めることになる」とのこと。

 詳細は改正法通過後ということになるが、今のところ伝わる限りでは、(1)農林水産大臣が国内競走馬の実績などを基準に指定したレースの馬券を発売する。過去に日本馬が出走した実績などを基準に発売レースを選定するようだ。さすがに日本馬が出走しなくても凱旋門賞やドバイワールドカップは売ってくれるものと思われるが、同日に行われるレースで、日本馬が出走しなかったレース(たとえばUAEダービーとか、アベイ・ド・ロンシャン賞とか)も売るのか気になる。(2)オッズは日本発売分に応じて独自に設定。パリミチュエル方式かブックメーカー方式か、その点は定かではないが、少なくともサイマルのプールに乗るのでなければ、日本国内だけで普通にパリミチュエル方式で売るのではないかと予想する。その方が「応援馬券」と「(通称)非国民馬券」のバランスが取れそうだ。(3)18頭を超えるレースへのシステム対応。これは当然。(4)地方競馬の主催者も発売可。「えっ、韓国?」と思った地方編集部員多数。などなど、数少ない情報に妄想は膨らむ一方だが、前述の通り詳細は改正法案が成立してからだし、システム改修の必要から、実現は来年以降である。

 今のところ考えうる課題は、情報提供だろう。談話、調教はまず望み薄であろうことは多くの方が思っている通りだが、実は馬柱すら危うい。イギリスならなんとかなるが、例えばフランスは重賞以外は着外の着順がないし、アメリカも2着以下は着差だけでタイムがない。文化の違いだ。

 実際、東京大賞典に出走したソイフェットでは、タイムを巡って主催者と揉めた。7月26日、デルマーのサンディエゴハンデの7着馬ソイフェットのタイム。弊社精鋭馬柱班が弾き出したタイムは1分42秒4(1/100秒は省略)。それに対し大井の競走課が出したタイムは単純に1馬身0.2秒でレースタイムと着差から1分42秒8。

 しかし、これは問題があった。そのレースの8着馬はチャンピオンズカップに出走したインペラディヴで、JRAが出したタイムが1分42秒8。7着と8着は2馬身1/4差あるにもかかわらず同タイム。それはおかしいとなんぼ説明しても、理解してくれなかったが、最終的には1分42秒6で決着した。バーナスコーニ(USA)が転入した際に、当時の競走課と弊社で相談して作った「換算表」があるのだが、それを使えば一発ツモで、「換算表」通りなら8着インペラディヴも1分42秒8でぴったり。なぜ「換算表」を使わないのか不思議でならなかった。

 これは極端な例で、イギリスやドバイ、香港ならそういうことはまずない。ただ、通過順や上がりなど、日本と同じような馬柱はまず望めないのではないかと思う。手取り早いのは現地の新聞のライセンスを取得して翻訳だろうか。

 ファンにとっては待望の海外レース発売だが、我々業者にとっては悩みの種になりそうだ。