馬ミシュラン
第148回 『コロナ下での生活』
2021.04.28
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世界的な新型コロナウイルス蔓延下での生活も、すでに1年が過ぎた。幸いなことに、自身も含め身内など身の回りに感染した人はいないが、船橋所属の騎手等、仕事関係ではチラホラ感染者が出現している。
当方、根っからの新聞記者気質なもので、感染者に対する差別心だとか恐怖心は微塵もなく、療養、隔離生活から復帰した感染経験者に会うと、どんな状況だったのか、直接経験談を聞きたくてたまらない。
「大変だったねえ」「味覚とか嗅覚とかどうだったの?」「熱や咳は?」「後遺症とかあるの?」等々。
不謹慎ながらおもしろいことに、人によって症状が微妙に違う。これは報道等で見聞きした通りだったが、共通したのは味覚と嗅覚の喪失。経験者曰く「何かを口にしている間隔はあるが、味も匂いもないから、何を食べているのか全く分からない」と口を揃えて言う。
東急ハンズやロフトで売っている、オレンジの色と匂いが付いているコップで水を飲むとオレンジジュースの味がする。錯覚を利用しているのだが、いわばその逆で、食事は味だけでなく、匂いや、場合によっては雰囲気も大事な構成要素であるということが、よく分かる。
一方で「どこ行ったの?」「どこのお店行ったの?」と聞かれるらしい。品行方正な生活を送っていたにもかかわらず、そういう目で見られてしまうのは、これは風評被害だろう。
この1年間どう過ごしたかは人それぞれで、日刊競馬は一時地方版の発行を取りやめていたが、その間もネット版、コンビニプリント版は発行していて、システムも外部からはアクセスできないため編集部は通常通りの出勤。中央版編集部も通常通りだったが、誰ひとり感染することなく来たのは、ほぼ奇跡と言っていい。
家族も、嫁は医療従事者なので通常営業、我が家の大学生や高校生も最初の緊急事態宣言解除後は、通常通り通学している。たまたまではあるが、ほとんど変わりない生活だった。もちろん飲みに行ったり食べに行ったりは控えているが。
同じ大学生でもいとこの娘は全てオンライン授業になり上京できず、地元で悶々とした日々を過ごしているらしい。いとこの娘は文系だが、うちの大学生は理系で、研究室や実験、実習があるため登校出来た。本当にたまたまなのである。
このコロナ下で各地の地方競馬は活況だった。特に高知競馬は、3月16日に行われた第23回黒船賞で、レース単体6億4,180万8,500円の売上を記録。ハルウララに武豊騎手が騎乗した、YSダービージョッキー特別の5億1,162万5,900円の記録を17年ぶりに塗り替えた。
また、1日の総売上の記録も、1月27日に記録した13億8,487万100円を約3億円上回る、16億2,188万2,700円と、記録更新している。ここ数年売上を伸ばしている高知競馬だが、かつてはC3一般戦2走目の1着賞金が12万円まで下げられた。また、黒船賞開催のために募金が行われたり、やむなく1年休止したりと廃止寸前まで追い込まれた時期もあった。そこからPAT(JRAインターネット投票)発売や、一発逆転ファイナルレース等の番組企画力で、今では時に浦和競馬や船橋競馬を1日の売上で上回るまで回復した。ファイナルレースは3億円前後の売上を誇る。これは2000年代の南関東で行われたダートグレード競走の売上に匹敵する。
しかし、今の状況を手放しでは喜べない。令和2年の場外発売は構成比99.3%、その内97.2%が在宅投票によるものである。JRAインターネット投票、SPAT4、オッズパーク、楽天競馬、これら在宅投票には当然発売手数料があり、実際のところ本当の勝者は分からない。これはコロナ以前からの課題でもあり、一時再開も出足は鈍かった。結局のところ「競馬場に人を呼ぶ」という課題は、相変わらず課題のままなのである。
実は我々専門紙も同様で、コンビニプリントやネット版がなければ、恐らくこの1年は乗り切れなかっただろう。中央版を発行していたことも幸いした。競馬場、ウインズは一時発売休止していたが、駅売店やコンビニでは発売を続けていたので、落ちてはいたがなんだかんだで底堅かった。
