馬ミシュラン
第174回 『競馬場の景色』
2023.06.27
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ゴールデンウィーク明けの5月8日から、新型コロナウイルス感染症の位置付けが「2類相当」から「5類感染症」になり、いよいよ各競馬場の入場規制が緩和された。
実質的には稼ぎ時であるゴールデンウィークから一部で緩和されていたが、手指のアルコール消毒や入場時の検温はきっちりと行われていて、マスクの着用もお願いされてはいた。
この3年間、無観客競馬前日から、無観客競馬、上限付き入場など経験してきたが、様々なものを見てきた。無観客競馬となった当初、毎日やってきて警備員さんに「今日は入れる?」と聞いていたベテランファンがいたが、いつの日にかその姿は見られなくなり、通常に戻った今もその姿は場内にない。そのベテランファンの方がどうされているのかは分からないが、入場門で専門紙を販売してくれているお姉さんに聞くと、いつも新聞を買ってくれているお客さんが、仲間の近況を教えてくれるそうだ。
内容は聞く前から察しがついた。「あいつ死んだ、あいつも死んだ」というような感じ。元々常連のお客さんの中には超ベテランファンがいらっしゃったが、無観客で入場できない期間を越えられなかったのは聞いていて切ない感じがする。
他競技、特に競艇に転じたお客さんのことも多く聞いた。地方競馬場はどうしても主催の自治体と密接なだけに、他競技に比べ入場などの制限がきつく、その間に「逃げられてしまった」ケースだ。元々二刀流、三刀流だったのだろうが、在宅投票には行かず、入場出来る方に行って、そのうち居心地が良くなって、結局戻ってこなかったのだろう。
人数制限で入場出来るようになってからは「事前予約」が主流になった。しかしこれも結果的にベテランファンを遠ざけることになった。なったが、これは仕方ない。競馬場側は人数を把握したい、お客さんは行きたい時にぷらっと行きたい。しかもネットでの予約となるとハードルが高い。
入場の上限が決まっていて、主力顧客層の来場見込みのない我々出入り業者は、この時期最も切なかったことだけは主張しておきたい。
そんな期間を乗り越えてのゴールデンウィークは、良いデータ取りの場になった。
船橋競馬の開催期間は5月1日〜5日までの5日間。1・2・5日は滞留3,000人まで入場可能。3・4日(東京湾カップ、かしわ記念当日)はインターネットで2,500枚、4月の1回開催で前売り500枚の事前予約制。この3年間の集大成のような開催。
入場人員は初日から、2,667人、3,601人、1,973人、1,925人、5,958人。入場者の流動がない3・4日目が2,000人を下回っているのは、他の事前入場制を行った主催者も同様で、「行くかどうかは分からないが、とりあえず予約」というファンの傾向だ。事前に入場料を決済してしまえばある程度の強制力は生ずるが、同時に転売のおそれも出てきて、転売を防止しようとすると追加のシステム改修費が生じたり。開催成績で当日の入場者数が公表されると、入場したかったファンから批判が起きて、いたちごっこという状況。
この船橋3・4日は外向発売所でも発売されていて、当日競馬場に来たものの、事前入場制により入場できなかったファンが、外向発売所に長蛇の列を作っていた。
前日発売を含む1日の売上を見ると、東京湾カップ当日の3日目は場内2,714万7,000円、外向1,596万5,500円。かしわ記念当日の4日目は場内2,790万2,800円、外向2,267万6,900円(場内はキャッシュレス含む)と、外向発売所が大健闘。外向発売所総利用者数が得られなかったのは残念だが、我々出入り業者としては勇気づけられる数字だった。
少ないながらもベテランファンは健在だった。しばらく様子をみていたが、警備員さんに「ひとりぐらいいいだろう」とか「中に友達がいるから会いたいんだけど」とか、あの手この手でなんとか入れないか模索する姿はさすがだった。
一方で「これが3年続いたんだから競馬場から離れる人は離れるよなあ」とも思った。これまでの状況から仕方ないことではあるんだけど。
