JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第13回 データは使ってナンボ

2010.03.01
 JBISサーチのベータ版がリリースされた。正直,感動の出来映えである。JBBA NEWSのライターだから媚を売っているわけではない。本当に凄い。何でも調べられる。しかも一部を除き無料だ。

 この手の競馬データベースは数多くあるが,データベースのソースとなる基本的なデータの出処が限られているだけに,これまでのものは日本の競馬全てを網羅,とはいかなかった。
 牧場や血統等の生産情報から,競走情報まで。騎手の騎乗歴まで調べられるし,絞り込み検索も可能だ。これは仕事で使える。今までもJBISはかなり重宝してきた。これまで帳票取得にいくら使ったか分からない。でも,これ無料で良いのだろうか? と,心配になる。

 一方,弊社内で使用しているデータベースは,中央は中央,地方は地方で別れている上に,地方競馬は転入や交流,場間場外が多く,馬データが抜け落ちていたりして,現在メーカーさんに再構築してもらっている最中である。

 また,中央と地方も,当初は別でも十分だったのだが,中央から地方へ移籍して,さらに数戦して出戻りとか,出戻りした馬が中央で出世して交流に出走するとか,番組の多様化に対応しきれなくなった。当然,過去の出走歴などいちいち入力し直していては効率が悪く,もうそろそろ中央と地方の統合を検討しなければならない時期にきていると感じる事も多くなってきた。

 その他に,予想のデータベースもあって,これは自分で見るぐらいしか使い道がない(偉い人は査定に使っているかも)のだが,自分が良く当たる条件とか,自分がよく印を打つ騎手とか厩舎がよく分かる。大体印象と相違はない。もちろん,他人のデータも見ることが出来る。ちなみに,弊社の浦和のトラックマンは,浦和開催で船橋の馬に最も多くの◎を付けていたが,高配当は浦和の馬で当てていた。とりあえず安心した。

 ちなみに,データベースの再構築中は,レガシーメディア,つまり紙の成績カードを,相変わらず使っている。あと1年か2年で廃止にする予定ではいる。当初はとっくに廃止になっているはずなのだが,ベテラン記者から「それでないと原稿が書けない!」と激しい抵抗に遭い,データベースの不調と相まって存続となっている。

 紙は紙で良い所があって,それをパラパラめくりながら,キーボードを打てる。また,書き込みが出来る。それからネットワークのトラブルに強いなど,決して悪いところばかりではない。

 また,過去のカードもいわゆる'名馬級'の馬は保存している。アラブの怪物,国民的アイドルホースなど。そこには休養の理由や,当時の記者のメモ書きなど貴重な記録が残っている。ただ,難点を言えば,字が汚くて解読しづらい。それも味と言えば味ではあるが。

 最近の参加型のサイトでは,馬の成績に読者が書き込みできるコメント欄を設けているところがある。応援コメントから,スポーツ新聞からの転載,怪しげな独自情報まで,様々なコメントが寄せられ,時々,本物の馬主や生産者が現れることも。時々荒れることもある。最近で言えば,ヴァーミリアンのGI級レース8勝は,ルドルフやディープを超えたかとか,そんな話題。

 記録上では超えている。それが記録だと思う。ただ,その評価は別であってもいい。ようは後の世にどう残すかであって,それはわれわれの仕事でもあるし,ファンが思うところで良い。

 目下構築中のデータベースでは,これらの機能を盛り込むよう,要望を出している。出来ればJBISサーチを超えるものを作りたいとは思うが,新聞であらかじめ使うと想定される要素,例えば基本的な場所別,距離別,馬場別の集計や,距離別の持ちタイム,騎手別の成績などは,ひと目見て分かるようなものになるだろう。

 もちろん,談話などの文章や,調教時計なども蓄積できるようにしたいと思っている。業務用なので一般公開する訳ではないのだが,それをうまく新聞に反映できなければ,宝の持ち腐れだ。

 JBISサーチも同様で,この大量の資料を生産に,競馬に,馬券に,うまく使ってこそ。多くの方に使って欲しいという趣旨での無料化と聞いた。

 ちなみに,業務利用,二次利用は別途契約となるようだ。恐らく,その分野での利用は今後多くなるのではないかと思うが......。


JBBA NEWS 2010年1月号より転載
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