馬ミシュラン
第68回 『所変われば』
2014.08.18
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イギリスのRacing Post紙6月12日号の記事『Races need to be cut to tackle small fields』という記事(の翻訳)を読んだ。記事の内容は「出走頭数減少の問題について、出走頭数が'危機的レベル'にある競走の数を削減する事が望ましい」というBHA(英国競馬統括機構)のポール・ビターCEOの提案」である。
その原因を調べたところ「開催日数ではなく競走数の増加である」と結論付けている。日本の地方競馬も似たような状況ではあるが、ややアプローチが異なる点が興味深かった。
南関東ではここ数年、開催日数が減っていて、夏場の浦和や船橋は3日開催や4日開催で行われている。例えば、本稿執筆時点で絶賛開催中の浦和競馬~船橋競馬は7月14日(月)~16日(水)が浦和開催で、17日(木)~18日(金)、ホリデーを挟んで21日(祝月)が船橋競馬という変則開催である。一方で浦和競馬、船橋競馬ともに全日12レース制である。
出走頭数はというと、浦和競馬を例に取ると10頭未満の競走が6競走あり、そのうち初日の2歳選抜馬の2競走と、新馬戦3競走は欧州型社会民主主義的な薫りはするが、古馬条件はほぼフルゲートかそれに近い状態で、在厩頭数に応じた競馬を開催している印象だ。そういった面ではイギリスとは異なる。
連続して行われる船橋競馬は、全36競走でひとケタ頭数の競走が7競走。うち2歳戦の3競走はノーカウントとしても、初日、2日のメインレースがいずれも7頭立てというのは酷い。またフルゲート14頭まで出走できる競走を26競走組んでおきながら、実際14頭立てとなったのはたった1競走である。そもそも、番組が在厩頭数と見合っていないのではないかと推測する。登録馬は60頭もいるのに、出馬投票する馬は10頭とか、そういった事が毎開催のようにある。
こちらはどちらかというとイギリスに近いが、開催登録の際の馬検査である程度の想定は掴める筈で、その点では他の3場はうまくやれているのに、というのが正直なところ。それに基本的に内厩で所属馬を囲っている日本の競馬とイギリスの競馬とは単純に比較できない面はあるが、例えば南関東の場合は格付けや開催によっては4場相互に出走出来る。メインレースで行われるクラスはほぼ他場の出走が可能だ。番組に魅力がないと出走馬確保は難しいといえる。
「人々は直感的に開催日数が多すぎるので削減すればいいと言うでしょう。しかし、競馬産業と競馬場の収入をどうやって確保するかが問題であり、これは一筋縄では行かないのです」とビター氏。'競走策定戦略'で、①出走馬や出走登録馬がほとんどいない競走の中止、②競走馬の頭数に見合うように競馬開催の地理的分布を改善する計画、③レースの分割・再提供・再開、を検討すると。
地方競馬の売り上げが最大だった91年度を終えイケイケだった92年度の南関東は、年末のW開催も含め62開催、延べ325日の開催があったが、今年度は57開催、延べ270日(予定)に減っている。開催数が減る事により、警備や清掃、実況やシステム関連など、1日単位の仕事に対する経費が大幅に浮く事になる(我々の発行日も減っている)。その上で1日のレース数(最大12競走)を増やせば効率よく稼げると考える。日本の地方競馬では実際にその方法で立て直している主催者も結構ある。しかし、イギリスに於いてはビター氏の意見はそれを否定している。
その点は平地、障害のシーズンがあるイギリス(オールウェザーを活用し北部の競馬場の競馬開催日を増やす案)とは事情が異なる部分だろう。本音を言えば1日のレース数を減らし、開催日を多くするというのは、我々新聞屋的には大賛成であるが、競馬場はそれだけ開催経費が増えるだろうから、まず実現はないだろうが。
生産頭数が減り、在厩頭数も減り、交流レースの活性化でかねてより言われていた馬資源の共有はひと頃に比べれば活発になっている。売れない日の開催を減らし、JRAとの競合を避ける現在の開催形態はある意味理想形ではある。