多くの方が言っているように、競馬場の客層が変わった。一気に若くなった。南関東4場のゴール前で30年近く競馬を観ているが、レース中の歓声もタイミングなどがちょっと違う気がする。いつも居た人が居ないのは寂しい限りだが。
実質的には稼ぎ時であるゴールデンウィークから一部で緩和されていたが、手指のアルコール消毒や入場時の検温はきっちりと行われていて、マスクの着用もお願いされてはいた。
この3年間、無観客競馬前日から、無観客競馬、上限付き入場など経験してきたが、様々なものを見てきた。無観客競馬となった当初、毎日やってきて警備員さんに「今日は入れる?」と聞いていたベテランファンがいたが、いつの日にかその姿は見られなくなり、通常に戻った今もその姿は場内にない。そのベテランファンの方がどうされているのかは分からないが、入場門で専門紙を販売してくれているお姉さんに聞くと、いつも新聞を買ってくれているお客さんが、仲間の近況を教えてくれるそうだ。
内容は聞く前から察しがついた。「あいつ死んだ、あいつも死んだ」というような感じ。元々常連のお客さんの中には超ベテランファンがいらっしゃったが、無観客で入場できない期間を越えられなかったのは聞いていて切ない感じがする。
他競技、特に競艇に転じたお客さんのことも多く聞いた。地方競馬場はどうしても主催の自治体と密接なだけに、他競技に比べ入場などの制限がきつく、その間に「逃げられてしまった」ケースだ。元々二刀流、三刀流だったのだろうが、在宅投票には行かず、入場出来る方に行って、そのうち居心地が良くなって、結局戻ってこなかったのだろう。
人数制限で入場出来るようになってからは「事前予約」が主流になった。しかしこれも結果的にベテランファンを遠ざけることになった。なったが、これは仕方ない。競馬場側は人数を把握したい、お客さんは行きたい時にぷらっと行きたい。しかもネットでの予約となるとハードルが高い。
入場の上限が決まっていて、主力顧客層の来場見込みのない我々出入り業者は、この時期最も切なかったことだけは主張しておきたい。
そんな期間を乗り越えてのゴールデンウィークは、良いデータ取りの場になった。
船橋競馬の開催期間は5月1日〜5日までの5日間。1・2・5日は滞留3,000人まで入場可能。3・4日(東京湾カップ、かしわ記念当日)はインターネットで2,500枚、4月の1回開催で前売り500枚の事前予約制。この3年間の集大成のような開催。
入場人員は初日から、2,667人、3,601人、1,973人、1,925人、5,958人。入場者の流動がない3・4日目が2,000人を下回っているのは、他の事前入場制を行った主催者も同様で、「行くかどうかは分からないが、とりあえず予約」というファンの傾向だ。事前に入場料を決済してしまえばある程度の強制力は生ずるが、同時に転売のおそれも出てきて、転売を防止しようとすると追加のシステム改修費が生じたり。開催成績で当日の入場者数が公表されると、入場したかったファンから批判が起きて、いたちごっこという状況。
この船橋3・4日は外向発売所でも発売されていて、当日競馬場に来たものの、事前入場制により入場できなかったファンが、外向発売所に長蛇の列を作っていた。
前日発売を含む1日の売上を見ると、東京湾カップ当日の3日目は場内2,714万7,000円、外向1,596万5,500円。かしわ記念当日の4日目は場内2,790万2,800円、外向2,267万6,900円(場内はキャッシュレス含む)と、外向発売所が大健闘。外向発売所総利用者数が得られなかったのは残念だが、我々出入り業者としては勇気づけられる数字だった。
少ないながらもベテランファンは健在だった。しばらく様子をみていたが、警備員さんに「ひとりぐらいいいだろう」とか「中に友達がいるから会いたいんだけど」とか、あの手この手でなんとか入れないか模索する姿はさすがだった。
一方で「これが3年続いたんだから競馬場から離れる人は離れるよなあ」とも思った。これまでの状況から仕方ないことではあるんだけど。
多くの方が言っているように、競馬場の客層が変わった。一気に若くなった。南関東4場のゴール前で30年近く競馬を観ているが、レース中の歓声もタイミングなどがちょっと違う気がする。いつも居た人が居ないのは寂しい限りだが。