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第26回 競馬の結束

2011.02.16
 1月14・15日,北九州メディアドーム(小倉競輪場)でミッドナイト競輪が行われた。

 第1レースの発走が21時17分,最終レース発走は23時17分。ひとレース7車立てで1日7レース。初日のレースで勝った7人が優勝戦に進む2日開催。初日の売上げは8,944万800円。2日間トータルではチャリロト3(3重勝)を含む1億7,172万4,200円。結果から言えば計画を上回り,まずまず成功といったところだろう。

 成功の要因はいくつかあるが,まず物珍しさ,そして分かりやすい番組を組んだことだろう。逃げイチの番組が多く,高速バンクの特徴を生かしたレースが目立った。初日は7レース中4レースが逃げ切りという結果。7車立ては逃げ不利で消極的な展開になりがちだが,誘導のペースを速くする事で対応したように見える。

 先月号で触れた芦屋競艇のサンライズレースもそうだが,競馬以外の種目は分かりやすいレースを組むような傾向をみせている。前述のような番組編成で対応する方法は,競馬ではまず不可能だが,競輪や競艇では古くから親しまれたやり方で,ファンも「番組屋の意図」を読むのに慣れている。「番組屋の意図」は存在しないが,地方競馬で行われるダートグレード競走は,言ってしまえばそれに近いかもしれない。ある意味分かりやすい。

 また,今年の高知競馬は,馬主会から脱退した一部の馬主の馬が夏まで出走できず,その中で赤岡騎手が一時6割前後の連対率を挙げていて,その期間(4~9月まで)のうち8月までは前年比約140%近い売上げがあった。分かりやすい番組,買いやすい番組は,投票するひとそれぞれが考える余地が残されていて,ファンの自己満足度を毀損することなく,「自分で予想して当てた」感を得られやすく,それがウケていると考えられる。

 それから投票券の組み合わせ数を減らす方法。ひとつは出走数を減らすやり方。ミッドナイト競輪の7車立てはUCI(国際自転車競技連合)のケイリン競技準拠という別な意味もあるのだが,慣れ親しんだ9車立てを求める声も多い。競馬の場合フルゲートは競馬場や距離によってまちまちだが,ネット投票でどこでも買える時代になっても,買いやすいからといって少頭数の競馬が売れるかと言うと,そうではない。むしろ絞らなければトリガミになる事が多く,敬遠されることの方が多い。一部地方競馬主催者では,馬を増やしたくても馬(馬主)が少なく,下級条件2走使いも当たり前の状況では致し方ないか。

 JRAでは厩舎制度改革が行われているが,地方競馬では預託料は大分下がっている。その上で,例えば,ホッカイドウ競馬のように馬主服を導入するなど,馬主のアイデンティティーを高める方策を,そろそろ地方競馬全体として考えるべきではないかと考えている。馬は多い方がいい。

 そしてもうひとつが,競艇が2連勝ナイトフェスタで大敗北を喫した,「リバイバル投票券」ともいうべき復古政策。2連複・2連単→3連複・3連単,そして重勝ときたその歴史を無視して時計の針を逆に戻す失敗は,ある意味教訓となったに違いない。よもや競馬でそれはないだろうとは思うが,もし考えている主催者がいるのなら,勘弁して欲しい。幸い,競馬の場合は枠連を廃止する主催者がいるように,馬単位の馬券に集約しつつあるので,その点は心配してはいないのだが。

 最後に定番のナイター開催,薄暮開催,早朝開催,そしてミッドナイト開催。

 ミッドナイト競輪で,残すは0時~9時の時間帯となったが,今後あっても朝8時スタートまでが妥当なところだろう。ナイター開催を計画している主催者は依然多いが,競合も多くなり思うような収益を上げづらいのが現状だ。競馬なら園田,名古屋の都市部ならまだ可能性はあるかもしれない。ミッドナイト開催は経費削減という面ではかなり有望だが,それで先々まで支えてくれるファンが増えるかどうかは疑問だ。やはりライブ観戦や一緒に観る仲間の存在は大きいだろう。

 ここまで様々な方策を見てきたが,いずれもそれ単体で決め手になるとは言い難い,というのが感想だ。平成24年度を目標に,中央と地方の相互発売拡大も控えている。その中で「競馬」としての結束が必要であると考える。その上で,日時の調整でも,企画でもいい,競馬ファンを共有していくことが,今は大事なのではないだろうか。
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