ホソジュンのウマなりトーク
第57回 ヌーヴォレコルト斎藤誠調教師~人の内面も見ての馬づくり~
2014.12.15
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息子も1歳2ヵ月となり、今では家中を走り回っています。
天井しか見ていなかった赤ちゃんが寝返りをし、ハイハイをし、つかまり立ちをし、そして歩き、走っている。これが成長というものなのかと思うと、騎手時代に毎日調教に跨っていた馬たちのことを思い出します。
特に2歳で入厩してきた馬をゲート試験に合格させるまでの過程や、寂しがって1頭で歩けなかった馬が自立していく姿や、モノミをしていた場所にも動じなくなった時のことなどなど。
私は乗るだけでしたので、これに加えて体のケアもする持ち乗り助手の方々は、肉体面と精神面の両方を同時に見ながら愛馬の日々の違いを感じ、成長を促していると思うと、その経験なしに競馬サークルを引退してしまったことが少し悔やまれるところもあります。
とは言え、私では肉体的な面においても精神的な面においても、また技術面でも務まらなかったようにも感じるのですが、子供を持ったことで、育てるとはどういうことなのか?自問自答するようになりました。
言ってみれば、調教はまさに競走馬へと育てるということ。しかし数多くある厩舎の調教方法やアプローチの仕方はそれぞれであり、何が正しく何が間違っているのかは、正直分かりませんし、競争の世界ゆえ結果が出れば正しいのか?と問われれば、一概にもそうでもないようにも...。
そもそもその馬のポテンシャルがどこまでなのか?どういう個性なのか?何が最大の持ち味となるのか?はそれぞれに違うわけですし、人の感じ方も様々。「馬は一生勉強」と言われる要因はそこなのでしょう。
日に日に我が家に増えていくアンパンマングッズを見るたびに、(アンパンマンもはだしのゲンも作者の根底にあるのは平和への願い。しかし同じ漫画でもその表現の仕方はまるで違うところが不思議であり、何だか調教に似ているなぁ~)と感じるのです。
もちろんどちらが良くてどちらがおかしいという話ではなく、結局最後は人によって物事の在り方に違いがでてくるような気がしてならないのです。
そういった意味で今年の秋競馬、特に印象深く残ったのが、ヌーヴォレコルトを管理する斎藤誠調教師でした。
ローズSから秋華賞へと向かう際の栗東では、普段騎乗している調教助手さんではなく、栗東滞在を経験している助手さんへとチェンジ。
その背景には栗東の逍遥馬道における運動量の違いや、それによって想像される馬の変化、またコースや環境に人間が慣れていることなどが感じ取れましたし、エリザベス女王杯の際の1週前追い切りにあえて岩田騎手が騎乗した経緯については、「レース前にああだ、こうだとあまり考えて乗ってもらいたくなかった。3戦目で輸送もあるので、状態が下がっているのでは?とか、大丈夫かな?とか。岩田騎手という人物は、馬の強さを信じて乗った方がいいタイプ。馬の状態も良かったし、安心してレースに行ってもらうために騎乗依頼をした」と、まさに騎手心理、いや岩田心理を読んでのものでした。
結果両レースとも2着と敗れたわけですが、秋華賞はプラス10㌔で臨め、エリザベス女王杯は輸送のあった中で-4㌔に留めており、デキやパフォーマンスからも陣営の手腕を存分に感じるものでした。
馬のみならず人の内面にも目を向けての馬作りをされる斎藤誠師。その師のもとならば、今後さらなる活躍馬と共に、素晴しい人材・スタッフも育っていく気がしました。
それでは皆さん、よい年末・年始をお過ごしください。
ホソジュンでしたぁ。
天井しか見ていなかった赤ちゃんが寝返りをし、ハイハイをし、つかまり立ちをし、そして歩き、走っている。これが成長というものなのかと思うと、騎手時代に毎日調教に跨っていた馬たちのことを思い出します。
特に2歳で入厩してきた馬をゲート試験に合格させるまでの過程や、寂しがって1頭で歩けなかった馬が自立していく姿や、モノミをしていた場所にも動じなくなった時のことなどなど。
私は乗るだけでしたので、これに加えて体のケアもする持ち乗り助手の方々は、肉体面と精神面の両方を同時に見ながら愛馬の日々の違いを感じ、成長を促していると思うと、その経験なしに競馬サークルを引退してしまったことが少し悔やまれるところもあります。
とは言え、私では肉体的な面においても精神的な面においても、また技術面でも務まらなかったようにも感じるのですが、子供を持ったことで、育てるとはどういうことなのか?自問自答するようになりました。
言ってみれば、調教はまさに競走馬へと育てるということ。しかし数多くある厩舎の調教方法やアプローチの仕方はそれぞれであり、何が正しく何が間違っているのかは、正直分かりませんし、競争の世界ゆえ結果が出れば正しいのか?と問われれば、一概にもそうでもないようにも...。
そもそもその馬のポテンシャルがどこまでなのか?どういう個性なのか?何が最大の持ち味となるのか?はそれぞれに違うわけですし、人の感じ方も様々。「馬は一生勉強」と言われる要因はそこなのでしょう。
日に日に我が家に増えていくアンパンマングッズを見るたびに、(アンパンマンもはだしのゲンも作者の根底にあるのは平和への願い。しかし同じ漫画でもその表現の仕方はまるで違うところが不思議であり、何だか調教に似ているなぁ~)と感じるのです。
もちろんどちらが良くてどちらがおかしいという話ではなく、結局最後は人によって物事の在り方に違いがでてくるような気がしてならないのです。
そういった意味で今年の秋競馬、特に印象深く残ったのが、ヌーヴォレコルトを管理する斎藤誠調教師でした。
ローズSから秋華賞へと向かう際の栗東では、普段騎乗している調教助手さんではなく、栗東滞在を経験している助手さんへとチェンジ。
その背景には栗東の逍遥馬道における運動量の違いや、それによって想像される馬の変化、またコースや環境に人間が慣れていることなどが感じ取れましたし、エリザベス女王杯の際の1週前追い切りにあえて岩田騎手が騎乗した経緯については、「レース前にああだ、こうだとあまり考えて乗ってもらいたくなかった。3戦目で輸送もあるので、状態が下がっているのでは?とか、大丈夫かな?とか。岩田騎手という人物は、馬の強さを信じて乗った方がいいタイプ。馬の状態も良かったし、安心してレースに行ってもらうために騎乗依頼をした」と、まさに騎手心理、いや岩田心理を読んでのものでした。
結果両レースとも2着と敗れたわけですが、秋華賞はプラス10㌔で臨め、エリザベス女王杯は輸送のあった中で-4㌔に留めており、デキやパフォーマンスからも陣営の手腕を存分に感じるものでした。
馬のみならず人の内面にも目を向けての馬作りをされる斎藤誠師。その師のもとならば、今後さらなる活躍馬と共に、素晴しい人材・スタッフも育っていく気がしました。
それでは皆さん、よい年末・年始をお過ごしください。
ホソジュンでしたぁ。