馬ミシュラン
第192回 『京都会議』
筆者は競馬専門紙「日刊競馬」南関東版の“一応”編集・制作の責任者となっている。“一応”というのは、年次的に筆者よりも先輩が多く、実際の職責と社内の力関係は違う。基本的にはハンコを押すのと、謝るのが主な仕事である。
その他に全国公営競馬専門紙協会の事業・編集局長という肩書も持っている。
全国公営競馬専門紙協会というのは、地方競馬の専門紙各社で構成されている団体で、各主催者や地方競馬全国協会や全国公営競馬主催者協議会など地方競馬に関わる団体との窓口、調整機関としての役割を持っている。
事務局長のもとで、事業(協会としての業務)や編集(会報などの発行や、加盟社への各種お知らせなど)などの業務を行う、いわば実行部隊だ。
ちなみに各地の編集長クラスが局員として参加しているのだが、そこでもキャリア的に先輩が多く、肩書の割にはぺーぺー感は否めない。筆者もキャリア30年なのだが、この業界、なかなか先輩が居なくならない(笑)
専門紙協会は基本的に社長やオーナーレベルの活動が中心ではあるが、我々事務局では編集長レベルの会合を年に2回開催している。昨年は東京と大阪で開催され、今年はつい先日京都で、主に西日本地区の会社を中心とした会議が行われた。「京都会議」である。
筆者自身は既にお会いしたこともあるし、日頃メールで情報をやり取りしている方々ばかりだが、日頃の業務についての情報交換が盛んに行われ、大いに盛り上がった。
そして懇親会。みなソコソコの年齢になると病気の話(病気自慢)になる。今年は胃潰瘍によく効く薬の話になった。筆者も数年前に「昔なら死んでるレベル(医者談)」の十二指腸潰瘍を患い、ある薬のお世話になった。小さな粒だが、価格は高く、そしてよく効く。その薬の話で、ある地区の編集長と意気投合してしまった。
朝早かったり、夜遅かったり、暗闇だったり、終日液晶画面を凝視していたり、とにかく体にダメージが蓄積される業務が多い仕事なので、みなさん共通して何かを抱えているし、我々「おっさん」はそういう話で酒が飲める。
20年ほど前から、専門紙協会主導の情報交換が盛んに行われるようになった。それまでは、たとえば笠松から桜花賞や宝塚記念に出走する馬がいれば、時計と話を取りに行っていたが、今は現地の専門紙に情報を依頼するようになった。
そのため以前は頻繁に各地に出張していたが、今はほとんど行くことがなくなってしまった。ただその時に知り合った各地のTMや記者とは今でも繋がりがあり、お互い電話一本でだいたいの用事が済むから、やはり人間関係は大事だ。
会議は開催終了後に夕方から行われるから、当日に入って、一泊したら翌日は帰るだけ。その合間を縫って他社を訪問したり、翌日を全休にして行ってみたいところを訪れたりする。
昨年は園田競馬場の記者席にお邪魔した。多分20年ぶりぐらいだ。今年は競馬ブックさんにお邪魔した。栗東はおそらく25年ぶりぐらいだと思う。毎日のように電話したり、メールしたりしているが、競馬場で会うことはあっても、基本的に他社を訪問する機会はほとんどない。
挨拶して見学して雑談するぐらいだが、他社がどういうシステムや機材を使って新聞制作を行っているのか、見学するのは楽しい。
帰りは車で南草津まで送っていただいたのだが、懐かしい自由の女神っぽいのが立っているホテルをみかけた。そういえば若い頃、ブックさんの方に同じように送ってもらった時に「満室になると照明が消える」と教えてもらったのを思い出した。
京都に戻ったら、時間まで京都観光。京都はほぼ京都競馬場にしか行っていないから、新幹線を降りて近鉄の改札に行くぐらいしか知らない。
修学旅行で来ているのだが、筆者の時代は古都税(古都保存協力税)に反対するお寺のストがあり、京都観光はほとんどなかった。昨年、念願の清水寺、金閣寺、上賀茂神社などを訪問。今年は三十三間堂などを訪れた。
会議自体はひじょうに真剣に行われているのだが、どうも家族には「慰安旅行」と認識されているようで、帰宅すると「どう?楽しかった?」とまず聞かれる。
オンライン会議など頻繁に行われるようになっており、今どき態々行くのもどうかと言われるが、やはり仕事は人間関係が大事。違う場所で同じ仕事をしている仲間と会って話すことは、楽しいし、そう答えている。どう受け取ったかは知らんけど。