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第82回 新しい年を迎えて

2017.01.09
 新たな年を迎え、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
 馬と共に生活をされている方々は、盆も正月もないというのが実状だと思います。ましてや寒さが厳しくなるこのシーズンは、本当に大変だと感じます。

 つい先日、栗東トレセン内を自転車で走っていた際、(この馬、良い馬だなぁ~。なんという馬かな?)と目にとまった馬が室内プール場へと入って行ったので、私もついて行くと、そこには競馬学校時代を共に過ごした元厩務員の女性が、監視員として働かれていました。

 久々に出会ったこともあり、彼女と話しこんでしまったのですが、出てくる言葉は、「厩務員を辞めて、もう数年が経つけど、今改めて厩務員の仕事は過酷だったと思うのよ。特に冬の季節は。だってね、厩務員として働いていた時にプールに来ると、暖かいな~と感じて、暖房って良いなぁと思ってた。純ちゃんもそうだったでしょ?」と。確かに、凍えるような外の寒さから一変するプールの室内は、冬場に現場で働く者にとってはオアシス。

 私自身も、なんと暖かいのだろうなぁ~と騎手候補生時代に厩務員の方に同行した際には感じていました。

 「でもね、実はこのプールの室内は、暖房など付いてないのよ。見て、今こうして監視の為に座っている机の下の足元にはヒーターをおいているのよ。それでも寒いから、膝にはブランケット、首にはマフラー、頭には帽子なんだから。でも、まだ寒いのよ。厩務員時代の温度と同じはずなのに、こうも感じ方が違うとは...。いかに極寒の中で仕事をしていたかを感じるわ」と。そして、「人間って過酷な環境だと、ほんの少しのことにも喜びを感じられるのね。今ではナマコになってしまったわ(笑)...」と。

 何だか、身に染みる言葉でした。厳しい状況や環境下に身をおくと、ちょっとの違いや変化も敏感に感じ取れ、そのありがたみや感謝を感じられる一方、逆を言えば、甘えてしまえば、どんどんいろんな意味で鈍感になり、よりラクを求め、結果的に満たされない精神へと陥ってしまうということに気づかされます。

 何だか、そうならないようにと、あの目にとまった馬が私に気づかせる為にプールへと導いてくれた気がしました。

 しかしながら年齢を重ねてくると、頑張り過ぎることが無理をする結果へとも繋がりそうで、体のことを考え心配になってしまうところも...。

 若い頃には理解できなかった、「若いうちだからできることがある」と言う先人たちの言葉が、今になって身に染みますし、その線引きが非常に難しく思える年齢になってきたということなのでしょう。

 なんだか年明け早々、しみったれた幕開けとなる内容となってしまいましたが、私自身42歳を迎える今年は、頑張ることと、無理をしすぎないことのほどよいバランスの中で生活していきたいなぁ~と思っています。

 そして、その基盤となる基礎体力だけは付けておいた方がいいようにも思えるので、今年こそは、出産後にご無沙汰となってしまったヨガを復活させ、健全な精神と肉体の基盤作りも再開したいと思っています。

 皆さまは新たな年を迎えられ、どのようなことを感じられているのでしょうか?
 改めて、皆様のご健康とご多幸をお祈りするとともに、2017年もコラムでのお付き合いのほど、どうぞよろしく御願い致します。

 それでは、また来月お逢いしましょう。
 ホソジュンでしたぁ。
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