馬ミシュラン
第78回 『施設改善ブーム』
2015.06.17
Tweet
今、南関東の各競馬場では様々な設備の改修工事が行われている。
大井競馬場では目下2号スタンドリニューアル工事の真最中。場内の至るところが仕切られて狭くなっているが、これまでほとんど使われていない(人が行かない)エリアも活用されるようになり、通い慣れた競馬場でもある意味新鮮さを感じる部分もある。大井競馬場は20年前なら常に2~3万人の入場があり、場内も相応の広さがあるが、最近では重賞のない日で3,000人台、重賞の日でも1万人に届くか届かないか。場内の投票所だった建物や、あまりひと気のない4号スタンド外側の付近、ナイターが始まっても開けない内馬場など、かつての栄光を偲ばせる部分が多い。コンパクトな新スタンドは時代の流れだろう。
5月には先行して2基の新しい照明灯が使われるようになり、スタンド本体も基礎工事が終わり、いよいよ鉄骨組みが始まった。ここまでくればスタンド本体の姿が徐々に見え始めてくるだろう。工事完了は10月30日。JBCの開催に向けカウントダウンのように出来上がる新スタンドを眺めながら仕事することになりそうだ。
川崎競馬場の3号スタンド跡地に建設中の商業施設も姿を現しつつある。基本的に商業施設での馬券購入、競馬観戦は出来ないようだが、旧3号スタンドのエリアはここ数年ほぼ使われておらず、また内馬場にも広い観戦エリアがある。
川崎競馬場は土日にはWINS川崎として中央競馬の馬券も発売しており、年間ほぼ365日どこかの馬券を買うことができる。また開催中もばんえいや道営、岩手、名古屋、笠松などのレースを全レース併売している。その方針が当たったのか昨年1年の入場者数は1日平均4,703人、前年比101.3%と、南関東で唯一入場者数を前年から伸ばしている。行けば必ず開いているというのは、ファンにとってこれ以上ないサービスと言えるだろう。競輪やボートレース、場外発売施設ではすでに一般的であり、この分野で競馬場は遅れていると言える。開ければ開けたで経費はかかるが、お客さんを施設に紐付けするという意味では有効ではないかと思う。
船橋競馬場はナイター照明施設が完成。6月15日の「ハートビートナイター」開幕に向け、調整とテストを兼ねて4月17日にナイター照明下で調教試験が行われた。
当日場内を見て歩いたが、コースは若干まだらであるものの、照明の照度は十分。カメラを通して露出計でみると実際は大井や川崎よりも暗いのだが、目で見る分には逆に明るく感じる。
主催者は35%の入場増を見込んでいるが、さすがにそれは難しいのではないかと感じる。大井や川崎と違い、船橋あたりは会社帰りに寄るところではなく、どちらかと言うと帰るところ。最寄りの駅では多くの利用客が下車しているが、夜の競馬場周辺や向かいの商業施設は閑散としている。昨年実績が1日平均3,087人、重賞の日以外だと約2,000人程度で、その35%増というと恐らく入場2,700人前後ということになるが、これまでの主力だった高齢者層は夜間に出歩かないから、その数を引いて考える必要がある。
ナイター発売で在宅投票や都心部の場外の売り上げが伸びる分を加味すれば、概ね現状維持の入場があれば成功と言えそうだ。最初は物珍しさもあり、多くの競馬ファンを集めるだろうが、帰りは大変だ。筆者の場合は大井、川崎からなら1時間、船橋からだと2時間かかる。21時に出れば帰宅は23時。その辺は昼には感じない部分だ。
浦和競馬は数年前に旧1号スタンドを改築し、2010年に業務棟が完成。次に控えるのが2号スタンドの改築ということに恐らくはなると思う。ただ今のところ発表できるものはないようで、いずれ決まったらということに。現在記者席は2号スタンドにあるが、仮に工事をするとなると、狭い業務棟に入れるかどうか。
昭和に建てられた中央競馬のスタンド改築は概ね終了したが、地方競馬の施設の多くは昭和50年代に建てられたものが多く、耐震改修促進法に引っ掛かっているところもあるだろう。改修、改築、あるいは撤去か、いずれにしても現状の本場入場を考えればそのままの規模はもはや必要ない。ただ、JpnⅠのピーク時は2~3万人程度の入場があり、ピークと平時の差が施設改善の点でいかにも悩ましいところでもある。
