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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第84回 『長~いレース名』

 11月20日、川崎競馬場が怪獣に乗っ取られた。それもレース名が。メインレースのバルタン星人を筆頭に、ベムラー、シーボーズ、レッドキング、エレキング、キングジョー、メフィラス星人、ゴモラ、メトロン星人、ダダ星人、そしてゼットン。そう、ウルトラマンに登場する宇宙人や怪獣の名が各レースに付けられた。また、本馬場の入場曲も各宇宙人や怪獣に合わせたものになり、誘導馬もゼットンの飾りを身にまとっていた。

 川崎駅前にある「怪獣酒場」という飲食店とのコラボレーション企画だが、当日は各宇宙人や怪獣が場内でファンとの交流や撮影会を行い、バルタン星人に至ってはメインレースの展望イベントに出演し、盛り上げていた。

 川崎競馬場は、南関東4競馬場の中でもこういった企画には積極的だ。個人協賛競走もやや高めの価格設定ながら、毎開催のように申し込みがあり、行われている。

 歴史を紐解けば、元々こういった企業名を冠したレースは新聞社やテレビ局、鉄道会社が社杯として行っていた。そしてそれらは、告知や放送、輸送など競馬とは密接に関わっていた。

 転換期は1999年に高崎競馬場で行われた「企業・団体協賛競走」。そしてそれを個人の協賛まで広げたのが、2001年に上山競馬場で行われた「個人協賛競走」だ。

 企業や団体に限られていた頃は特に問題は起こらなかったが、個人協賛では想定外の様々なことが起こった。まずは長いレース名。当時からある程度の制限は設けていたはずだと記憶しているが、例えば「田中太郎さん定年退職おめでとう記念」とか。17文字である。通常この季節であれば「紅葉特別」とか「深秋特別」とかが定番で、ちょっと長めな大井でも「オリオン座流星群特別」など、おおよそ10~12文字程度で収まる。新聞のシステム的には20文字、レース柱のスペースは6センチ程度。そこに収まることが我々としては望ましいのである。

 協賛競走は平場で組まれることが多く、本来ならば遠い高崎や上山の出来事だったはずだが、場間場外発売されるレースに協賛競走の出走馬が出走するようになると、また想定外の出来事が起こる。成績欄の箱の中に掲載されるレース名はご存知の通り4文字である。事件は上山で起こった。

 ゲラを渡されるとそこには「船山陽司」の4文字が。ラジオNIKKEIの船山アナが、上山で行った協賛レース「船山陽司記念」である。今は平場の協賛レースは、通常通り条件のみの標記としているが、当時はすべて組み込んでいた。さすがにこれはまずいだろうという結論に至った。

 次に起こったのは判別不能なレース。「第○回なんとか杯」のケース。過去3走が「なんとか」で埋まる事態が。特別ならいいが平場は厳しい。

 そして「メルボルンカップ」。フレミントン競馬場ではなく、上山競馬場のだ。これは私の先輩、故栗原正光が協賛したレースで、元はペンネームなのだが、さすがにこれはまずい。基本的には著作権関係や、出走馬、騎手、著名なレース名に酷似した名前は認められないが、黎明期はなんでもありだった例である。

 レース名はコード化されているが、コードにも限りがあるので、一時シカトして平場は条件のみ(「サラ3歳」とか「サラC1一組」など)にしていたが、今度は主催者から強いお願いが出て、渋々対応することに。そもそも、こちらに断りもなく「新聞等にもレース名が掲載されます」などと謳って募集するのは詐欺だろ!と内心思わなくもないのだが、強いお願いが出ては仕方ない。

 そもそも今月この原稿を書こうと思ったきっかけは、バルタン星人ではない。10月20日の川崎競馬12競走「緑区だけど横浜市じゃないよ相模原市だよ 都心から気軽に自然を満喫相模原市緑区記念」。なんと39文字!サブタイトル19文字+レース名本体20文字。これは長い。それまで長いと思っていた2010年の「アルゼンチン共和国建国200周年記念アルゼンチン共和国杯」(28文字)や2013年の「1932~1950sダービーメモリーズトキノミノルカップ」(28文字)よりも長い。長すぎて地方競馬全国協会のレース情報の一覧でも17文字で切れている。

 さらに、馬柱用にこれらを4文字に省略したら、一体何のレースなのか、後々分からなくなる。
 レース名は競馬の成績データの中でも根幹の部分だけに、どうにかならないものかと思う。