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第153回 JBC競走優勝生産者インタビューに胸を打たれる ~試行錯誤の連続の中に変わらぬ本質の存在を感じる~

2022.12.20
 2022年も、終わりを告げようとしているのですね...。1年を振り返って、皆さまはどんなことが1番思い起こされますか?
 私は数多くあったレースの中でも、JBC競走における生産者インタビューが1番、胸に残るものでした。

 昨今、競馬の売り上げはいいものの、その一方で、騎手や厩務員に志願する人の数は減っている傾向に。また昔からの競馬好きの知人たちは、口を揃えて、「一昔前の競馬の方が面白かった。もちろん今でも馬券を買うのは買うけど、何か重さがないというか...熱い思いでレースを見られていない自分がいる」と。

 確かに私自身も同じ思いで、馬券の配当以上に、この馬に、この騎手に、この担当者の馬作りに馬券を賭けているといった感覚よりも、配当重視に移行している自分が存在。

 この背景には、厩舎での在厩期間が短くなったことで取材をする側のペンが走らないことや、乗り替わりが主流となり、騎手とセットで応援し続ける形が薄れていることなど、様々な要因があるように思えます。

 もちろん、どちらが良いとか悪いという話ではなく、時代とともに競馬のスタイルが変化し、それに伴い、お客さんの層も変化しているように感じます。

 それを1番に感じたのは、今年の秋の天皇賞の日。

 1レース1レースが終わる度、歓声はもちろんなのですが、拍手が沸き起こっていたのです。これはコロナ禍で声の代わりに拍手で感情を表す習慣が身についての背景もあるのかもしれませんが、一昔前のような喜怒哀楽の喜怒が消えてしまっているような気がし、何とも寂しく不安な気持ちに。

 そんな中、JBCでのゴライコウの生産者である坂本智弘氏の、「とにかく無事にレースを終えて欲しいという思いで見ていました」という勝利直後の言葉や、強い馬作りの秘訣について聞かれた、テーオーケインズ・ヤナガワ牧場の梁川正普氏の、「日々、試行錯誤の連続です」の返答には、変わりゆく時代の中であろうとも、1番大切な本質の部分が存在している気がし、胸打たれるものがありました。

 少し話は変わりますが、今年、向き合ったことの1つが歯。これまでは歯の治療と言えば、虫歯など、ポイントとして行うことが多かったわけですが、嚙み合わせも含め、全体的なバランスを考えての長期スパンでの治療計画を立ててくださる医師と巡り合い、治療を開始。

 CTを使っての検査に始まり、治療計画の説明後、親知らずの抜歯や歯の移植、また矯正用インプラント手術に定期的なエアフロ―など、歯医者通いの年でしたが、医師によって、これほどまでに治療方法や痛みが違うのか?と技術力の差を痛感。

 これって馬もそうで、出会う人の調教方針やレース選択によって、突貫工事のような形で1戦を終え、結果、短い競走生活となってしまうか?

 はたまた成長過程を見越しての調整や選択となれば、長い現役生活と活躍が期待できるような気がし、歯や馬だけに限らず、何でも、最終的には人次第なのだろうなぁ...と感じました。

 それでは皆さん、また来月、お目にかかりましょう。良い年末・年始を。

 ホソジュンでしたぁ。
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