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第112回 最近の事件から感じること ~物は捉え方によってプラスにもマイナスにも~

2019.07.18
 最近、目を覆いたくなるような事件や事故が多く、胸が痛くなります...。ここ数年、母親となってからは、子供が関係する報道においては特に過敏になり、被害者だけではなく、加害者の立場の両方の側面から考えさせられる状況にも...。
 その中でも親としての立場から子供を育てることの難しさを感じたのが、カリタスの事件直後に起こった元農水事務次官長男刺殺のニュース。

 親が子供を...。人はどんな状況であれ人を殺めてはならない理由は、1人で生まれ育ってきてはいない背景があるからだと思ってきました。

 しかし逮捕時の映像から伝わってきた父親の表情からは、親としての責任を果たしたかのような安堵感と、疲れ果てた末の覚悟の決断だったように見受けられ、誰も責められないような、なんとも切ない気持ちに...。

 しかも亡くなった方は私と同じ44歳。オギャーと生まれてから44年、どんな幼少期を過ごし、どのような環境の中で人格が形成され、そして確執が生じる生き方となったのか?子育てには正解がないだけに、今、5歳の息子を持つ母としても、ズシリと重く、深く考えさせられることが多かったです。

 また子供ができたことで気づいたのですが、日本と海外における教育に対する大人たちの考え方があまりにも違い、日本は少し窮屈さがあるようにも...。

 これは教育だけでなく、馬の世界や、あらゆる現場でも感じるのですが、リラックスした環境や状態の提供度合いと、その重要性の認識度の違いがあるように思えるのです。

 例えばお菓子。日本の学校では、お菓子はほぼ禁止。しかし息子が週1回通っている英会話スクールでは、「お母さん、必ずスナック菓子を1つ持たせてください」と言われます。

 その理由は、スナックタイムが1番子供たちがリラックスできて、会話も弾みだすからと。同じ物でも、大人の捉え方1つで魔法の道具ともなれば、悪な物という認識にも...。

 この捉え方の違いって、ちょっとしたことかもしれませんが、実は非常に大きいことに感じてしまうのは私だけでしょうか...。

 今、栗東トレセンの中にはウォーキングマシーンが取り入れられています。これは次世代への人手不足を解消する目的の1つとして取り入れられ、導入しているのですが、いち早く設置した小崎厩舎では、「今ではこれがないと、スタッフが困るのでは?」と小崎調教師が話すほど、かなり重宝している様子。

 一定のリズムで周回でき、その間、人が別の仕事に携われる便利さはもちろんのこと、環境に慣れない若駒や、アウェーなことを極度に苦手とする馬、はたまた元気が良すぎてしまう際などは、人馬共に安全が図れ、落ち着きが得られるようにも...。

 しかしその一方で、以前、数々の名馬を育て上げた関東のベテラン厩務員さんが、「曳き運動にしても、馬の成長度合いや、その日のメンタル面を感じ取りながら時間調整や場所の選択をする」と話されていたことが思い起こされますし、数々のGⅠ馬を作り上げ、関西で一目置かれるほどの腕利き厩務員さんは、「パドックの曳き手から伝わる感触で、その日、愛馬が走るかどうかが感じ取れる」とも。

 同じ運動でも、見える景色、会話する人間との時間、立ち止まれることで生まれる心の余裕や、ハプニングに対しての経験値など、同じ動作でも、機械と人間の間には大きな違いがあるのではないでしょうか...。

 よってこれもお菓子の話と同じで、ウォーキングマシーンも人間の捉え方と使い方次第では、プラスにもマイナスにもなってしまうように思えます。

 今回のストーリー、少し話が極端すぎたかもしれませんが、馬の取材を通して感じてきたことが意外にも子育てに通じるものが多く、できれば私自身も頭ごなしに物事の判断を一方的に押し付けることのないような柔軟な母親でいることが大事なのかな?と感じています。(しかし実際は、時間と心の余裕がなく、すぐに怒鳴ってしまう日々ですが...)

 それでは皆さんまた来月、お逢いしましょう。

 ホソジュンでしたぁ。
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