ホソジュンのウマなりトーク
第1回 オウケンサクラと桜
2010.04.06
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はじめまして,ホソエジュンコです。今回から,コラムで毎月お会いすることとなりました。
「自由テーマでOK」ということですので,競馬のこと,馬のことを中心に,たまには三十路独身女の悲しい日々を書かせて頂きたいと思っております。どうぞプライベート,いや,コラムでのお付き合いをよろしくお願いします。
さて4月に入り,いよいよクラシックが開幕となりますが,数あるトライアルレースの中でも特に胸躍ったのが,中山競馬場で行われた牝馬の重賞フラワーカップ。勝ったオウケンサクラは,デビュー前から気にかけていた女の仔なんです。というのも,たまたま遊びに行った音無厩舎で,品のある美しいお顔&ドッシリとした体型のおウマさんを発見,「この仔は?」と尋ねたのが,彼女でした。
デビュー後,ゲートでのアクシデント,フレグモーネなど,決して順風満帆とはいかなかったサクラちゃん。桜花賞へのチケットをかけた最後の戦いフラワーカップでも,中1週,中1週でのハードなローテーションに加え,初めての輸送競馬と,3歳の女の仔にとっては,かなり過酷な条件...。
にもかかわらず,当日の馬体重がプラス2㌔で臨め,なおかつセンスのあるレース内容で勝利。またレース後も,さほど呼吸も乱れておらず,堂々とした雰囲気で,表彰式に向かった担当者の棚江助手を待っていたサクラちゃん。これには馬を預かったJRA職員さんも,「凄いわ~。ほんと大人しい」と,サクラちゃんに感心しきりでしたし,私も彼女の並々ならぬ精神力に,胸がジ~ンと熱くなってしまいました。
管理する音無調教師は,レース後,「とにかく賞金を加算する思いでいっぱいでした。厳しいローテーションでしたので,桜花賞は,馬の様子を見て決めたいと思う。距離が延びても良さそうなので,オークスに絞ってもいいと思いますし...」と,あくまでも馬の状態を第一に考えて,今後を決めたいと話す師は,レース後のオウケンサクラの様子を見て,急遽,当日予定していた帰りの馬運車をキャンセル。一日中山に滞在させ,翌日の馬運車で栗東へ帰ることを選択されていました。競馬後の疲れた状態での長距離輸送は,さらなる負担を馬に与えるばかりか,その後の回復にも時間がかかることでしょう。レースの疲労を少しでも取り除いて輸送をする,この一日置く判断が,後に大きな違いへとつながるように感じます。やはりこうした馬への配慮からうまれる師の判断が,音無厩舎好成績の要因の一つと言えるのかもしれませんね。
また父バゴ(FR)にとっては,初年度産駒から重賞ウイナーの誕生。しかも,いろんな意味で中身の濃い内容での重賞制覇に,今後さらなる子供たちの誕生,活躍が楽しみとなりました。
さて話は変わり,この時期,競馬以外の楽しみと言えば,やはりお花見。騎手は,主に出身地によりグループ分けがされており,お花見は毎年の大切な恒例行事となっています。例えば,関西地区出身者は紅梅会,北海道出身者は,北海道県人会,中には,出身地には関係なく障害騎手で結成されているハードル会などなど...。
また出身者の少ない地域は,自由選択となっており,愛知県出身の私は近い存在ということで紅梅会に入会させてもらっていましたが,なぜか同郷の熊沢騎手は,北海道県人会。その理由は,「クマだから」と...。中には,掛け持ち騎手も存在。「何かにつけて呑みたいんでしょ」と言われればその通りなのですが,若手騎手にとっては,こうした機会に先輩騎手との距離がグッと近くなり,普段レースにおける疑問点や騎乗技術について少しずつ話せるきっかけとなる気がします。しかしながら,いい意味でも怖い意味でも,垣根がなくなるお酒。今年こそは,その境目を見失わない程度に呑みたいと思っている私です・・・。
