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第2回 本なら買います

2009.02.01
 納本されたJBBA NEWSを読んでいてふと思った。

 「あれ,払い込み用紙がない」と。この払い込み用紙は重要だ。これで日本軽種馬協会から刊行される,あらゆる書籍を購入している。同じように,ハロン巻末の払い込み用紙で,地方競馬全国協会刊行のハロンや競走馬成績書などの書籍を購入していた。軽種馬協会の方に伺ったら,会員以外の購読されている読者向けの本には付いているそうな。確認したら,会社で定期購読している本には,ちゃんと付いていた。
 日刊競馬にはエアコン付きの立派な?書庫があって,そこには過去の新聞から,競馬に関わる様々な本や,競馬週刊誌に至るまで,保存されていて,(その気になれば)自由に閲覧できる。買いたい本に関して会社は「No」とは言わない。1冊100,000円也のファミリーテーブルでも,「ホイ」と許可を出してくれる。

 贈呈された本,社員が読み終えて寄贈した本,社員が書いた本,各市場のせり名簿など,ありとあらゆる本がある。場合によっては(本当に必要なら)洋書もOKのようで,「Thoroughbred Record BREEDERS Book」とか,「THE BLOODSTOCK BREEDERS' REVIEW」,「The Stallion Book for 19XX」とか。良く見たらWEATHERBYSとか書いてある。おお,ウェザビー商会かぁ,と本を手にとって感動もする。

 しかしここ数年,本が休刊となり,Web化,CD-ROM化が多くなった。身近で一番は「ハロン」の休刊。自分も一時関わっていたし,ファンの時代から愛読していた雑誌だった。日刊競馬の書庫にも,「月刊地方競馬」の時代から(たぶん)コンプリートで揃っている。
 
 'Web Furlong'も悪くはないが,いつまでデータが閲覧できるのか定かではない点心配がある。それに先立ち,地方競馬全国協会の「競走馬成績書」もCD-ROM化されてしまった。これはこれで便利だし,ホームページでも閲覧できるのだが,年々増える馬のデータをいつまで保持できるのか不安になるし,CD-ROM化しても,そのCD-ROMが読めるドライブがいつまであるのか微妙だ。軽種馬協会の「種牡馬成績書」もそうだろう。

 日刊紙記者とその話をしていたら,レース売得を前年と比較する際,Webには掲載されておらず,競馬場の広報か,NARにいちいち聞いて面倒をかける事が増えたと言う。前ならちょっと本棚に手を伸ばせばよかっただけなのに。皆,同じような不便さを感じているようだ。

 昨年,バーナスコーニ(USA)という海外既走馬が大井に転入してきた。その時,われわれ記者等の間で「以前もいたぞ」という話になり,興味深いネタなので調べた。昨年,もしこの連載があれば3話ぐらいになったかもしれない。その時役に立ったのはNARの成績書であり,軽種馬登録協会の輸入馬血統書であったり。それに諸先輩方の記憶と知識をすり合わせ,かつて紀三井寺にいたイースタンルーラという馬を割り出した。

 しかしその後,「それ以前にもいた」と上司柏木集保が持ってきた「大井豪サラのすべて(特別区競馬組合競馬事業所)」という本に,昭和27年に大井競馬が豪サラを購入,その中に既走馬がいた記録を見つけた。その本は昭和48年に発行され,大井競馬場にも1冊しかなかったようだ。競馬場○○周年記念の本などは,意外にそういう時になると役に立つ。

 時代はCDからDVDへ,そしてブルーレイへと移りつつある。かつては社内に山ほどあったNECのPC-9801も,実際稼動している本体は数台となってしまった。移行の過程で捨ててしまったデータもある。データでの保存,閲覧は,いつかそうなってしまう危険性が高い。

 JRAやNAR,そして軽種馬協会などが発刊する本は,記録として非常に価値があるし,調べながら原稿を書く時は,パソコンで書きつつ,机の上にはダンと本を広げて書くと捗る。CDやDVDもそうだが,Windows等のOSは,果たしていつまで今のデータ形式を扱うか分からない。

 どうだろうか,閲覧用にはデータで,保存用に書籍の形式で残してはくれないだろうか。本なら買います。もちろん会社のお金でだけど。


JBBA NEWS 2009年2月号より転載
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