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第104回 『恐怖の夏が来る』

2017.08.22
 東京ダービーのレース後、次走のジャパンダートダービーに向け「いい勝負になると思うよ」とコメントしていた船橋の佐藤賢二調教師。
 ケガで騎乗出来なくなった主戦の森泰斗騎手も「馬場が一緒だとしたら感触的には昨年の勝ち時計5秒7ぐらいは出せるはずなんだが...」とSNSでつぶやいていた。

 正直なところ、今年のJRA勢はエピカリス1頭が抜けて強い印象だったが、例年JRA2勝馬の強さを目の当たりにしているだけに、「2014年の2着ハッピースプリントぐらい」と思い、▲の予想に留めた筆者。

 ヒガシウィルウィンは好スタートを決め、馬なりで3~4番手集団の内に付ける。1000㍍通過は62.0秒のハイペース。前を行くのはノーブルサターン、ローズプリンスダム、リゾネーター、サンライズソアのJRA勢。横には羽田盃馬キャプテンキング(JRAからの転入馬)、そして1番人気のサンライズノヴァはヒガシウィルウィンの外。

 この周囲をJRA勢に囲まれる例年になく厳しい位置取りであったが、本田騎手は3~4コーナーのカーブを巧みに使い、直線で馬場の3分どころに出す。

 JRA勢との追い比べでも見劣ることなく、ゴール寸前で粘るサンライズソアをクビ差交わし、JpnⅠジャパンダートダービー制覇を飾った。

 「騎乗が決まってから毎日この日のことを考えていた」というピンチヒッターの本田正重騎手が、見事期待に応えた。

 地方馬のジャパンダートダービー優勝は2010年のマグニフィカ以来7年ぶり。佐藤賢二調教師は2001年のトーシンブリザード以来となる2勝目。本田正重騎手は初勝利である。

 勝ちタイムは2分5秒8。南関東リーディングジョッキーの慧眼には恐れ入った。

 馬券は絞りすぎて1着3着。レース後仲間内で恒例の「上半期反省会」(種目は寿司)が行われ、大いに反省し、下半期に向け英気を養った。

 本来ならば「飲んで食って」と言いたいところだが、健康診断の胃カメラで十二指腸潰瘍が発見され、目下ひと粒180円の薬を飲んで治療中だけに禁酒、寿司も薬で胃液を抑えているので本気を出すと消化できずに苦しくなるので、ほどほどに留めておいた。色々な意味で消化不良だった。

 中央競馬は既に夏のローカル開催。南関東もこのジャパンダートダービーが終わり、夏を迎える。例年、宝塚記念が終わると中央版の読者は夏のオフシーズンなのか、部数もひと息入る。それからひと月もすると馬が恋しくなるのか、南関東の入場者が増えて、南関東版の部数も増えてくる。

 今年の夏はいつもの夏とちょっと違う。そう書くと何か水着の広告のキャッチコピーみたいだが、そんな甘い夏ではない。7月17日から8月18日まで、33日間の間、南関東の開催がない日がなんと2日しかない。休み1日を挟んで13日連続開催が2度もある。これまで避けてきた土日開催も、遠慮なく組まれている。恐らくネット発売を視野に入れてのものだと思っていたが、発売時間のリミットを超えるナイター開催も組まれているので、これは本気だ(多分)。

 我々出入り業者からすれば「夏の開催地獄」で、今から戦々恐々としている。

 主催者の大方は4場で回しているから、4~5日の開催が終われば休みがある。一方、相互発売している競馬場の投票課や騎乗依頼の多い上位騎手、そして新聞屋はこの夏フル稼働である。

 元々夏場は出走数も減ってくる(いわゆる夏枯れ)のだが、今年は輪をかけて少頭数の競馬が増えるのではないかと予想する。まあ、実際中に入ってしまえばなるようになるのではないかと思っているのだが、気になるのは売上だ。

 少頭数の競馬だとどうしても売上が上がらないし、これだけ開催数が多いとファンが夏枯れしそうである。可処分所得は限られている。

 手っ取り早いのは来場者を増やすことで、競馬場側もそれは心得ている。一本の矢は放てば終わりだが、矢の数が多ければ沢山放つことができる。何の例えなのかよくわからなくなってきたが、内馬場を使ったBBQガーデンや、タイフェス、ビヤガーデンのような催し物が多く組まれている。夏は女性客を呼び込みやすい季節で、それは数字にもハッキリ表れている。

 我々新聞屋も、なんとか恩恵にあずかることが出来ればと思っている。そうすれば、この夏休まず働く甲斐もあるのだけれど。
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