それでは皆さん,ステキな日々をお過ごし下さい。また来月お会いしましょう~。ホソジュンでした。
JBBA NEWS 2010年4月号より転載
「自由テーマでOK」ということですので,競馬のこと,馬のことを中心に,たまには三十路独身女の悲しい日々を書かせて頂きたいと思っております。どうぞプライベート,いや,コラムでのお付き合いをよろしくお願いします。
さて4月に入り,いよいよクラシックが開幕となりますが,数あるトライアルレースの中でも特に胸躍ったのが,中山競馬場で行われた牝馬の重賞フラワーカップ。勝ったオウケンサクラは,デビュー前から気にかけていた女の仔なんです。というのも,たまたま遊びに行った音無厩舎で,品のある美しいお顔&ドッシリとした体型のおウマさんを発見,「この仔は?」と尋ねたのが,彼女でした。
デビュー後,ゲートでのアクシデント,フレグモーネなど,決して順風満帆とはいかなかったサクラちゃん。桜花賞へのチケットをかけた最後の戦いフラワーカップでも,中1週,中1週でのハードなローテーションに加え,初めての輸送競馬と,3歳の女の仔にとっては,かなり過酷な条件...。
にもかかわらず,当日の馬体重がプラス2㌔で臨め,なおかつセンスのあるレース内容で勝利。またレース後も,さほど呼吸も乱れておらず,堂々とした雰囲気で,表彰式に向かった担当者の棚江助手を待っていたサクラちゃん。これには馬を預かったJRA職員さんも,「凄いわ~。ほんと大人しい」と,サクラちゃんに感心しきりでしたし,私も彼女の並々ならぬ精神力に,胸がジ~ンと熱くなってしまいました。
管理する音無調教師は,レース後,「とにかく賞金を加算する思いでいっぱいでした。厳しいローテーションでしたので,桜花賞は,馬の様子を見て決めたいと思う。距離が延びても良さそうなので,オークスに絞ってもいいと思いますし...」と,あくまでも馬の状態を第一に考えて,今後を決めたいと話す師は,レース後のオウケンサクラの様子を見て,急遽,当日予定していた帰りの馬運車をキャンセル。一日中山に滞在させ,翌日の馬運車で栗東へ帰ることを選択されていました。競馬後の疲れた状態での長距離輸送は,さらなる負担を馬に与えるばかりか,その後の回復にも時間がかかることでしょう。レースの疲労を少しでも取り除いて輸送をする,この一日置く判断が,後に大きな違いへとつながるように感じます。やはりこうした馬への配慮からうまれる師の判断が,音無厩舎好成績の要因の一つと言えるのかもしれませんね。
また父バゴ(FR)にとっては,初年度産駒から重賞ウイナーの誕生。しかも,いろんな意味で中身の濃い内容での重賞制覇に,今後さらなる子供たちの誕生,活躍が楽しみとなりました。
さて話は変わり,この時期,競馬以外の楽しみと言えば,やはりお花見。騎手は,主に出身地によりグループ分けがされており,お花見は毎年の大切な恒例行事となっています。例えば,関西地区出身者は紅梅会,北海道出身者は,北海道県人会,中には,出身地には関係なく障害騎手で結成されているハードル会などなど...。
また出身者の少ない地域は,自由選択となっており,愛知県出身の私は近い存在ということで紅梅会に入会させてもらっていましたが,なぜか同郷の熊沢騎手は,北海道県人会。その理由は,「クマだから」と...。中には,掛け持ち騎手も存在。「何かにつけて呑みたいんでしょ」と言われればその通りなのですが,若手騎手にとっては,こうした機会に先輩騎手との距離がグッと近くなり,普段レースにおける疑問点や騎乗技術について少しずつ話せるきっかけとなる気がします。しかしながら,いい意味でも怖い意味でも,垣根がなくなるお酒。今年こそは,その境目を見失わない程度に呑みたいと思っている私です・・・。
それでは皆さん,ステキな日々をお過ごし下さい。また来月お会いしましょう~。ホソジュンでした。
JBBA NEWS 2010年4月号より転載