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第110回 『NARグランプリ2017』

2018.02.21
 1月15日、「NAR GRANDPRIX 2017」の各優秀馬が発表された。そして今年も選考委員の末席に加えさせて頂いた。
 今年の選定委員会は1月11日、地方競馬全国協会に於いて行われた。いつもと違ったのは、そこに山野浩一さんの姿がなかったことだ。もちろん亡くなられたことは分かってはいるのだが、実際議事進行に入ると、その存在感が大きかった事を改めて感じる。

 「ダート競走格付け委員会やNARグランプリ優秀馬選定委員会の委員などを務め、地方競馬の発展に多大なる功績を残した」ということで山野さんには'特別賞'が送られることになった。

 さて、顔も名前も知られてしまっているので、毎年優秀馬の発表があると様々なご意見、ご感想が直接寄せられる。ある方には「JBBA NEWS楽しみに読んでいます」とまで言われる始末(笑)

 最初にお断りしておきますが、結果については各委員の合議によるもので異論はないし、あくまで個人の感想です、とお断りしておく。

 今回最も反響を頂いたのは年度代表馬だった。会議でも発言したが、ジャパンダートダービー(JpnⅠ)に勝ったヒガシウィルウィンと、JBCレディスクラシック(JpnⅠ)に勝ったララベルの候補馬2頭は、甲乙付けがたかった。2頭同時受賞が選択できるものなら、そうしてやりたかったぐらいだ。もう10年近く委員をやっているが、むしろこういう年は幸せな方である。

 方や3歳限定、方や牝馬限定。JpnⅡやJpnⅢの2着の数は選定の決め手ではなく、あくまで勝ったレース、受賞の決め手となったレースで審議される。勝ち方が鮮やかだったジャパンダートダービー、長い審議となったJBCレディスクラシックだが、結果は結果である。

 JBCは地方競馬の祭典、生産界の提唱により創設されたレースだが、'ダービー'もまた生産者が目指すレースであると思う。
 「チャンスある」と思われたジャパンダートダービーと、女王ホワイトフーガが巻き返してくるだろうと思われたJBCレディスクラシック。どちらが勝ちづらいか、相手が揃っていたかという観点からみればララベルだが、各委員の意見陳述の際は、「やはりダービーは特別」ということでヒガシウィルウィンに1票入れた。

 結果は7対5でヒガシウィルウィンとなったが、本当に甲乙付けづらい2頭であったと、もう1回書いておく。

 今回悔いが残ったというか、十分に意見を交わせなかったのが最優秀ターフ馬部門であった。

 最優秀ターフ馬は部門創設以来これまでのべ8頭選ばれている。弥生賞、セントライト記念に勝ったコスモバルク(2004年)、函館2歳ステークスに勝ったモエレジーニアス(2005年)、シンガポール国際カップに勝ったコスモバルク(2006年)、シンガポール国際カップ2着、OROカップに勝ったコスモバルク(2007年)、ジュニアグランプリに勝ち、東京スポーツ杯2歳ステークスに勝ったプレイアンドリアル(2013年)、京成杯に勝ったプレイアンドリアル(2014年)、札幌2歳ステークスに勝ったトラスト(2016年)、そして札幌2歳ステークスでロジユニヴァースの2着で京都2歳ステークスは後の皐月賞馬アンライバルドを破り1着となったイグゼキュティヴだ。

 イグゼキュティヴ以外の7頭は重賞勝ち馬で、ダブルシャープは2頭目の重賞未勝利での受賞となる。個人的には重賞勝ちがラインと考えており、採決でも「該当馬なし」に1票を投じた。ラベンダー賞やクローバー賞、コスモス賞の1着だけでは選びづらいが、札幌2歳ステークスでは最後方から最速上がりで、2着にアタマ差同タイムの3着とイメージは良い。だがやはり結果が欲しい。その点をうまいこと説明出来なかった。山野さんがいなくなり、委員長も変わり、様子をうかがいすぎた。それが今回最大の個人的反省点だった。いずれにせよ、その後JRAに転厩してしまったが、今年活躍してくれることを期待している。

 OROカップ3連覇のロゾヴァドリナも偉業ではあるが、その先のチャレンジが欲しかった。

 最後にある委員より「殿堂馬」制の提案があった。事務局預かりとなったが、これは良案だ。ただ、その度に銅像や油絵は難しく、WEB上では寂しい。ならば各地にある既存の銅像や記念碑を奉るのはどうだろうか、と一応書いてみる。

 最後に、各部門の受賞馬関係者の皆様、受賞おめでとうございます。また、各受賞者の皆様おめでとうございます。今年もより一層ご活躍されることを期待しています。
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