大井競馬場では目下2号スタンドリニューアル工事の真最中。場内の至るところが仕切られて狭くなっているが、これまでほとんど使われていない(人が行かない)エリアも活用されるようになり、通い慣れた競馬場でもある意味新鮮さを感じる部分もある。大井競馬場は20年前なら常に2~3万人の入場があり、場内も相応の広さがあるが、最近では重賞のない日で3,000人台、重賞の日でも1万人に届くか届かないか。場内の投票所だった建物や、あまりひと気のない4号スタンド外側の付近、ナイターが始まっても開けない内馬場など、かつての栄光を偲ばせる部分が多い。コンパクトな新スタンドは時代の流れだろう。
5月には先行して2基の新しい照明灯が使われるようになり、スタンド本体も基礎工事が終わり、いよいよ鉄骨組みが始まった。ここまでくればスタンド本体の姿が徐々に見え始めてくるだろう。工事完了は10月30日。JBCの開催に向けカウントダウンのように出来上がる新スタンドを眺めながら仕事することになりそうだ。
川崎競馬場の3号スタンド跡地に建設中の商業施設も姿を現しつつある。基本的に商業施設での馬券購入、競馬観戦は出来ないようだが、旧3号スタンドのエリアはここ数年ほぼ使われておらず、また内馬場にも広い観戦エリアがある。
川崎競馬場は土日にはWINS川崎として中央競馬の馬券も発売しており、年間ほぼ365日どこかの馬券を買うことができる。また開催中もばんえいや道営、岩手、名古屋、笠松などのレースを全レース併売している。その方針が当たったのか昨年1年の入場者数は1日平均4,703人、前年比101.3%と、南関東で唯一入場者数を前年から伸ばしている。行けば必ず開いているというのは、ファンにとってこれ以上ないサービスと言えるだろう。競輪やボートレース、場外発売施設ではすでに一般的であり、この分野で競馬場は遅れていると言える。開ければ開けたで経費はかかるが、お客さんを施設に紐付けするという意味では有効ではないかと思う。
船橋競馬場はナイター照明施設が完成。6月15日の「ハートビートナイター」開幕に向け、調整とテストを兼ねて4月17日にナイター照明下で調教試験が行われた。
当日場内を見て歩いたが、コースは若干まだらであるものの、照明の照度は十分。カメラを通して露出計でみると実際は大井や川崎よりも暗いのだが、目で見る分には逆に明るく感じる。
主催者は35%の入場増を見込んでいるが、さすがにそれは難しいのではないかと感じる。大井や川崎と違い、船橋あたりは会社帰りに寄るところではなく、どちらかと言うと帰るところ。最寄りの駅では多くの利用客が下車しているが、夜の競馬場周辺や向かいの商業施設は閑散としている。昨年実績が1日平均3,087人、重賞の日以外だと約2,000人程度で、その35%増というと恐らく入場2,700人前後ということになるが、これまでの主力だった高齢者層は夜間に出歩かないから、その数を引いて考える必要がある。
ナイター発売で在宅投票や都心部の場外の売り上げが伸びる分を加味すれば、概ね現状維持の入場があれば成功と言えそうだ。最初は物珍しさもあり、多くの競馬ファンを集めるだろうが、帰りは大変だ。筆者の場合は大井、川崎からなら1時間、船橋からだと2時間かかる。21時に出れば帰宅は23時。その辺は昼には感じない部分だ。
浦和競馬は数年前に旧1号スタンドを改築し、2010年に業務棟が完成。次に控えるのが2号スタンドの改築ということに恐らくはなると思う。ただ今のところ発表できるものはないようで、いずれ決まったらということに。現在記者席は2号スタンドにあるが、仮に工事をするとなると、狭い業務棟に入れるかどうか。
昭和に建てられた中央競馬のスタンド改築は概ね終了したが、地方競馬の施設の多くは昭和50年代に建てられたものが多く、耐震改修促進法に引っ掛かっているところもあるだろう。改修、改築、あるいは撤去か、いずれにしても現状の本場入場を考えればそのままの規模はもはや必要ない。ただ、JpnⅠのピーク時は2~3万人程度の入場があり、ピークと平時の差が施設改善の点でいかにも悩ましいところでもある。