JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第66回 『福島に競馬がやって来た!』

2014.06.17
 といってもJRA春の福島開催の話ではない。4月20日、地方競馬の場外馬券発売施設『ニュートラック福島』がオープンした。場所はJRA福島競馬場から国道4号線沿いに北へ5.6キロ。車なら10分、徒歩なら1時間10分の福島市瀬上町にある競輪場外『サテライト福島』の3階。南関東4競馬場を中心に、年間約270日、発売、払戻し兼用機3台、発売機2台、有人窓口1。1日250人の利用を見込んでいる。
 委託を受け発売するのは、山形県上山市の株式会社ニュートラックかみのやまである。同社は福島県飯舘村の『ニュートラックいいたて』でも南関東の馬券を発売していたが、東京電力福島第1原子力発電所の事故により飯舘村が計画的避難区域に指定され、全村民の約9割が福島市などに避難したため営業休止を余儀なくされ、これまで代替地を探していた。

 なお『ニュートラックいいたて』についても、業務委託を受けている大井競馬が東京電力より、平成24年4月から平成25年3月の営業逸失利益和解金として2,655万1,317円を受けていることなどから、今後も引き続き再開に向け時期を検討するとしている。

 『ニュートラック福島』のあるサテライト福島は、1階が競輪、2階が競艇のミニボートピア福島、そして3階が競輪の特別観覧席と『ニュートラック福島』となっている。いわゆる「相乗り場外」である。このところ南関東4競馬場の場外でもこうした相乗りが増えており、サテライト成田に設置された『エフケイバ成田』や、以前紹介した'公営競技の殿堂'『ジョイホース双葉』などが既存施設に相乗りで設置された。

 あるいは『ジョイホース横浜』や『ジョイホース浜松』のようにボートピアやウインズが入居するビルの別フロアに設置されるケース。さらには昨年オープンの『オフト伊勢崎』は伊勢崎オートレース場のグリーンスタンド内に、今年春にオープンした『オフト京王閣』は京王閣競輪場のバックスタンドにと、他競技の本場に設置されるケースまである。

 これまで地方競馬の場外進出はなかなか進まなかった。地元住民の同意を得られないことが原因のひとつである。また、競輪場外のサテライトや、ボートレース場外のボートピアに比べ進出する速度も遅かった。我々競馬専門紙は発売場所が増えれば、当然売り上げも増える。場外設置の計画が表に出ては消える状況にやきもきしていたが、ここ数年は比較的同意が得られ易い「相乗り」という形で増えてきたことは喜ばしい。

 というわけで、場外が出来れば新聞である。ましてや福島である。日刊競馬の準本拠地とも言うべき福島である。これは負けられない、という強い意気込みで臨んだが、いきなり躓いた。

 施設会社(サテライト福島)が「新聞はいらない」と言ってきたと弊社営業部が困った表情で言う。実際に現地で新聞販売を担当する販社さんからも同様の話が。どうやらこれまでもサテライト福島直販で競輪や競艇の専門紙を扱っていたが、全くと言っていいほど売れなかったらしい。だから新聞はいらないと。「いやいやちょっと待って下さい」と、我々も交渉を重ね、3階で売り子さんも含め全てこちらで用意することで、なんとか販売の許可を取り付けた。さすがにこれは予想外の出来事であったが、事なきを得てとりあえずホッとした。思えば、双葉でも新聞はほとんど売れていなかった。競輪や競艇が既に進出している場外の難しさである。

 4月20日(日)のオープン当日は福島競馬開催中の影響か130名と入りは今ひとつだったが、翌21日148名、22日234名、オープン4日目の23日には263名と目標クリア。24、25日はそれぞれ292名、299名と300の大台が見えてきた。さすが福島である。

 がしかし懸念材料も。国道を挟み向かいがダイナム系のキャビンプラザせのうえ店、そして数百メートル先にマルハン伊達店があり、結構繁盛していた。双葉のタイホー双葉店もそうだが、特に地方においてパチンコは強敵である。サテライトが競馬の進出を許した理由が分からなくもない気がする。「福島が熱い」のはあくまで土日の話。平日のレジャー争いはこれからが本番だ!
トップへ