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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第8回 新しい仕掛けが必要

 どうも調子がよろしくない。私の体調ではない。私の馬券のことでもない。馬券は常に絶不調だからいまさら嘆く必要もない。競馬の売り上げのことである。地方競馬だけの話ではないのだが,それにしても売れていない印象だ。

 実際のところ数字を見ると,実はそれ程でもない。今年度4〜6月の開催成績は延べ358日の開催日(前年比マイナス4日)で,競馬場の入場人員は1,212,845名の前年比95.1%,JBBA NEWSの地方競馬ニュース風に表すと「→」。1日の平均も3,388名で96.1%「→」である。同様に,総売得は96.2%で「→」,1日平均も97.3%の「→」である。以上は全国の成績であって,もちろん平均を大幅に下回る深刻な地区もあれば,園田のように1日平均(前年と開催数が異なるため平均を採用)の入場,売得ともに110%を超える「↑↑」(アゲアゲ)の地区もある。

 在宅投票はここ数年続伸しているが,そこからさらに伸びている。以前も書いたと思うが,今地方競馬を支えているのは,在宅投票なのである。

 一方,競馬場の入場も「↑」とまではいかないが,悪くても「→」で踏みとどまっている。ならば売得ももっとあって良さそうなものだが,水沢,高知,佐賀を除き客単価の落ち込みが大きいのである。特に荒尾は76.6%,約10,100円と落ち込み,ついには「荒尾競馬あり方検討会」が設置されてしまった。こういった状況はヤバイ。

 もちろん,競馬場側も傍観しているわけではない。ここ数年のプロモーションは,「ライブ観戦」や「競馬仲間と観戦」を主体とした様々な広告,イベントを展開している。手っ取り早い方法としては,昔からある有名人ゲストの招聘だろう。JRAはさすがに別格といった感じだが,地方競馬でも先日の帝王賞ではアントニオ猪木氏が,ジャパンダートダービーでは小倉優子さん(ゆうこりん)が来場。場内は大いに盛り上がり,われわれ取材陣もお客さんから「邪魔だ,どけ」と罵声を浴びるくらいの盛り上がりだった。が,しかし入場,売得は若干の前年割れに終わった。

 これはどう見るべきなのだろうか。ゲストの効果がなかったのか?あるいはもっと落ちるべきところを持ちこたえたのか?評価は難しいが,地方都市なら一定の効果はある。

 例えば金沢競馬場。金沢はここ数年有名タレントのイベントを開催し,1日平均では,目下前年比をクリア,売得も昨年を上回っている。競馬開催日にフリーマーケットも開催し,「競馬場に来たことのない人に,1度来ていただく」という戦略を,続けている。同様のプロモーション活動は,岩手などでも行われ,産地直売や中古車展示会などが行われたこともある。明らかに雰囲気の違うお客さんが場内に多く見られ,効果は間違いなくある。

 そこからどう売り上げに繋げるかが課題ではあるが,「有名人の予想イベント」以外に,なかなかいいアイディアが浮かばない。

 年間を通しての有名人キャラクターは,こちらもJRAが有名だが,地方競馬でも昨年の園田や,今年も船橋,岩手等で行われている。地方競馬では競馬に詳しい方が採用されることが多く,馬券のヒントや,予想トークに重点が置かれ,馬券で楽しませるという方向性が強い。前述のゲスト有名人やフリマが「客寄せ」の第1段階とすれば,第2段階の「啓蒙」といったところだろうか。正攻法だが,新規顧客獲得と平行してやらないと行き詰まる。船橋競馬場はフリーペーパーのいわば「撒き餌」と場内のイベントがマッチすれば,多分,先々効果が表れるのではないかとは思う。

 いずれにしても,われわれ競馬専門紙も,本場の入場については常に注目している。理由は簡単,お客さんが入れば新聞も売れるからだ。世間の経済状況は未だ停滞気味で,なかなか450円,500円の新聞は買ってもらえなくなってきた。馬券も1点あたりの額が落ちてきている。それが売得,特に客単価の減少に影響している。ならば今以上に入場客,利用者を増やすしかないだろう。つまり,薄利多売?いや,馬券の場合は控除が決まっているから薄利にはならないが,少額でも多売でなんとか前年比を維持しなければならない。

 それにプラスして,例えば重勝式のような,少額でも楽しめる何か新しい仕掛けが,そろそろ必要なのかもしれない。

JBBA NEWS 2009年8月号より転載