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第16回 春

2010.04.15
 春である。春を感じるモノはひとそれぞれだが,例えば野球。我が街のチーム西武ライオンズのオープン戦が西武ドームに戻ってくると,「春が来たな」と感じる。本拠地のオープン戦は,エース涌井が7回まで中日打線を完璧に抑え,終わってみれば10-0の完勝。打倒ファイターズ,打倒村本浩平(笑)。今年は期待できそうだ。

 F1も始まった。毎年の事だがレギュレーションが変わり,レース中の給油が出来なくなった。ミハエル・シューマッハも帰ってきた。41歳。私より1つ上だ。インタビューを観ると,随分と言うことがおっさんになった。年々,自分より年上のスポーツ選手が減っているだけに,少しでも長く頑張って欲しいものだ。

 春と言えば卒業と入学。那須では,地方競馬教養センターの修了記者会見が行われた。いつ廃止になってもおかしくない地区にも新人がいる。夢や憧れを現実のものとするにはもの凄い努力が必要だ。損得抜きに夢を追い掛けられるのは羨ましい。妻子持ちのおっさんには出来ない。

 日刊競馬に今年も新入社員が入ってくる。編集部にはサッカーが得意な理系の青年,営業部には見た目が「大型新人」。よく食いそうだ。

 出会いがあれば別れもある。放送や出入りの業者,定年で退職される方,クビになる方など,この春も,多くのお世話になった方々が去る。

 北海道や岩手,金沢はまもなく今シーズンの開幕である。お世話になっている北海道のFさんも,種牡馬展示だ,能検だと,北海道へ帰って行った。そして,南関東ではナイター競馬が始まる。実を言うとナイターは嫌いだ。拘束時間が長すぎる。出馬から最終レースまで,ほぼ12時間だ。ナイターと言えば必ずこの出だしだが,それは今回は置いておく。春といえば,主催者,競馬場の新年度事業の説明会や,リリースの季節だ。

 大井の小林牧場に坂路がオープンした。ニューポリトラックを敷いた,総延長1050m(内坂路部分400m),勾配3%。実際に見学してきたが,これよりも立派な施設はいくらでもある。即強い馬が出てくるとは,実際に見た印象では,そうは思えなかった。坂の部分が短かく,ブレーキングゾーンも短いため追い切りには使えないし,ニューポリトラックは走りやす過ぎて,負荷にはならないのではないか,という印象。当日デモンストレーションを行った堀千亜樹調教師も「主に中間坂路に入れて,心肺機能の強化に使う」と質問に答えていた。実際のところ,運用してすぐ,バーナスコーニ(USA),ピサノフジと坂路調教馬が連日の勝利を挙げるのだが,次開催以降もその効果は検証していきたい。

 それから,東京大賞典の国際格付取得に向けた準備。つまり,地方競馬初の国際競走だ。世界的にみて右回りのダートにどれぐらいの需要があるのか分からないが,ジャパンカップダートと日程的にうまくリンク出来そうな感じはする。

 生産者に関係が深いものとしては,まず,海外既走馬の受け付け凍結だろう。これまでバーナスコーニとゴールデンニックス(USA)の2頭が入厩して,バーナスコーニは16戦2勝,ゴールデンニックスは1戦したのみだが,そこそこ通用する馬がいることが分かったのは収穫だ。と同時に,それは生産界にとって脅威でもある。しかし,凍結されたことにより,来年,JBCが大井に戻ってくることになった。

 また,南関東だけではないのだが,GRANDAME-JAPANと題して,地方競馬の世代別牝馬重賞シリーズが始まる。第1戦は浦和の桜花賞から。牝馬の購買,入厩促進策と解釈していいと思うのだが,既にあちらこちらで評論家の方々が書かれているように,3歳の東京プリンセス賞,古馬のトゥインクルレディー賞と,地区限定の競走が組まれているのはどうかと思う。賞金格差の問題もあり,最終的に特定の地区に偏りかねない。

 ダービーウイーク,未来優駿などの地区横断的な企画は,結構なのだが,もう少しうまいこと調整できないものかと,いつも思う。
昨年より1週間早く開幕した大井のナイター競馬。入場は5716名(前年比93%)と下回ったが,売得金は9億216万400円(前年比116%)と好スタートが切れた。この調子で1年推移してくれれば,いいんだけど。

JBBA NEWS 2010年4月号より転載
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