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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第82回 『東京オリンピック記念』

 滝川クリステルさんの「おもてなし」プレゼンテーションなどが話題となった2020年夏季オリンピック招致活動。2013年9月にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われたあのIOC総会が2年前。新国立競技場の整備計画見直しや、オリンピックエンブレムの盗用疑惑など、たった2年でまさかこれほど迷走するとは予想だにしなかった。

 さらに振り返れば2016年東京オリンピックの招致活動では、大井競馬場を近代五種競技の乗馬、ランニング、射撃の競技会場とするプランであった。結果、2009年10月にデンマークのコペンハーゲンで行われたIOC総会でブラジルのリオデジャネイロに決まり流れたが、予定された7~8月の競技日だけでなく、会場整備の日程からお盆開催を含む夏場の3開催程度が吹っ飛んだであろうことを考えると、結果的に(新聞屋的には)選ばれずに良かったのかもしれない。その後、大井競馬場は前述の2020年夏季オリンピック招致計画からは外れている。

 オリンピックと大井競馬場といえば東京記念。1964年の東京オリンピックを記念して創設された重賞で、1977年の第14回までは「東京オリンピック記念」として行われていた。また、第1回から一貫して2400mの長距離重賞として行われている。東京大賞典が2800→2000mになるなど距離短縮傾向の中で、金盃(大井記念と距離交換)の2600mに次いで長い距離のダート重賞で、近年はJBCクラシックの指定競走として、重要なトライアルレースとなっている。

 さて今年の東京記念。数少ないダートの長距離レースだけあって、リピーターが多く、最近10年でもルースリンドの連覇(08、09年)をはじめとして、ボンネビルレコードや、マズルブラスト、セレンなどが勝った翌年に2着(またはその逆)など2回以上の連対をしているケースが多い。特有の超スローペースから一気にギヤをアップできないとなかなか勝てない。要するに適性がモノを言うレースなのである。

 1番人気は昨年の勝ち馬ユーロビート。帝王賞(JpnⅠ)4着、前走のマーキュリーカップ(JpnⅢ)1着で連覇は濃厚と見られていたが、別定59キロ(前年は56キロ)がどうか。2番人気はタイムズアロー。JRAオープンから船橋に転厩し、初戦の短夜賞を競り勝ち、前走のマーキュリーカップは4着。3番人気は一昨年の勝ち馬プレティオラス。昨年はJRAに移籍したが思うような結果を残せず、今年大井に戻ってきた。

 参考までに、当日中継の解説だった筆者の本命はアウトジェネラル。逃げ馬不在のメンバーで、良馬場とはいえ前日馬場を踏んだ感じでは下が締まっていて、かつ内が軽い。逃げ馬には絶好の馬場で、しかも当日は雨予報。完璧のはずだった。

 ゲートが開いて内からファイヤープリンスが前に出るが、積極的に行く気配はなし。前年同様番手待機策のユーロビートと、外からアウトジェネラル。大井の2400mはスタートして140mほどで外回りの3コーナーだけに、枠の有利不利が大きい。それゆえ10番枠のアウトジェネラルには不利だが、1周目のスタンド前で極端にペースが落ちるので、そこで逃げ馬が前に出る。3ハロン目12.6、4ハロン目13.3と予想通り落ちたが、アウトジェネラルに行く気配なし。外々を回る3番手では、もはやレース中にいい訳を考えるしかない展開だった。

 レースは淡々と流れる、4コーナーで先行勢が横に広がり、直線の上がり勝負。例年スローペースで、最後の直線は上がり勝負となるが、展開はその年のメンバー次第。昨年突き抜けたユーロビートは、59キロの影響か、今年はなかなか突き放せずにいた。その内をプレティオラスがすくい、2馬身半の差を付け、このレース2年ぶりの勝利を決めた。2着も2年連続連対となるユーロビートで、過去の傾向通りリピーター同士の結果。

 勝ったプレティオラスには絶好の流れだった。常に37秒台の上がりをマークするが、突き抜けるかどうかは展開次第。しかも休み明けの連対は今回が初めてだった。この日はユーロビートの終いが鈍く、レースの上がりが39.0。一方、プレティオラスの上がりは37.4。この絶好の展開がいつ巡ってくるか、予想するのが実に難しい。

 今年のJBCは大井競馬場で開催される。ダートグレード競走では掲示板までもう一歩のプレティオラスだが、今後は大井ダートの長距離3冠?が目標。既に2600mの大井記念、東京記念(2勝)を制し、今年5着に敗れた金盃(2600m)で文字通り"ゴールド"を狙う。