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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第63回『ぜんぶ雪のせいだ。』

 この季節、我々業者が最も恐れていることは雪による開催の中止である。「雨は夜更けすぎに、雪へと変わるだろう」が一番怖い。

 昨年も1月14日成人の日に降雪のため1回中山競馬5日目の5レース以降が翌週の月曜日21日に代替競馬となり、翌15日の浦和競馬が開催中止に。また、2月29日の川崎競馬も降雪のため開催中止となり、メインのエンプレス杯も行われなかった。

 今年は昨年よりも酷く、1回東京3日目(8日)、4日目(9日)、5日目(15日)、6日目(16日)と4日間が代替競馬となった。2月8日(土)の代替競馬が10日(月)に。11日は投票のセンターがあるビルの点検が元々組まれていたため開催できず、9日(日)の開催は17日(月)に代替競馬。さらに翌週も中止となり、15日(土)の代替が18日(火)に、16日(日)の代替が24日(月)となり、最終的に3日競馬が生ずる事態となった。

 また、10日と15日の代替競馬は枠順を変更せず競馬新聞もそのまま使え、17日と24日については出馬投票をやり直すため新聞は使えずと、我々はともかく、販売店や読者の混乱を招いた。読者からの問い合わせで最も多かったのが「今日買った新聞は使えるのか?」という質問であった。

 特に16日(日)の競馬については、開催中止を決定するタイミングが微妙で、第一報が10時50分頃。その時間だとまもなく刷り始めるタイミングで、急遽京都・小倉版に切り替えられる時間もなく、それ以前にその日は交通麻痺で、結果的に配送もままならない状態であった。

 筆者も普段より早く家を出たが、マンションから出た人第1号で、足跡のない雪原にまず道造りから始めなければならない状況で、電車も駅ごとに長時間の停車を繰り返し、中止を知ったのは電車の中で、会社に到着したのは正午だった。競馬場はご存知の通り一面の銀世界でそもそも開催は困難だったが、仮に大規模な人海戦術を駆使して開催できたとしても、まずお客さんが競馬場に来ることが困難であっただろう。

 配送も同様で、JRや私鉄の駅に直接配送する配達の方々の多くが来られなかった。また、バイクや車両での配送も、弊社の車両はスタッドレスやチェーンを装着していても、一般の車両が立ち往生していてはどうにもならなかった。関東近郊や北関東、東北方面、甲信越、新潟なども、鉄道での輸送は元々便が限られている上に運休、航空貨物は欠航、高速道路の閉鎖でトラックもダメではどうにもならなかった。2番目に多かった読者からのお問い合わせは「新聞がない」であった。

 惜しむらくは、この2月だけで代替競馬も含め12日間も中央競馬が行われる競馬新聞としては「ビッグチャンス」であったのに、上手く立ち回れずにチャンスを逸したのが痛かった。

 ダメ押しが地方競馬の開催中止。2月10日の船橋競馬と2月17日の浦和競馬が開催変更となった。いずれも当初A-PATでの発売可能と変更がアナウンスされたが、いずれも馬場整備に時間が掛かるということで、中止された。当然、代替競馬は行われない。「泣きっ面に蜂」とは、まさにこのことだ。

 ただ、仮に船橋や浦和が開催できたとしても、売り上げ的にどうだったか。2月10日は東京競馬3日目が行われ、入場11,667名、売り上げ84億6,579万7,400円だったが、平地の地方競馬で唯一行われた笠松競馬の売り上げが1億516万400円だった。A-PATがありながらこの数字は普段より5,000万円以上少ない。この数字に恐れをなしたかどうかは定かではないが、代替競馬が発表されてしばらくして、浦和競馬から番組を組み直し、4日競馬で行う旨発表された。

 中央競馬にとっても平日の代替競馬はさほど美味しくはなかったようだ。きさらぎ賞が前年比142.5%、京都記念が同148.3%と伸ばしたが、一方で東京新聞杯が同62.6%、クイーンC同86.8%。1日でも最初の代替競馬が112.1%と伸ばしたが、翌週は64.5%、91.9%と振るわなかった。仕事もあったであろうし、給料日前週、そして連日の競馬で資金面が厳しかった。

 前週が「50年に1度の大雪」で、翌週が「100年に1度の大雪」ではまあ仕方ないか。大崎駅構内に貼ってある「ぜんぶ雪のせいだ。」というJRの広告キャッチコピーが恨めしい。