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第150回 『夢とロマン』

2021.06.25
 先月号を読んで爆笑した。筆者や村本さん、さらに細江さんまで「ウマ娘」とは、まさに「ウマ娘恐るべし」といった感じである。村本さんに至ってはゲームをダウンロードしているとは。あとは吉川良さんと、有吉さんを残すのみである。
 余波、というか本震に近いのが2年ぶりに行われた千葉サラブレッドセールだ。

 オンラインオークション方式で行われた同セール。昼過ぎにまずのぞいてみたが、静かな立ち上がりだった。金曜日は中央の出馬や、川崎競馬の準備があったので忙しく、次にのぞいてみたのは終了前後だったが、上場52頭中50頭が落札。残る2頭も翌日再上場し落札され、なんと売却率100%となった。

 セールの詳しい結果は別ページに譲るが、我々専門紙も、2003年に船橋競馬場が会場となってから、公開調教のタイム計測で関わっていたので、思い入れの深いセールである。毎年名簿とポスターを送って頂いているので、少しでもお役に立てるよう歩道に面した本社の正面玄関に掲示している。弊社至近には、あの紀州のドンファンの元妻も住んでいた(マンションが会社のすぐ近く)都内屈指の高級住宅街である「御殿山」があり、知り合いの馬主さんも何人か住んでいる。セールのポスターを貼るには最適な場所だ(と思っている)。毎年送られてきたポスターは必ず掲示しているが、日刊競馬の私宛に送って頂ければ、掲示いたしますのでよろしくお願いします。

 今年、最高値を記録したのは、38番プレミアステップスの19(牡、父ディープインパクト)で、470,100,000円(税別)で落札された。これまでの最高が、2015年の190,000,000円(税別)で、当時「桁違い」と評されたが、それを倍以上更新する最高価格記録更新である。さらに総売上1,389,600,000円(税別)も、2015年の1,242,600,000円(税別)を更新。売却率100%と、記録的な年となった。

 プレミアステップスの19を落札したのは藤田晋氏。「ウマ娘 プリティーダービー」を運営しているCygamesの親会社サイバーエージェントの社長である。それには少し驚いた。氏の著書を読んだことがあるが、その中に創業するにあたって支援したUSENの宇野康秀社長に「経営者は馬とフェラーリは買わないでくれ」と言われたという、有名なアドバイスが書かれていたからだ。

 競馬場の馬主駐車場を通れば、ベンツ、BMW、ポルシェは毎度みかけるし、フェラーリやランボルギーニも時々みかける。スーパーカーブーム世代なので、フェラーリやランボルギーニはテンションが上がる。最近は電気自動車、特にテスラを多くみかけるようになってきた。恐らく馬とフェラーリを持っている人は、一定数はいると思われる(筆者調べ)。我々には夢である。

 まあそれは置いといて、どうしても「ウマ娘」と関連付けてしまう。

 2番目は39番ラセレシオンの19(父キズナ)で63,100,000円。例年ならこれが最高値の価格で、以下4,000万円台2頭、3,000万円台5頭、2,000万円台8頭。最高値に引っ張られる平均価格は別として、中間価格が15,650,000円(税別)には、知り合いのある馬主さんも「手が出ない」と嘆いていたが、それぐらい活況だったということだろう。

 オンラインセールは、入札している馬主さんは熱い勝負を繰り広げているが、外野的にはどうも盛り上がりに欠ける。リロードして入札額が更新されて「お~!」とは思うが、周囲との共感がない。やはりあの合田さん節が懐かしく思える。来年は競馬場で出来れば、と思ったが、そういえば競馬場も改築中だけにさてどうなるか。

 「ウマ娘」で大人気のトウカイテイオー産駒のキセキノテイオーが異例の7歳での競走馬デビューを目指している、という記事を読んだ。これまで乗用馬として過ごしていたが「トウカイテイオーの血統を残していきたい」ということで門別競馬場に入厩、6月の能力検査を目指し調教されているという。

 1度引退して種牡馬や、繁殖牝馬になってから現役復帰した例は海外にはざらにあるし、日本でもダンツフレームのように、再登録され実際に4戦した例はある。あるいはレディブロンド(USA)のように5歳6月にデビューした例もあるにはある。しかし乗用馬が7歳で競走馬デビューを目指すというのは前代未聞だが、見方によってはロマンのある話でもある。

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