JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第71回 「7億円」

2017.02.14
 2016年の中央競馬の年度代表馬には、歌手・北島三郎さんが所有するキタサンブラック(牡4歳、栗東・清水久詞厩舎)が選ばれた。記者投票291票のうち134票を獲得し、90票を集めて2位だったモーリスに44票の差をつけた。
 年が明けて5歳になったキタサンブラックは昨年、国内で6戦した。シーズン初戦の大阪杯はアンビシャスにクビ差をつけられて2着。続く天皇賞・春ではカレンミロティックとの壮絶なマッチレースをハナ差で制して優勝した。宝塚記念は優勝したマリアライト、2着ドゥラメンテとクビ、ハナ差の3着だった。秋は京都大賞典でアドマイヤデウスにクビ差をつけての快勝でスタートし、ジャパンカップは2着のサウンズオブアースに2馬身1/2差をつける逃げ切り勝ち。そして有馬記念はサトノダイヤモンドにクビ差で敗れて2着になり、1年を終えた。負けても小差。常に上位争いに加わった戦いぶりが評価されて年度代表馬になった感もある。

 6戦での獲得賞金は7億1,193万円に達した。年間の獲得賞金が7億円を超えたのは史上5頭目の記録となった。

 初めて獲得賞金が年間7億円を超えたのは1994年のナリタブライアン(牡3歳)だった。この年、共同通信杯4歳S(現共同通信杯)、スプリングS、皐月賞、ダービー、京都新聞杯、菊花賞、有馬記念と7レースに出走し、京都新聞杯で2着になった以外はすべて優勝し、史上5頭目の3冠馬になるとともに、7億1,280万2,000円の賞金を稼いだ。

 2000年のテイエムオペラオー(牡4歳)はパーフェクトな成績だった。京都記念、阪神大賞典、天皇賞・春、宝塚記念、京都大賞典、天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念と出走した8レースすべてで優勝を飾り、10億3,600万4,000円を獲得した。この記録は今でも年間獲得賞金の最高記録として健在だ。

 3頭目は2006年のディープインパクト(牡4歳)だった。この年、ディープインパクトは阪神大賞典、天皇賞・春、宝塚記念、フランスの凱旋門賞(失格)、ジャパンカップ、有馬記念に出走し、国内の5レースすべてで1着になった。獲得賞金は7億7,148万8,000円にのぼった。

 4頭目は2011年の3冠馬オルフェーヴル(牡3歳)だ。シンザン記念(2着)、きさらぎ賞(3着)と年初は取りこぼしもあったが、スプリングSから皐月賞、ダービー、神戸新聞杯、菊花賞、有馬記念まで6連勝して、8億552万4,000円を手にした。

 レースの賞金は少しずつ上昇している。もし2017年にテイエムオペラオーが2000年と同じパフォーマンスを演じたら、どれだけ稼ぐことになるのだろうか。

 テイエムオペラオーが8戦全勝したレースの1着本賞金は次の通りだ。京都記念=6,200万円、阪神大賞典=6,700万円、天皇賞・春=1億5,000万円、宝塚記念=1億5,000万円、京都大賞典=6,700万円、天皇賞・秋=1億5,000万円、ジャパンカップ=3億円、有馬記念=3億円。合計すると13億4,600万円になる。このほかに付加賞などあるので、実際にはもっと増える。テイエムオペラオーが活躍した2000年当時に比べ、約3割、賞金は増えている。

 賞金の増額はおもにジャパンカップと有馬記念を中心に行われた。

 ジャパンカップは1981年、1着本賞金6,500万円で始まった。翌年7,000万円になるなど毎年のように増額され、1989年に1億300万円になった。2000年に前年の1億3,200万円から一気に2億5,000万円になり、2015年に3億円になった。

 有馬記念は1956年に中山グランプリの名称でスタートした。1着本賞金は200万円だった。現在の感覚からすると低額だが、創設1年目で当時の最高賞金だったダービーと同額で天皇賞の150万円を超えていた。それが2016年に3億円になり、再び、国内最高のレベルになった。

 ジャパンカップと有馬記念を連勝すれば、それだけで賞金は6億円になる。史上6頭目、7頭目の年間7億円馬が出現する可能性は高くなっている。
トップへ