JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第93回 『お盆の定番』

2016.09.23
 今年も南関東のお盆開催は大井競馬。開催のメインを飾るのは、これまた定番の3歳馬による地方競馬全国交流競走「第50回黒潮盃」だ。お盆開催らしく家族連れも多く見られ、内馬場のタイ&ビールフェスのプールには剛力彩芽さんのような女性、ではなく子供たちがバチャバチャと。
 ダービーウィークが企画され、各地のダービーからジャパンダートダービーへの路線が確立されたが、出走は伸びず、今年も名古屋のカツゲキキトキト(7着)と笠松のキタノアドラーブル(12着)の2頭だけと例年通り低調であった。

 特に今年は5月29日の九州ダービー栄城賞から、6月16日の兵庫ダービーまで、18日間と例年よりも長い期間で行われ、7月13日のジャパンダートダービーまでの期間にバラつきが出たこと。また、以前にも指摘した通り、各地のレース体系(本来ダービー格のレースが後日にある、あるいは3冠の体系が日程的に近いなど)との兼ね合いもある。

 また、JRA枠が7頭に増えたことも、より地方馬の出走を減らす要因になったことは間違いないだろう。ただ、そうでなくても元々地方馬の出走数は少ない一方で、出走かなわなかったJRA馬も多く、かつ出走枠の関係で少頭数になったことにより売り上げにも影響があると考えれば、増えるのは当然の流れだろう。

 一方で、夏の黒潮盃にはジャパンダートダービーにも出走した東海ダービー馬カツゲキキトキトと同2着馬キタノアドラーブルの他に、兵庫ダービー勝ち馬ノブタイザン、そして北斗盃、北海優駿に勝った北海道2冠馬スティールキングと、その3冠を王冠賞で阻止した王冠賞馬ジャストフォファンが出走してきた。

 南関東勢は、残念ながら東京ダービー馬バルダッサーレと、東京ダービーで1番人気に推され、ジャパンダートダービーを感冒で出走取消したタービランスは出走しなかったが、同2着馬プレイザゲーム。そして関東オークスでタイニーダンサーの2着と善戦したミスミランダーが出走。ジャパンダートダービー12頭(1頭出走取消)に対し、黒潮盃はフルゲートの16頭で行われた。

 1番人気は牝馬のミスミランダー。2番人気は北海道のスティールキング、3番人気にカツゲキキトキト。

 好スタートを切って1コーナーを先頭で回ったのは、牝馬のミスミランダー。ハイセイコー記念、京浜盃2着のグランユニヴェールが2番手と久々の積極策も、向正面に入り外からGRANDAME-JAPAN2016の3歳女王クラトイトイトイが2番手に。

 各馬手綱をグッと押さえていたように、レースは1000㍍62秒5の平均ペース。しかしペースはアップダウンすることなく、12秒半ばで淡々と流れ、我慢比べの様相。3コーナー手前から各馬進出開始。2番手にいたクラトイトイトイとジャストフォファンが接触するなど、スタミナ的には息を入れられない厳しいレースに。

 直線に向いてもミスミランダーの脚色は衰えず。2番手に先行勢の内でロスなく回り、直線でミスミランダーを追いかけて抜けだしたカツゲキキトキト。3番手には大外からマテリアメディカがグイグイ脚を伸ばしてくる。

 残り100㍍を過ぎてカツゲキキトキトとマテリアメディカがグイグイ迫るが、直線入り口でうまくセーフティーリードを保ったミスミランダーが逃げ切った。牝馬の勝利は2012年のアスカリーブル以来。勝ちタイム1分55秒0は過去10年で最も遅いタイムとなった。

 ミスミランダーはホッカイドウ競馬でデビューし、初重賞勝利は笠松のラブミーチャン記念。その後笠松、船橋と移籍し、前述の通り関東オークス2着、前走のB1下で南関東移籍後初勝利を挙げ、今回の黒潮盃で南関東重賞初勝利。関東オークスでは好位から伸びて、そして今回はスタートから出て逃げ切るなど、戦法に自在性がある。

 アッミラーレ産駒はハッピースプリントを筆頭に、さきたま杯2着のトキノエクセレントや、クイーン賞2着サクラサクラサクラ等、ダートグレード競走で地方所属馬の好走が目立つ。2015年の総合サイアーズランキングは76位と産駒の少なさが響いている感じだが、南関東で言えばかつてのアジュディケーティング(USA)、近年で言えばサウスヴィグラス(USA)、パイロ(USA)などのような活躍をみせる可能性が高いのではないかと思う。
トップへ