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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第123回 『お問い合わせ』

 競馬新聞社の編集部には読者様から問い合わせの電話がよく掛かってくる。電話番号は確か番号案内には公開していないはずなのだが、どこで調べたのか掛かってくる。

 問い合わせ内容は新聞の発売場所から新聞の読み方、ネット新聞関係の疑問質問とサポート、さらには「今日はどこの開催だっけ?」から「ナントカ競馬場の第○レースの結果を教えてくれ」など、内容は様々である。概ねベテランファンからの問い合わせが多く、若いファンからの問い合わせはほぼメールである。

 原則全ての問い合わせに答えるようにしているが、レースの結果だけはホームページや携帯サイト、テレホンサービスだけをお伝えするように社で決めている。それは、昔々まだ携帯もスマホもインターネットも無かった時代に結果についての問い合わせがお客さんからあり、どちらかが聞き間違えてトラブルになったことがあるからだ、と聞いている。自分が入社するはるか前の話で、今も代々言い伝えられている。

 レースの結果、払戻金は主催者発表のものでご確認下さい、なのである。

 近年、競馬新聞の読み方についての問い合わせが増えている。一説には定年後の趣味として競馬を始めてみようと思う人が、以前よりも増えているからだという話。以前から競馬は知っていたし興味はあったが、リタイアして時間が出来たので始めてみた、というケースである。

 そしてその最初のハードルが、専門紙やスポーツ紙の馬柱の読み方なのだと言う。

 自分達で発行しておきながらこう言うのもなんだが、馬柱の中身は知っていれば分かりやすく機能的だが、初心者や知らない人にとっては暗号である。良く言えば活字文化の集大成、悪く言えば不親切極まりない。

 弊社地方版を例にとると、最初に躓く。1行目は「17大3 1・24」。なにそれ、である。「17回大井競馬3日目、1月24日」。さらに3日目の部分は四角の白抜き、つまり不良馬場であることを表している。レースによっては「17大」が白抜きになっていることがある。それはナイター競馬であることを表している。馬柱1行の説明に本誌5行を要するのである。これを電話で説明するとなるとどうなるのか、想像にお任せする。

 しかも、途中で話がかみ合わなくなることもよくある。大体はお客さんが他紙を見ているか、スポーツ紙を見ている場合である。それでもある程度は答えるのだが、その紙独自の指数などについては、残念ながらお答えしかねるので、発行社に問い合わせるよう伝える。

 一番多いのは同じ日刊さんのある指数についての問い合わせだ。「うちは日刊だけど日刊さんとは違う会社ですよ」と言っても、しつこく食い下がられるケースが時々ある。多分、編集部の多くが1度は経験していると思われるが、正直なところ食い下がられてもダメなものはダメだ。

 苦労するケースは、競馬そのものに対する問い合わせ、質問である。これはなかなか理解してもらえない。先方も必死であるから結構時間がかかる事が多く、聞いていておもしろそうな展開になってくると、電話口で頑張って説明している部員の周囲に野次馬が集まってくる。

 最近あった問い合わせを例に挙げると、「地方競馬は複勝100円になることが多い。JRAは少なくとも110円、場合によっては200円ぐらいになるのに、なぜだ」という件。

 端的に言えば「(複勝式別の全体票数がJRAに比べて)売れてないから偏りやすい」からだが、傍で聞いているとなかなか理解されていないご様子。電話を取ったのが若手だった場合は、ニヤニヤしながら生暖かく見守っている。

 当たり前の事をきちんと説明するには、当然理解していなければならない。だから彼らにとっても勉強になる。ただ弊害として外線着信を取りたがらなくなることもままあるので、ある程度のところで助け舟を出したりする。

 競馬はそもそも専門用語が多く、特に見解文や展開文はスペースが固定されている関係で初心者に分かりづらい。「ハナは○番」と書かれてあると「ハナって何ですか?」と聞かれる。数年前に「鉄砲実績」を「休養明け成績」に直したが、平易な表現にするのは時代の趨勢だ。

 会社の人事担当としても、説明の巧拙で彼らの将来が見える。などと本誌に書くとこれを読んだ若手が電話を取りたがらなくなるといけないので、ここだけの話にしておく(笑)