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第23回 オルフェーヴル凱旋門賞へ向けてと、内田博幸騎手の復帰

2012.02.16
 2012年がスタートし、1月6日には2011年度のJRA賞も発表されました。年度代表馬には、オルフェーヴルが輝きましたが、史上7頭目となる3冠達成はもちろんのこと、暮れの有馬記念で見せた走りに、誰もが納得の結果といったところでしょう。今年は阪神大賞典から春の天皇賞へと進み、秋には今年の最大目標と位置付けする凱旋門賞へ。
 逆を言えば、今年の春は凱旋門賞を勝つための試練を馬に与え、全ての面をクリアにして臨みたいと考える陣営の選択肢が示されたのでしょう。

 有馬記念後、管理される池江泰寿調教師は、「前半の位置取りとペースに、これは勝利がないなと思いましたね。だからこそ、改めてこの馬の強さも感じた。でも、レース内容そのものは、菊花賞の方が上手でしたね。ですからゲートも含め、少し内容そのものは、逆戻りしてしまっているように思う。スタートの遅れといい、これは凱旋門賞においては命取りとなるから、きちんとその点を改善していかないといけないね」と、次なる目標に向け、今回のレースを振り返られていました。

 そして、凱旋門賞で要求されることを分析した上で、今後のローテーションと課題を明白にしていた師。勝っても勝利の余韻に浸るどころか、鋭い目で愛馬を分析し、次の目標に向けた道筋を組み立てている姿に、これこそが勝利の確率を高め、きちんと結果を出される要因なのだと感じるものでした。

 しかもそこに、ディープインパクトでの経験を持つ父・泰郎元調教師のノウハウも加わるわけですから、今年の凱旋門賞はグッと距離が近くなる、そんな気がします。

 また年明けには、主戦である池添謙一騎手が日本人騎手で初となるドバイのメイダン競馬場での勝利を挙げ、新たな歴史を刻む幸先の良いスタートを切りました。さぁ2012年の凱旋門賞、歴史的な快挙達成となるのでしょうか?本当に楽しみです。

 さて話は変わり、このコラムが掲載されている頃には、競馬場に内田博幸騎手の名前が響き渡り、歓声に包まれていることでしょう。

 昨年の5月、大井競馬場での落馬から262日振りの復帰を果たした内田騎手。この262日、数字として掲げれば簡単なものですが、動けない日々、騎手生命と向き合う恐怖、自分が存在しない中で週末行われてゆく競馬、その日々というのは、本当に孤独で辛いものだったと思います。

 騎手にとってケガというのは、常に背中合わせ。そして多くの騎手が、そのケガと向き合わなければならない時間を過ごしてきているだけに、ケガによる入院生活の過酷さを誰もが理解しています。と同時に、カムバックする際に騎乗依頼があるかどうか?という思いも含め、自分の居場所をまた一から作り上げていく作業に、不安を覚えることも...。

 しかしながら今回、内田騎手は復帰を目指して以来、体作りに関しては、地方競馬から中央に移籍をした直後ぐらいの、騎手人生の中でもマックスに動けていた時ぐらいに体を戻すことを決意され、相当なトレーニングを積んでこられてきている様子。

 内田騎手と共に大井時代からコンビを組み、エージェントとして二人三脚で歩んでこられた中村氏は、「内田さんは、トレーニングしている姿などをけっして人には見せないですし、言わない方。でもその分、体が物語る。きっと休む前以上に動ける体になってますよ」と、最も内田騎手を知る人物が、不安になるどころか、楽しみな表情をされていたのです。

 内田騎手にとっての262日、これは、今まで以上に飛躍をするために費やされた日々へと生まれ変わりそうな、そんな気がします。楽しみです。

 それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。
 ホソジュンでしたぁ。
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