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第47回『地方競馬IPATはじまる』

2012.11.14
 本来ならば、10月2日の白山大賞典をメインに金沢競馬で華々しく開始されるはずだった地方競馬IPAT。しかし、台風17号の影響により9月30日に行われるはずだった4回阪神9日目が中止され、10月1日に代替競馬となってしまったために、払い戻し等の処理が1日押すことに。併売されるはずだった大井競馬、門別競馬もろとも、発売中止の憂き目に遭ってしまった。
 キャンペーン行脚や、「IPAT発売」にまつわるレース名などが、そういった事情で急遽差し替え。白山大賞典単体で1億3,167万700円、1日3億3,951万2,300円と'平凡な'売り上げに終わった。資料では下半期4,000万と見込んでいた収益のうち、どれくらいを見込んでいたのか定かではないが、相当のショックだろう。

 急遽トップバッターとなった10月3日。大井競馬で東京盃が行われ、東京盃単体で4億6,714万6,200円、うちIPAT分が8,154万8,500円。売り上げに占める割合は17.5%であった。東京盃自体、前年比105.1%で、現場分が落ちた事、SPAT4、楽天競馬、オッズパークに大きな落ち込みがみられなかったことからも、'ほぼ純増'という結果となった。1日の売り上げでも11.1%を占め、前年比で104%と早速'IPAT効果'が現れる結果となった。

 この日は門別競馬が前年比131.0%、名古屋競馬が104.1%、園田競馬が110.2%と、'初物効果'が効いたか、いずれも前年を上回る好況という結果であった。

 地方競馬IPATでの発売は通常火曜日から水曜日が117万人の会員がいると言われている即PAT方式のみで発売され、中央競馬開催日の土日と、特定の月曜日は196万人の会員がいると言われているA-PATの会員も購入することが出来る。その最初となったのが10月7日の盛岡、福山、高知競馬である。上半期の売り上げが振るわなかった福山競馬は、これを好機と捉え、中央競馬の全レース終了後の17時以降に目標を定めた。通常土曜日は17時10分発走のレースまで、日曜日は18時10分発走のレースまで発売できるが、そこに目玉をぶつける作戦だった。結果は成功。最終レースの重賞・鞆の浦賞は65.2%にあたる984万円がIPATで購買され、1日でもIPATの見込み額800万円を超える、1,510万円であった。

 翌10月8日は高知の出番。特定の月曜日は18時10分発走のレースまで発売される。IPAT発売のあった1~6レースが6,176万7,800円、発売終了後の7~11レースが3,957万8,000円という結果、特に17時発走の4レース以降が顕著で、1~3レースが1,113万2,300円に対し、4~6レースが5,063万5,500円とほぼ5倍増であった。高知競馬は10月14日に全11レースを行ったが、重賞の黒潮菊花賞を18時10分発走の7レースに組むなど、福山同様、'JRA終了後'を狙う番組編成で、生き残りを賭けるつもりのようだ。

 勝者がいれば、また敗者もあり。(いまのところ)敗者の代表が岩手ではないだろうか。ナイター設備もなく、日没が早く17時以降の時間帯を狙えないため、中央競馬とガップリ四つの勝負を強いられる。厳しい結果は明白だった。

 10月8日のJpn1・南部杯当日。東京競馬12レースが16時20分発走、南部杯は16時45分発走とほぼベストの条件。しかし、4億8,110万2,500円という結果。2010年が5億32万3,400円であったから約96%であった。南部杯のIPATの売り上げは3億2,172万300円で、約66.9%を占めたが、2010年に2億2,958万6800円を売り上げた南関東と、3,122万9,200円の兵庫地区の売り上げがまるまるない日程(開催自体がなかった)が敗因のひとつと考えられる。

 ただ、本場や東京競馬場等も含む各場外の現金系に勢いがなかった。そしてもうひとつ、在宅投票のひとつが、2010年4,936万2,300円→2012年2,436万4,000円と半減していたことが、最大の特徴である。これがいわゆる'重複会員'なのかは定かではないが、もう一方が影響を受けず、むしろ伸ばしていることを考えると、そうとしか考えられない。特に即PAT会員のようなネット銀行などよりも、既存の銀行口座会員の方が、重複度が高いのかもしれない。ひとレースのデータだけで決め付けるのは早計ではあるが、今後も地道に数字を集めて分析してゆきたい。
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