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第90回 『馬名欄』

2016.06.17
 過去2ヵ月にわたってお伝えしている新システムですが、いよいよという段階に来て再び修正となり、いまだ移行しておりません。急ぐ理由もそれほどないので、より良い状態にしてから臨みたいと思っております。
 今回まるでシステムが変わるので馬柱もイチから作りました。とはいえ、印字エリアは輪転機の仕様で決まるので広くはなっていないですし、新聞の段割りも同様に同じサイズですから、馬柱も日刊競馬のテイストを残しつつ、書体等を今風に変更したりしているわけです。

 これがまた大変な作業でして、文字組というのは全てがバランスで成り立っていて、あっちを変えるとこっちが壊れる、みたいな感じでイタチゴッコになるわけです。ですから、結局は全く同じ中身でも新規に作成しています。

 馬柱の成績欄(会社によって'ハコ'とか'コマ'とか呼び名が違う)もそうですが、最も大事なのは馬名欄でしょう。ここが新聞のイメージを決めると言っても過言ではないと思います。

 参考に縦書き各社の馬名欄を眺めていると、ここには様々な情報が詰め込まれていることがわかります。まず馬名、そして父・母・母の父。性別、馬齢、毛色。ここまでは大体どこの会社も同じです。さらに父母の距離適性(短距離向き、長距離向き、万能など)や脚質の矢印、馬主や厩舎、生産者、産地、転入前の成績やクラス(地方○勝とか、中央500万とか)などなど。

 ここに様々な要素が詰め込まれる一番の要因は、縦書き新聞で数少ない縦書きの部分だからでしょう。全てが罫線で区切られて横書きにされても見づらいわけで、見やすくするには縦と横をうまく使い分ける必要があるわけです。またここに要素を詰め込むために拡大すると、持ち時計や距離別・場所別の成績を圧迫するなど、別の段数の柱を組む際、後々ここがネックになってくるわけです。

 今回、日刊競馬では「綺麗な馬名欄」(笑)を目指しました。馬名・父母・母の父・性別・馬齢・毛色。基本的にこれだけ(他に遠征馬のマークや外国産馬のマル外等の記号)。隙間だらけです。隙間だらけで見やすいです。実はまだ入れたい要素があって、構想段階では例えば、ブラックタイプだとか、父の父だとか、他社でも入れている市場取引時の価格だとか、いずれは「汚れる」でしょうが、とりあえず最初は綺麗な状態で始める予定です。

 ちょっとだけどうするか迷ったのは「Ⅱ」の標記をするかどうか。今年の2歳馬の登録で'三代目'ヒシマサル」が話題になった。馬柱の現役馬名である期間は「ヒシマサル」でいいとは思うが、種牡馬になった場合どうするか。

 とはいいつつも、せり名簿を眺めていても、母馬で何頭か出てくるぐらいで、種牡馬だとロイヤルアカデミーⅡぐらいしか目にしないから、とりあえず今回は見送った。

 ヒシアケボノの2代目ヒシアケボノ(USA)についてはそのいきさつやエピソードは有名であるが、確かに長く馬主をやっていたり、代々馬主だったりすると、期待値の高い馬に付けたい「勝負馬名」みたいなものがあるのだろう。データベース上にはないが「ミスターシービー」も1934年生の初代がいて、同じように期待の高い馬1980年生に「ミスターシービー」の名が付けられている(らしい)。

 「メイショウ」さんに至ってはスケールが違う。あれだけ所有馬が多いと、JBIS-Searchで検索しただけで多くの同名馬が出てくる。アから始まる馬名だけでも「アイアン」、「アオバ」、「アガサ」、「アケボノ」、「アサギリ」、「アラワシ」、「アンカー」などなど。この後も「イッキ」、「イダテン」など、さすがに数えるのが嫌になるぐらいだ。

 おもしろいところではばんえいとの同名馬。スーパーペガサスが有名だが、こちらの方は馬名管理が別だから問題ない。ただ業務の上では我々が成績をNARのサーバーからダウンロードしようとすると、ばんえいの方の成績が被るので困るぐらいだ(いや、凄く困る)。

 新聞でも最初に目にするのは恐らく馬名だと思われる。多分、来月にはなんとかなるのではないと思うので、綺麗になった馬名欄を1度皆さんに見てもらいたい。
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