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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第96回 『絶対』

 今年も遅ればせながら採用の季節がやってきた。先輩から引き継いで2年目になるが、会社に居ないことが多いので、それまでの電話受付以外にインターネットでの応募を開始した。

 就職情報会社を使えばもっと楽に志望者を集められるのだが、採用数が少ない上に予算も少なく、専従の社員もおらず、時間のほとんどが事務処理というなかなかハードなお仕事である。

 担当になってからは大学の就職課や、就職情報会社、さらには社員研修などの営業がわんさかやってきた。就職情報会社にもいろいろあり、マイナビやリクナビのような大量の就活生を抱える大手から、中途採用と同じように希望にマッチングする人材を1人単位から探してきて、採用された場合には成約料を払うシステムの会社もある。(就活生の方も同様に、希望にマッチングする企業を探してきてもらい、企業とお見合いする仕組み。コミット系と称していた)

 さらには、特定の業種に絞った就職情報会社もあり、たとえばフォントのモトヤはDTP、印刷分野での就職、派遣など人材分野に進出している。

 筆者の時代はリクルートやマイコミ、日経から送られてきた分厚い冊子で企業を選び、付属のハガキをせっせと書いて出していた時代。以前から採用には関わっていたが、会社内での工程が中心で世間の様子は知らなかったが、そこから一気に20年もタイムスリップすると「へ~」と驚くことばかりであった。

 そして昨年に引き続き売り手市場。就活解禁日が3月1日、選考開始が6月1日と昨年よりも2か月早くなったが、既に6月の段階で内々定率60%超、8月には大方の学生が就活手仕舞いといった状況。こちらは5月~8月に新システム移行を行っていた(ご存知の通り新システム移行も担当していた)ので、全く動けず、完全に乗り遅れた格好となってしまった。

 実際動き出したのは8月終わりで、就職情報会社の営業さんからも「遅い」と言われた。大方の中小企業もそういった状況を踏まえ今年は早めに動いていたようだが、就活生がそこまで流れて来ず、結果的にズルズルと募集期間が延びているといった状況を考えれば、結果的には同じことだったのかもしれない。

 募集の主体はホームページだが、呼び込みには新聞の他にtwitterなども活用し、なんとか昨年以上の応募者を集めることに成功した。近年、新聞業界は不人気業種のようで、現場でよく会う全国紙やスポーツ紙の同業者は口を揃えて応募者の減少を嘆いていたが、弊社も震災以降、志望者が減少する一方だった。ここでなんとか志望者が増えたことが好材料なのか、一時的なものなのかは来年をみなければ分からないが、とりあえずはホッとひと安心というのが正直なところだ。

 9~10月は会社説明会。そして11月某日、筆記試験を行った。定番の筆記試験と作文。即日で採点を行い、翌日までに数人で判定する。

 後輩に「楽しそうに採点していますね」と言われる。採点は楽しい。弊社の筆記試験はオール記述だけに、知らなければアウトである。そして受験者は必死に解答をひねり出す。その結果が読んでいて楽しい。さらに今年は解答欄を短くした。例年答えられることと答えられないことの文章の長さに差が見られたが、今年は書きたいことが沢山あっても、端的にまとめないと収まらないようにした。溢れる受験者もいたが、その判断は判定する者個々に委ねた。

 英文和訳を中心に一般常識を重視。一般非常識(競馬問題)はネット中心でスポーツ紙、競馬雑誌をあまり読まないという受験者が増え、正答率が年々低下していることもあり、思い切って減らしてみた。生産関連で言えば「主取り」を説明させたが、驚きの低正解率。出題担当者も「ラッキー問題だと思ったのですが」と頭をひねる。もちろん、2次選考通過者は出来ているが、年を経るごとに知識欲が浅くなっているように思う。

 作文のお題は「絶対」。ほぼ罠に近い。多くの受験者が「競馬に絶対はない」「絶対という言葉は」で始まる。いわゆる「読む気がしない作文」になりやすく、ひじょうに実力差がはっきり出たお題であった。その中で目を引く作文を書いた受験者がいた。自己の恋愛観を延々語り、最後「絶対」に結びつける。いい意味での「気持ち悪さ」が各判定者から高い評価を受けた。

 さて、最終面接の結果は如何に。