更なる売り上げ増を狙うには、やはり出走馬の確保が大事。その点は一致している。そのための効率を高めた番組の編成が、平凡な結論ではあるが現実的な目標だろう。国によって事情が異なる点はおもしろい。
その原因を調べたところ「開催日数ではなく競走数の増加である」と結論付けている。日本の地方競馬も似たような状況ではあるが、ややアプローチが異なる点が興味深かった。
南関東ではここ数年、開催日数が減っていて、夏場の浦和や船橋は3日開催や4日開催で行われている。例えば、本稿執筆時点で絶賛開催中の浦和競馬~船橋競馬は7月14日(月)~16日(水)が浦和開催で、17日(木)~18日(金)、ホリデーを挟んで21日(祝月)が船橋競馬という変則開催である。一方で浦和競馬、船橋競馬ともに全日12レース制である。
出走頭数はというと、浦和競馬を例に取ると10頭未満の競走が6競走あり、そのうち初日の2歳選抜馬の2競走と、新馬戦3競走は欧州型社会民主主義的な薫りはするが、古馬条件はほぼフルゲートかそれに近い状態で、在厩頭数に応じた競馬を開催している印象だ。そういった面ではイギリスとは異なる。
連続して行われる船橋競馬は、全36競走でひとケタ頭数の競走が7競走。うち2歳戦の3競走はノーカウントとしても、初日、2日のメインレースがいずれも7頭立てというのは酷い。またフルゲート14頭まで出走できる競走を26競走組んでおきながら、実際14頭立てとなったのはたった1競走である。そもそも、番組が在厩頭数と見合っていないのではないかと推測する。登録馬は60頭もいるのに、出馬投票する馬は10頭とか、そういった事が毎開催のようにある。
こちらはどちらかというとイギリスに近いが、開催登録の際の馬検査である程度の想定は掴める筈で、その点では他の3場はうまくやれているのに、というのが正直なところ。それに基本的に内厩で所属馬を囲っている日本の競馬とイギリスの競馬とは単純に比較できない面はあるが、例えば南関東の場合は格付けや開催によっては4場相互に出走出来る。メインレースで行われるクラスはほぼ他場の出走が可能だ。番組に魅力がないと出走馬確保は難しいといえる。
「人々は直感的に開催日数が多すぎるので削減すればいいと言うでしょう。しかし、競馬産業と競馬場の収入をどうやって確保するかが問題であり、これは一筋縄では行かないのです」とビター氏。'競走策定戦略'で、①出走馬や出走登録馬がほとんどいない競走の中止、②競走馬の頭数に見合うように競馬開催の地理的分布を改善する計画、③レースの分割・再提供・再開、を検討すると。
地方競馬の売り上げが最大だった91年度を終えイケイケだった92年度の南関東は、年末のW開催も含め62開催、延べ325日の開催があったが、今年度は57開催、延べ270日(予定)に減っている。開催数が減る事により、警備や清掃、実況やシステム関連など、1日単位の仕事に対する経費が大幅に浮く事になる(我々の発行日も減っている)。その上で1日のレース数(最大12競走)を増やせば効率よく稼げると考える。日本の地方競馬では実際にその方法で立て直している主催者も結構ある。しかし、イギリスに於いてはビター氏の意見はそれを否定している。
その点は平地、障害のシーズンがあるイギリス(オールウェザーを活用し北部の競馬場の競馬開催日を増やす案)とは事情が異なる部分だろう。本音を言えば1日のレース数を減らし、開催日を多くするというのは、我々新聞屋的には大賛成であるが、競馬場はそれだけ開催経費が増えるだろうから、まず実現はないだろうが。
生産頭数が減り、在厩頭数も減り、交流レースの活性化でかねてより言われていた馬資源の共有はひと頃に比べれば活発になっている。売れない日の開催を減らし、JRAとの競合を避ける現在の開催形態はある意味理想形ではある。
更なる売り上げ増を狙うには、やはり出走馬の確保が大事。その点は一致している。そのための効率を高めた番組の編成が、平凡な結論ではあるが現実的な目標だろう。国によって事情が異なる点はおもしろい。