馬ミシュラン
第206回 『優秀馬選定委員会』
1月8日(木)、地方競馬全国協会本部において、『NAR GRAND PRIX 2025』優秀馬選定委員会が開催された。今年も選定委員として末席に加えさせていただいたので、気になった部門、注目の部門を中心に取り上げてみたいと思う。
まず2025年の地方競馬所属は、近年まれに見る優秀な成績を残した。ダートグレード競走の勝ち馬が5頭、入着馬多数、さらにダートの海外GⅢ、そして東京大賞典のGⅠ勝利。実際会議自体も滞りなく進行し、各部門の選定はスムーズに終わったという印象だ。
選定委員会前に「割れるかも」と想定していた部門のひとつ、2歳最優秀牡馬部門は、全日本2歳優駿3着ベストグリーンと、兵庫ジュニアグランプリ2着ゴッドバロックの2頭で争われる、かに思えたが、意外にすんなりベストグリーンが全会一致で選定。
JpnⅠ3着と、JpnⅡ2着ではあるが、着順というよりは格の違いもあるし、直接対決の栄冠賞でベストグリーンが先着なら当然ではある。
3歳最優秀牡馬部門は予想通り羽田盃2着ナイトオブファイアと東京ダービー3着シーソーゲーム(UAS)の2択。前者をナイトオブファイア、後者をシーソーゲームとした直接対決では東京ダービーが4着と3着、ジャパンダートクラシックは7着と8着、戸塚記念では1着と3着、そして東京大賞典が10着と9着。レースの格は別として互角。さらにレーディングも107対108。
ある委員から「この2頭はそんなに差はない」との意見が出されたが、まったくその通りだ。結果的にJpnⅠの羽田盃で連対したという点、三冠すべてに参戦した点、直接対決の戸塚記念で「勝ったこと」が評価されナイトオブファイアが選定された。
さかのぼるが、連対という観点では2歳牡馬部門のゴッドバロックは評価に値するのだが、ベストグリーンの方がパフォーマンスは上という評価を全員がしていたと思う。投票形式の選定と異なり、会議方式の選定はそういう機微も含まれるからなかなか議論していて面白いところだ。
4歳以上最優秀牡馬部門は、東京大賞典前までは国際GⅢのコリアカップに勝ったディクテオンとJpnⅠのJBCスプリントに勝ったファーンヒル、この2頭の争いで、どっちに転ぶか分からないと思っていた。結果ディクテオンがGⅠの東京大賞典を制したことで、どちらも表彰できるような状況になり、正直なところホッとした。
このカテゴリーの活躍は目覚ましく、たとえばさきたま杯2着のムエックスや、名古屋グランプリ2着のシンメデージー、クラスターカップ2着のキャンディドライヴ(USA)などは、例年なら受賞してもおかしくはなかった。それほどの活躍であったし、ディクテオンやファーンヒルの残した成績は突出したものであったと言える。ファーンヒルは最優秀短距離馬に当然のように選定された。
最優秀ターフ馬は7年連続「該当馬なし」という結果に終わった。「すずらん賞に勝ったビッグカレンルーフは選ばれないのか?」という意見も会議で出たが、この部門はジャパンカップで2分22秒2のタイムをマークし、それにOROカップの勝ちを加えた2018年のハッピーグリンが基準になってしまっている。
ビッグカレンルーフは年明けのフェアリーステークスで2着しているように高いポテンシャルを持っていることは間違いないのだが、それが年内であれば、おそらくもっと票が入ったものと思われる。フェアリーステークス2着の結果は、2026年の候補馬には挙げられるはずだ。
特別表彰馬のフォーエバーヤングも異論のないところだろう。今年は日本テレビ盃の1勝のみだが、ここをステップにブリーダーズカップクラシックを制覇。これは快挙だし、選定理由にもある通り、ダート競馬の価値、BCのステップに地方競馬を使ったことでその間接的な価値も高めたし、なによりレーディングが上がった(笑)
地方競馬の地位向上に貢献したことは疑う余地がない。
さてつらつらと述べてきたが、筆者も2008年から委員を務め早や17年。ボチボチ後進に道を譲ろうと思い、推薦元にその旨を伝えた。思えばJRA勢にダートグレード競走を席巻され、選びようもない中でベストを選定したような時代もあったが、今日こうして選び放題になるほど地方馬が活躍するようになったことは、地方競馬に関わるものとして喜ばしい限りである。
受賞馬の関係者のみなさん、受賞おめでとうございます。さらなるご活躍を期待しております。