2度目の緊急事態宣言は解除され、競馬場への入場再開のアナウンスもされた。それでも第4波には警戒しなければならない。今しばらくは、慎重な生活を続けなければならないようだ。
当方、根っからの新聞記者気質なもので、感染者に対する差別心だとか恐怖心は微塵もなく、療養、隔離生活から復帰した感染経験者に会うと、どんな状況だったのか、直接経験談を聞きたくてたまらない。
「大変だったねえ」「味覚とか嗅覚とかどうだったの?」「熱や咳は?」「後遺症とかあるの?」等々。
不謹慎ながらおもしろいことに、人によって症状が微妙に違う。これは報道等で見聞きした通りだったが、共通したのは味覚と嗅覚の喪失。経験者曰く「何かを口にしている間隔はあるが、味も匂いもないから、何を食べているのか全く分からない」と口を揃えて言う。
東急ハンズやロフトで売っている、オレンジの色と匂いが付いているコップで水を飲むとオレンジジュースの味がする。錯覚を利用しているのだが、いわばその逆で、食事は味だけでなく、匂いや、場合によっては雰囲気も大事な構成要素であるということが、よく分かる。
一方で「どこ行ったの?」「どこのお店行ったの?」と聞かれるらしい。品行方正な生活を送っていたにもかかわらず、そういう目で見られてしまうのは、これは風評被害だろう。
この1年間どう過ごしたかは人それぞれで、日刊競馬は一時地方版の発行を取りやめていたが、その間もネット版、コンビニプリント版は発行していて、システムも外部からはアクセスできないため編集部は通常通りの出勤。中央版編集部も通常通りだったが、誰ひとり感染することなく来たのは、ほぼ奇跡と言っていい。
家族も、嫁は医療従事者なので通常営業、我が家の大学生や高校生も最初の緊急事態宣言解除後は、通常通り通学している。たまたまではあるが、ほとんど変わりない生活だった。もちろん飲みに行ったり食べに行ったりは控えているが。
同じ大学生でもいとこの娘は全てオンライン授業になり上京できず、地元で悶々とした日々を過ごしているらしい。いとこの娘は文系だが、うちの大学生は理系で、研究室や実験、実習があるため登校出来た。本当にたまたまなのである。
このコロナ下で各地の地方競馬は活況だった。特に高知競馬は、3月16日に行われた第23回黒船賞で、レース単体6億4,180万8,500円の売上を記録。ハルウララに武豊騎手が騎乗した、YSダービージョッキー特別の5億1,162万5,900円の記録を17年ぶりに塗り替えた。
また、1日の総売上の記録も、1月27日に記録した13億8,487万100円を約3億円上回る、16億2,188万2,700円と、記録更新している。ここ数年売上を伸ばしている高知競馬だが、かつてはC3一般戦2走目の1着賞金が12万円まで下げられた。また、黒船賞開催のために募金が行われたり、やむなく1年休止したりと廃止寸前まで追い込まれた時期もあった。そこからPAT(JRAインターネット投票)発売や、一発逆転ファイナルレース等の番組企画力で、今では時に浦和競馬や船橋競馬を1日の売上で上回るまで回復した。ファイナルレースは3億円前後の売上を誇る。これは2000年代の南関東で行われたダートグレード競走の売上に匹敵する。
しかし、今の状況を手放しでは喜べない。令和2年の場外発売は構成比99.3%、その内97.2%が在宅投票によるものである。JRAインターネット投票、SPAT4、オッズパーク、楽天競馬、これら在宅投票には当然発売手数料があり、実際のところ本当の勝者は分からない。これはコロナ以前からの課題でもあり、一時再開も出足は鈍かった。結局のところ「競馬場に人を呼ぶ」という課題は、相変わらず課題のままなのである。
実は我々専門紙も同様で、コンビニプリントやネット版がなければ、恐らくこの1年は乗り切れなかっただろう。中央版を発行していたことも幸いした。競馬場、ウインズは一時発売休止していたが、駅売店やコンビニでは発売を続けていたので、落ちてはいたがなんだかんだで底堅かった。
2度目の緊急事態宣言は解除され、競馬場への入場再開のアナウンスもされた。それでも第4波には警戒しなければならない。今しばらくは、慎重な生活を続けなければならないようだ。